外務省のハーグ条約中央当局の在り方パブコメより意見抜粋

(1)国内法制度の改正の必要性 49件
①総論 4件
●政府は日本の単独親権制度,DV 防止法,家裁の不適切な運用により,離婚,別居(子の
連れ去り)により「子の最善の利益」を損なっている実情を正確に把握して,法を整備すべ
き。子供の権利条約に規定される「児童が最善の利益に反する場合を除くほか,父母の一方
又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触
を維持する」ことが「子の最善の利益である」との前提に立ち,国内担保法を整備するべき
である。(個人)
●「連れ去りによる継続性の原則」,「母親優先の原則」「面会交流の制度」等の国内法を見
直すべき。(個人)
●民法766 条が改正を経た日本の関連法の整備,国民の認識,家裁の運用姿勢は全く不十分。
現在の国内法制度や家裁運用の下では,母子共生の理念を優先させ,非監護親が父親である
ケースは,確定判決の前後を問わず,母親である監護親による実子との引き離しが常態化し
ている。この国内法制度不備の状況下でハーグ条約を遵守すると,ハーグ事案での子の返還
請求における国内裁判所審理と,国内事案での裁判所審理が矛盾する結果になるという懸念
あり。(個人)
②子の連れ去りの罰則化 3件
●連れ去りには,刑罰を処するようにすること。ただし加害者による連れ去りに対してであ
り,DV 被害者が子の保護のために連れ去る場合は罰しない。(個人)
③共同親権の制度化 12件
●ハーグ条約を推進するならば,国内法律も国際的な法律と照らして同様な選択肢が取れる
制度に変えるべきである。まずは日本の親権制度に共同親権も選択出来る制度にすることが
必要。(個人)
●虐待やDV などがあり,夫に子を託した場合に,子の安全を守ることができないこともあ
るので,選択的共同親権制の導入を検討すべき。(個人)
④面会交流制度の改善 20件
●DV や虐待ケースの場合,加害者との接触の援助を拒否できなくてはならない。(個人)
●親権を持たない親には,子に害が及ぶことが証明された場合を除き,子が16歳になるま
で1年のうち最低2~3ヶ月,自由に子との電話もしくはメールを通じた面会交流を受ける
権利が与えられるべきである。また,親の国籍が異なる場合は,親権を持たない親の国での
面会時間を最低2~4週間与えるべきである。親が子を虐待した場合や,親に重大な精神疾
患がある場合は,それを証明した上で,親と子の接触禁止を判断する。(個人)
●日本において,別居・離婚後,非監護親と子の交流が極めて貧しい内容でしか行われず,
社会問題化している実態を鑑みれば,今の日本の司法制度のままでは,ハーグ条約の趣旨は
担保されない。(個人)
●欧米標準の面会交流が実現する法的な仕組み(隔週2泊3日,長期休暇には長期宿泊を認
めるなど)を新たに構築する必要がある。さらに,監護権者が面会交流の取決めに違反した
場合には罰則を科すなど面会交流の実効性を高めている。日本では面会交流の頻度も少なく
(月1回,2時間程度)かつ,法的強制力もないため,監護親が拒否すれば,それも実現し
ない。欧米の法的な仕組みに比べると,日本の離婚後の面会交流,共同養育の法的な仕組み
は「真に子の最善の利益」を考慮したものとはなっていない。(個人)
●ハーグ条約第21条の目的のため,時代遅れの国内法に基づく子への接し方の日本の概念
は,極度に制限されていて,米国の重罪犯が有する自分の子との面接交流権と同程度である。
取り残された親に与えられる面接交流権は可能な限り,自由で,監視されず,尊厳を傷つけ
ないものにするという日本の保証を要望する。(BACHome)
●本来離婚等で別れ別れになった親子が人間的な関係及び接触を維持するために必須の権
利であるにも関わらず,日本では,面会交流の実現が極めて困難な状況。その原因として①
面会交流に関する法律が存在しない②裁判所が面会交流に対し,消極的であり,色々な理由
をつけて面会交流を認めない,③裁判所での審議は時間がかかる,④裁判所で面会交流の実
施を決めることができたとしても,監護親が拒否をすれば,強制力も罰則もないため,面会
交流の実施は守られない,⑤面会交流を援助する社会的支援の不備等があげられる。(個人)
⑤国内の現行制度 6件
●ハーグ条約加盟及び共同親権は,先進国だけでなく,韓国や中国でも常識となりつつある。
日本も国際社会の一員として相応しい法律の下で,健全な考え方をもった国民としての行動
がとれるよう法律改正が必要。(個人)
●ハーグ条約は,個別の紛争案件を取り扱う実務条約であり,日本国内で法曹界が通用させ
てしまっている子の権利をないがしろにしても是とする民法の後進性が必ず障害になる。
(個人)
●面会交流についてもきちんとしたルールの取決めができる法律がなければ海外からは批
判されるだろう。(個人)
●国内での子の連れ去り案件の規制ができないままで,ハーグ条約に加盟して諸外国にどう
説明するのか。(個人)
(2)DV 及び虐待問題
①DV 虐待対策 35件
●DV 女性がどんな思いで,男性から離れてくるかということを思うと,あまりに被害者を
無視した条約。それでも,両親のどちらと住むかについて選ばざるを得ない時は,しっかり
と子の意見を聞ける環境を作り,心を通わせることができ,本当の意味で子の思いを聞いて
くれる人,第三者機関が入り,どちらと住みたいかを聞いてもらいたい。(個人)
●この条約を締結するのであれば,女性の安全を守るシステム,子の意見を聴くシステムを
確立,整備が必須。(個人)
②DV 認定に係る問題点 20件
●国際離婚により連れ去られる理由は,大部分がDV の主張によるものであり,その大半が
捏造DV である。
家庭裁判所は従来から女性偏重主義を取っており,少しも公平な処置を行っていない。作
るべき法案はDV を理由に連れ去った妻の親権を剥奪し,連れ去った子について成された養
子縁組を無効にし,しかもこれまでのケースについても遡及的に同じ扱いを認め,DV に明
白かつ客観的な証拠がない場合には全面的に子を元に戻すものでなければ条約の精神に沿
ったものとは言えない。(個人)
●国内では,DV 冤罪ケースが多発している。特に精神的DV などは,本人がDV と言えばDV
ということになってしまうので,この理屈だと,ハーグ条約で返還を求められても,とりあ
えずDV を理由にすれば 返さなくてもよいということになり,何でもかんでもDV の訴えが
出されるようになる可能性は否定できない。(個人)
●司法現場での証拠無きDV認定を禁止。DVに関する認定基準を厳格にし,冤罪による被害者
を減らすとともに,真のDV被害者を埋没しないままに助け出せるようにするべき。(個人)
●相手のDV から逃れるためとしてDV をでっちあげ,弁護士指定のシェルターに半年ほど入
居させ,一切相手方と会わせない。また,相手に連れ去られる前に子を連れ去りなさいとい
った弁護士の対応も問題がある。(個人)
(3)締結の方針
①条約加盟に賛成 28件
●ハーグ条約の批准は日本の大きな一歩。しかし,数十年外国より遅れをとっている国内法
や日本人のおかしな習慣を改善し,他の批准国と合わせなければ外交問題になる。(個人)
●ハーグ条約未加盟による日本の対応全般に対する不信感から,正常に国際結婚を営んでい
る人まで,子を連れての不合理な出国拒否に巻き込まれることは理不尽極まりない。法的な
スクリーンを何も通さず,子を連れて帰国さえすれば事実上子との生活が確保できてしまえ
るというのは,事情はあれ法治国家のルールには馴染まない。日本に対する国際的な信用力
の低下も加味して考えると,ハーグ条約の批准は世界的に不可避な流れであるので,日本と
してもこの批准をした上で,子の利益を考慮して例外に該当すべき案件は断固子の返還の拒
否ができるようしっかりと国内法及びその運用を整備していくことが大切である。万全の準
備をして,賛成派の人も反対派の人も皆が納得できるような合理的な運用を図って欲しい。
(個人)
●ハーグ条約の早期批准と国際基準に合わせた国内法の改正(共同親権・共同養育)を希望
する。子を連れ去った経緯もそれぞれでDV 等の問題もあるかと思うが,子の利益を考えた
場合にはハーグ条約に批准すべきである。(個人)
●ハーグ条約締結国が,虐待行為やDV 行為を見過ごしているとは思えず,国内にせよ国際
間にせよ,連れ去り行為が行われる前の状態に戻して,話し合いが行われることが,最初に
とるべき方法。(個人)
●日本がハーグ条約に未加盟であり,子の福祉への関心が薄い国家であると考えられている
ことにより,フランス国内ですら私と子の外での面会は認められていない(私が子を日本へ
連れ去った場合に法的強制力をもって子をフランスに連れ戻す手段がないことを警戒して
いるものと思わるため)。(個人)
●「単独親権」,「母性優先」,「監護の継続性」という,厚い法律の壁があるため,離婚して
元妻に連れ去られた子に,自由に会うことができない。(個人)
●現在の面会交流は,監護親の利己的な反対だけで,中身を貧弱にされる。ハーグ条約の最
大の趣旨に照らし子の希望が最大限適うよう内容を充実してほしい。(個人)
●ハーグ条約未加入が障害になり,一方の親は子に会う事もできなくなっているケースもあ
る。加入に当たり一番の問題は,関連する国内法の整備である。今のまま加入すれば,整合
性が取れず,問題が大きくなってしまう可能性がある。(個人)
●両親の関わる子育ての有効性は,世界で証明されており,今回の日本の批准は,世界標準
に追いつくチャンスである。(NPO 法人保育支援センター)
●現在日本でハーグ条約に反対している,連れ去ってきた側の女性たちの言い分が「日本の
文化にそぐわない」「欧米型家族の強制」という言葉にすり替えられ,誘拐を正当化されて
いるように思えて大変残念である。(個人)
●日本がハーグ条約に加盟する準備を進めると決定したことを称賛し,日本の取組への強い
支持を表明する。日本に対し,ハーグ条約を実施するために同条約の目的と精神を認識した
法律を制定し,不法に連れ去りまたは留置された子の常居所地への速やかな返還を促進し,
他の条約締結国の法律に基づく監護の権利および接触の権利を効果的に保護するよう促す。
裁判所命令が実効的となる体制が必要であるほか,返還拒否事由は限定的であるべきである
と考える。(オーストラリア,カナダ,フランス,ニュージーランド,英国,米国政府)
②条約加盟に反対 14件
●共同親権に問題はないのか。別れた母親と父親が,子の教育方針を巡ってもめる姿をみる
のは子に悪影響。(個人)
●海外で結婚して逃げるように帰ってきた日本の母親が,この条約により,また子を奪われ,
そして大変な心の傷をまた受けかねないと思う。DV は危険性だけではなく,経済的DV,精
神的DV,などさまざまなDV があるなか,直に暴力がないからといって,子や母親の権利,
意見を無視されかねない。(個人)
●日本女性を保護するためにも,絶対に欧米の圧力に負けることなく,国内世論では反対が
多いということでハーグ条約には加盟しないでほしい。(個人)
●養育親がDV などの事情により,やむを得ず,国外に子と共に出ざるを得ないような場合
でも,罪となり,子が元の居住国に戻されることは,養育親や子の人権や心身の安全を脅か
すものであり,到底認めることはできない。また,DV 被害を受けた女性の場合,DV 被害を
女性自身が証明するのは非常に難しく,元の居住国に戻ることは,再びDV 被害に身をさら
すことになる。(W・S ひょうご,しんぐるまざーず・ふぉーらむ 尼崎)
③条約加盟に慎重 7件
●本来,どちらの国でどちらの親と生活するのが本人にとってベストなのか,子の立場から
判断すべきであり,返還ありきではないはず。(個人)
●日本は単独親権制度だが,共同親権制度を採用している国や地域との共通の法的理念の採
用は慎重に検討して,文化や根底の考え方の違いを良く理解して欲しい。了解を得ないで子
を連れ出さざるを得ない深刻な状況にあるDV 被害者には特別の配慮が必要である。(ハンド
インハンド大阪の会)
●親の権利ということではなく,まず一番に子の福祉や子の権利という観点から,納得がい
く説明がなされた上でハーグ条約の受け入れ,批准を考えていただきたい。条約を結べばど
ういうことが起こり得るかも含めて,もっと国民にわかりやすい説明を求めたい。(個人)
●日本では,まだまだ女性の社会的地位は低く,経済力もない場合がほとんどで,DV 被害
にあっても,子を連れて逃げ出す他に解決方法がないケースがほとんどである。こうした状
況でこのような条約が批准され,国内法に適用されれば,DV 被害者救済への道が閉ざされ
てしまう。立証の義務を被害者に求める現行の判例等をみると,極めて限定的な運用になる
ことが懸念される。(個人)
●簡単に締結するべきではなく,まずは自国で法律や専門機関をつくり,子のケアもふくめ
てもっと考えることが先決。(個人)
13年前

外務省:ハーグ条約中央当局の在り方に関するパブコメの取りまとめ結果について

「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」(ハーグ条約)を実施するための中央当局の在り方に関する意見募集の取りまとめ結果について

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hague/pubcome_kg.html

平成23年11月24日

1.経緯

近年増加している国際結婚の破綻等により影響を受けている子の利益を保護する必要があるとの認識の下,政府は,5月20日付の閣議了解において,「ハーグ条約について,締結に向けた準備を進めることを決定。

今回,パブリックコメントの形で意見募集に付した内容は,ハーグ条約に関する関係閣僚会議における了解事項等及びこれまでに開催された計2回の「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」での議論を踏まえ,中央当局部分の法案の作成に向け論点を整理したもの。

2.取りまとめ結果

  1. (1)意見募集期間:平成23年9月30日~10月31日
  2. (2)意見募集総数:168件(団体20件,個人148件)
  3. (3)意見の主な内容は以下のとおり。

第1 中央当局の指定

〈賛否両論あり〉

  • 法務省が中央当局となるべきであるとの意見もあった。

第2 子の返還に関する援助

1.返還援助申請

〈賛成意見のみ〉

2.返還援助申請を我が国以外の条約締約国の中央当局に送付する場合

〈賛成意見のみ〉

3.子の返還に関する援助の実施

〈賛成意見のみ〉

4.国内における子の所在の確知

〈賛否両論あり〉

  • 個人情報の提供の義務や子の所在特定のための手段については,DV被害者への配慮や個人情報の過度な流出の防止の観点から,提供すべき情報の範囲は明確にすべきとの慎重な意見があった一方,子の所在特定は中央当局に課せられた重大な任務であるとして支持する意見もあった。
  • 中央当局へ集約された子の情報については,原則として例外事由を設けず,申請者及び相手国中央当局には提供すべきでないとの意見もあった。
5.子に対する更なる害又は利害関係者に対する不利益の防止

〈賛否両論あり〉

  • 子の再連れ去りを防止する観点から,中央当局が旅券の一時保管や新規発給を制限すべきであるとの意見や,出国禁止等の立法的措置を講じるべきであるとの意見があった一方,海外渡航の自由(憲法第22条)との関係で慎重な意見もあった。
6.子の任意の返還又は問題の友好的解決

〈賛成意見のみ〉

  • 裁判外紛争解決手続機関における調停手続を創設し,積極的に運用すべきとの意見や,外務省内に専門家チームを設置して対応すべきとの意見があった一方,外務省は司法機関ではないので,役割を限定し,既存の手続の紹介に留めるべきとの意見もあった。
7.子の社会的背景に関する情報の交換

〈賛成意見のみ〉

  • 条約の趣旨を実現するために必要な権限であるとしつつ,情報の提供は,裁判所からの求めがある場合に限定すべきである,情報の範囲や情報の提供依頼先が無限定に広がらないよう限定的に運用すべきである等の意見があった。
8.子の返還を得るための司法上の手続の開始についての便宜の供与

〈意見なし〉

9.法律に関する援助及び助言の提供についての便宜の供与

〈賛成意見のみ〉

  • 中央当局は,我が国及び締約国の法制度(特に親権,児童虐待,DV等)に関する情報提供,専門的な弁護士リスト等の提供を行うべきであるとの意見があった。
10.子の安全な返還の確保

〈賛成意見のみ〉

  • 子の常居所地国の中央当局及び在外公館と連携することが重要であり,特にDV事案への十分なケアが必要との意見があった。

第3 子との接触に関する援助

1.接触援助申請

〈賛否両論あり〉

  • 返還援助申請の場合に準じた取り扱いとすべきとの意見があった一方,条約締結後の不法な移動のみを対象とすべしとの意見もあった。
2.接触援助申請を我が国以外の条約締約国の中央当局に送付する場合

〈賛成意見のみ〉

3.子との接触に関する援助の実施

〈賛否両論あり〉

  • 中央当局は,子の最善の利益の観点から,条約締結前に連れ去り又は留置があった事案についても,できる限り支援をすべきとの意見があった一方,子との接触に関する援助の範囲や具体的措置については,子の所在の確知及び友好的解決の促進にのみ留めるべき,子の社会的背景に関する情報の交換を支援の範囲に含めるべきでない等の意見があった。
  • 中央当局が国内の既存の面会交流の制度を紹介できるよう,また,充実した面会交流が可能となるよう制度を整備すべきとの意見があった一方,中央当局は司法機関ではないので,活動は限定すべきとの意見もあった。

第4 不服申立ての制限

〈一般的な意見のみ〉

  • 申請が却下された場合には,行政不服審査法上の不服審査の申立て,又はそれに準じた手続を認め,他方でTPの人権を直接制限するような手段については不服審査の申立てを認めるべきとの意見があった。

第5 その他

  • 邦人の支援体制(DV・児童虐待等への対応を含む)を強化すべき,在外公館で受けた被害者による相談や連絡内容が国内における裁判所からの照会に応えられるようにすべきとの意見があった。
  • 中央当局が返還裁判等の事例の実態調査をする制度を国内法の中で定めるべきとする意見があった。
  • 不法な子の連れ去りの罰則化,共同親権の制度化,面会交流制度の改善といった既存の国内法制度の改正の必要性につき指摘があった。
  • DV及び虐待被害を懸念し,女性の安全の確保,子の意見を尊重する仕組みが必要であるとの意見がある一方,現在の制度では,DVが容易に認定され易く,冤罪が増加傾向にあることにも留意すべきとの意見があった。
  • 我が国がハーグ条約を締結することへの賛否両論があった。
  • ハーグ条約を実施するために同条約の目的と精神を認識した法律を制定し,不法に連れ去り又は留置された子の常居所地国への速やかな返還を促進し,他の条約締結国の法律に基づく監護の権利及び接触の権利を効果的に保護するよう促すとの意見があった。

(注:なお,法務省が行った「ハーグ条約を実施するための子の返還手続等の整備に関する中間とりまとめ案についての意見募集」に寄せられた意見には,外務省に寄せられた上記内容と同様の趣旨の意見もあった。)

13年前

外務省:「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第3回会合

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hague/kondankai03_gy.html

平成23年10月24日

24日,外務省において開催されたハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会第3回会合の概要は以下のとおり。

1.出席者

座長:
小早川光郎・成蹊大学法科大学院教授
ヒアリング対象者:
池田崇志弁護士(大阪弁護士会)
鈴木雅子弁護士(東京弁護士会)
川島志保弁護士(横浜弁護士会)
谷英樹弁護士(大阪弁護士会)
出席者:
棚村政行・早稲田大学法科大学院教授
藤原靜雄・中央大学法科大学院教授
大谷美紀子弁護士(日弁連)
相原佳子弁護士(日弁連)
杉田明子弁護士(日弁連)
関係府省庁(法務省,内閣府,厚生労働省,
文部科学省,警察庁)等

2.議事要旨(議事録は,別途掲載予定)

(1)ヒアリング

(ア)池田崇志弁護士
  • 実際に受任した国際的な子の連れ去り案件(外国から日本に連れ去ったケース)の概要及び外国と我が国のそれぞれの裁判所の判断の要旨について説明。
  • 一般的に言われている「DVの主張」は,きちんと事実関係を把握する必要がある。この事案では,母親から父親によるDVが主張されたが,我が国裁判所の審判は,そのような事実は無かったと認定。
  • LBPは,子を常居所地国に返還することを求めたい場合であっても,子との面会交流が実効的に確保されるのであれば,TP側と合意できるケースも多数ある。中央当局として面会交流が実現できる支援をしてほしい。また,政府全体として,我が国における面会交流が実効的なものとなるよう制度構築を進めて欲しい。
(イ)鈴木雅子弁護士
  • 日本は出国を止める制度がない一方で,親権を争う仕組み及び保全措置についても時間がかかるため,国外に連れ去られ,打つ手がなくなる問題が生じやすい。連れ去られた後にハーグ事案として返還・接触申請を行うことは,物理的,精神的,経済的な負担が大きいため,出国を差し止める制度が必要。
  • ハーグ条約を連れ去られ親が使うためには,監護権の侵害が認められることが必要であると理解しているが,日本民法では,(1)離婚後は共同親権制が取られず,(2)事実婚・認知の場合にも,母親のみが単独親権を有する制度となっているために,連れ去られ親が子を事実上監護している場合でも,法律上の監護権がないためにハーグ条約を使えないという事態が相当数生じることを懸念している。
  • 海外において日本がハーグ条約を未締結のため日本への帰国が認められないことから,最後の手段として連れ去ったケースや連れ去りが犯罪化されているために常居所地国に戻りLBP側と話し合えないケースもある。仮に我が国裁判所で返還拒否が確定すれば,ハーグ条約締結によってDVに苦しむ女性を助けやすくなるという側面もある。
  • 妥当な解決を図るため,ADRや調停制度の活用が必要。外国籍の調停委員が認められていない現状は改善の余地あり。調停を行う際に外国の生活・文化のバックグラウンドが必須であり,当事者の気持ちの面でも重要。また,日本の裁判が書面を含め全て日本語という制度が変わらないのであれば,より一層ADRや調停制度の活用が求められる。連れ去られ案件では,連れ去られ国での裁判のための支援も検討すべし。
(ウ)川島志保弁護士
  • DV加害者は,一見DVをするように見えないタイプであることが多いほか,DVは再犯性が高いため,状況が改善されることは少ない。他方,DVが原因で夫の元から離れた妻は,居所を夫に知られる恐怖から,ひたすら逃げ回らざるを得ないケースが多い。このような事態は,子の福祉の観点からも問題。
  • DV被害者の個人情報の取扱いにつき保護措置があるものの,行政のミスにより被害者の個人情報が漏洩するケースもある。ハーグ条約加盟にあたっては,個人情報の保秘のための公的機関による連携が重要。DVの被害者としては,DV加害者に居所が知られることが最も恐れる事態。情報を知るべき立場の者までは,確実に知る必要はあるが,そこから先への管理をしっかり行うことが重要であり,中央当局からDV加害者側に所在情報が渡らないことが極めて重要。
  • ハーグ案件の場合には,証拠が海外にあることや,言葉の問題等から,被害者の証拠の収集が難しいことがあるため,在外公館への相談を証拠として活用できるような措置が必要。
(エ)谷英樹弁護士
  • 子の連れ去りによって生じる問題は,(1)それまでの環境(両親,家族,知人友人等)から子が引き離される,(2)それまでは両親の双方の監護に服していたり,別居中でも一定の枠組みの下での交流が認められていた状態が,一方的にルールなき状態に追いやられる,(3)連れ去る側は,種々の理由で他方が子と面会する機会を拒もうとするのが通例で,子との面会交流の可能性は連れ去り側の意志に左右されがち,(4)現行のDV保護制度は,DV保護命令の有無で,子との面会の機会の有無が決まる建て付け,が挙げられる
  • 子の所在の特定に関しては,本国で監護の権利を有するLBPにも連れ去り先の子の監護に関する情報を知るべき立場にあるとの考え方に立てば,パブコメ案では,申請者(LBP)に居所についての情報を提供する際に,一律にTP側の同意を要件としている点に強い疑問がある。また,子の社会的背景に関する情報の交換にも,同意を要件としているが,仮にTPが虐待をしている場合,その情報が児童相談所等に蓄積されていても,その情報は提供されないこととなるのは問題。
  • 子に対する更なる害の防止に関しては,居所変更の届出を義務づける必要がある他,国外への出国を防止する制度を創設すべし。接触の権利に関しては,子の居所をLBPが知ることは交流の第一歩であり,社会的背景に関する情報についてもLBPに提供すべし。

(2)質疑応答にて出された意見・質問等

(ア)出国禁止命令
  • 子の更なる害の防止の観点から,裁判所が保全命令の一環として出国停止を命じ,出入国管理での出国制限をとれる制度の構築が必要。このような措置がないために,面会交流が実現できないケースもある。
(イ)接触の権利(面会交流)
  • DV被害者をきちんと保護し,更なるDV被害から確実に守ることによって心理的な安定が確保され,それがひいては子とLBPとの面会交流につながるケースもあり得る。
  • 調停員は,日本人に限るべきではなく,調停では日本語以外も使用できる制度にすべし。ADRのような制度を利用する必要がある。
(ウ)その他
  • 実務家として,国際離婚の事案において問題と感じる点は,(1)我が国が,共同親権制でないこと,(2)面会交流が法的な権利として認められていないこと,(3)家裁調停員には高齢者が多く,母親の下での養育が良いという伝統的な固定観念を持つ人が多いこと等が挙げられる。
  • 明らかにDVが証明できるのであれば,国内担保法において,具体的にDVや暴力を返還拒否事由に要件として規定しても良いが,現実には,DVを証明することが難しいケースも多い。子にとって悪影響があるかという視点から返還拒否事由を考えるべし。

3.配布資料

  1. (1)池田崇志弁護士提出資料(PDF)PDF
  2. (2)川島志保弁護士提出資料(1(PDF)PDF2(PDF)PDF3(PDF)PDF
  3. (3)谷 英樹弁護士提出資料(PDF)PDF

 

13年前

子ども連れ去り親・米国で逮捕報道の真相

以前、神戸家裁伊丹支部で米国在住のニカラグア人男性と、子どもとの夏休み30日、毎週のウェブカメラ、メールによる交流を認める審判を日本裁判官ネットワークの浅見宣義判事が出したことが報じられましたが、この件の続報です。
 元々、米国で単独親権を保持していたのは父親で、そうなった事情は米国での離婚訴訟中妻側は途中で弁護士を解任して請求を放棄。妻側も共同親権を主張しながら、その実、裏側で日本でこっそりと離婚訴訟を準備。これは日本の偏向した裁判事情(連れ去った者勝ちや、無原則な母性優先)を知っていて画策したと思われます。

13年前

日本弁護士被害者連絡会:VERY11月号 太田宏美弁護士の記事内容について

平成23年10月24日
光文社御中                 日本弁護士被害者連絡会
VERY担当者様

 VERY11月号 太田宏美弁護士の記事内容について

(VERY11月号266ページ )

(1)

もしも本当に離婚することになったら・専門家に聞くメリット、デメリット

弁護士・太田宏美さん

財産分与で夫側ともめることが多いので事前に把握を親権と財産分与を争うケースが多いです。親権は子どもの幸せが第一なので経済力の有無にかかわらず妻になることが多いです。財産分与は結婚後に作った財産を分けるため、2人が築いた預貯金、不動産、借金などの財産がどれくらいあるのか把握し、書類はコピーを取っておいて、別居している場合、婚姻費用を請求するのも大事

○争点になるポイント

□養育費□慰謝料□親権

養育費は子供が原則として20歳まで、金額は双方の収入に基づいて算定しますが大雑把な目安としては1人月額3万~5万円程度

慰謝料は離婚原因しだいですが裁判で認められる金額はそれほど高くなく

最高300万円程度。

親権争いは最初の対応が肝心、家を出る場合は必ず子供を連れてでること

以上が太田宏美弁護士の離婚についてのVERY11月号の記事内容です

問題は「親権争いは最初の対応が肝心。家を出る場合は必ず子供を連れてでること」という記述です。
これは離婚事件において親権争いは先に子供を連れ去った方が今後の交渉や裁判が有利になるという弁護士の日常業務の実践から出た言葉です。
弁護士として依頼者のためという当然の言動のようですがこれは子供連れ去り示唆というとんでもない発言です。今全国で多くの子供に会えない父親、母親が増えています。これは離婚のときに家を出て行く時に子供を連れ去っていくからです。そして弁護士指定のシェルターに半年ほど入居させ、一切相手方と会わせないのです。理由は相手のDVから逃れるためという理由をつけます。
ほんとうにDVで困っているかたもありますが、私が問題にするのはほんとうにDV被害に会っている方を利用する弁護士の行為です。
多くはDVでっちあげをされているのが現状です。そのいう弁護士が一番に言うのは、相手に連れ去られる前に子供を連れ去りなさいと弁護士が指示するからです。VERY11月号にも太田宏美弁護士がこの指示をされました。今、世界では共同親権という考え方が主流になっています。離婚しても子供は両親が面倒を見ていくという考え方です。
ハーグ条約という条約の批准が国会で審議されています。世界では共同親権という考え方ですが日本は単独親権です。離婚した場合、子供はどちらかが引き取る、親権を持つという考え方です。これで紛争が生じます。弁護士は紛争があれば仕事になり報酬になります。日弁連が反対する大きな理由は親権の争い事が無くなると仕事が無くなることも反対要因の一つです。そして一番この太田宏美は子供を紛争の道具、人質として使い有利に交渉を進めるためには子供を先にさらってこいと言うのです。なぜ先に子供を連れてこいというのか、それは最初に連れて出ても法的には何も問えません。そして今度子供を連れて帰ろうとした場合は誘拐罪に問われるからです。多くの逮捕者が出ています。
だから、子供は最初に連れ出して交渉の道具とするのです。離婚は同意しても子どもだけには会いたいから連れ去られた側は連れ去った方の条件を承諾するしかないからです。この短い発言の中で多くのことが隠されているのです。
弁護士はこの重要性を知っていますが、弁護士が公の場で発言したり文章で残すことは絶対にしませんでしたが、この度の貴社の雑誌で初めて暴露されたということです。
VERYという雑誌は当会員からの連絡でとんでもないことが書いてあると私は初めて拝見させて頂きましたが、洗練されたセレブを対象にされている雑誌だと思いましたが服装や化粧だけでなく人間的にも本当のセレブを追及するなら、これからの新しい共同親権、日本だけが取り残された古い物の考え方にとらわれない考え方を紹介するのも雑誌社の務めだと思います。まして不法ともいえる子供つれさりを教唆、示唆するとはとんでもないことです。光文社としてのご見識をお伺いします。
(2)
太田宏美弁護士について

太田宏美弁護士は関東方面ではTVや雑誌に多く登場されていますが、この弁護士が懲戒処分を受けたことは光文社という大きな雑誌社であれば、

ご承知の上でのことだと思いますが。太田宏美弁護士は業務停止6月の懲戒処分を受けました。(日弁連で業務停止5月に変更)

日本を代表する貴社なら懲戒処分を知ってのことでしょうが私達、弁護士による被害者は、この弁護士を雑誌に登場させる貴社の見識を疑うところです。

なお上記内容につきましては外務省のハーグ条約に関する意見を求める

パブリックコメントとして提出致しました。後日外務省より調査報告もされると思いますので調査の折はご協力お願い致します

㈱光文社には抗議文として10月24日郵便で送付しました

外務省はメールで意見書として送付

13年前

法解釈の技術と倫理――「単独親権」制の流用について、後藤富士子弁護士最新論文

民法第818条3項は、「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。」と定め、同第820条は、「親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」と規定している。すなわち、婚姻中は、「共同親権」「共同監護」である。また、離婚については協議離婚を原則としており、離婚後は単独親権(民法819条)になるからこそ、「離婚後の監護に関する処分」について条文が規定されている(民法766条)。すなわち、離婚後は「単独親権」「共同監護」というのが民法の前提である。
ところが、実際には、離婚後の監護問題を含めて夫婦が協議する過程を経ないで、離婚を仕掛ける配偶者が一方的に子の「身柄」を拉致し、他方配偶者と子の交流を遮断することから離婚紛争が勃発する。すなわち、共同親権者の一方が子どもを連れ去ると、他方は、子どもに会うことさえままならなくなり、「家庭破壊」にさらされた配偶者こそ悲惨である。

13年前

TheAge(オーストラリア):政府は子供の“拉致”抜け穴を塞ぐために

子供の”誘拐”抜け穴を閉じるために政府
ピーターマーティン
2011年9月19日

司法長官ロバートマクレランド。
有効にするために分離された両親を許可している抜け穴は海外の子どもたちがクローズされるように設定されており、最初に家庭裁判所がそのような拉致を試みる親に、子の支払いを停止するパワーを与えられる誘拐する。

対策 – 以前にフラグが立て何よりも強いが – 受け入れられない速度で起こって想像を絶する恐怖である司法長官ロバートマックレランドが言っていることに対応して来年の上半期には議会の前に置かれます。

”平均して2〜3の子供が不当にオーストラリアから削除されたり、両親のいずれかで、毎週別の国に保持されて、”と彼は言う。

広告:ストーリーは、以下続く
”あなたの子供が別の国に連れ去らことの経験を通過することを余儀なくされては、任意の親のための想像です。拉致は重大な、感情的、心理的、財務的影響を持つことができます。”

それは他の親の同意なしに海外の子供を取ることは違法ですが、それは休日のための同意を得て海外で撮影されたときに海外の子供を保つために違法ではない。

家族法の審議では、抜け穴を閉じることが最後の月をお勧めします。

勧告を考慮するにあたっては、氏マクレランドや家族大臣ジェニーマックリンは、彼らがさらに進み、家庭裁判所は、親が養育費を支払うために残されたの必要性を一時停止できるようにする法律を制定すべきかどうかを確認する月に評議会に手紙を書いた。

評議会は彼らが必要だと子供が違法に拘禁している間に、養育費の支払いは発生しませんしてください。

変更のアプローチは、子供の養育費に関係なく常にアクセスを、支払う必要があることを通常のルールからの逸脱をマーク。

”チャイルドサポートは、通常、子の最善の利益に支払われるべき、”女史マックリンは言った。”しかし、子どもが不当にオーストラリア国外に保たれているときに、左の後ろの親はオーストラリアの法制度を効果的にアクセスすることができません。家庭裁判所は、最高のサスペンドのサポートは、子どもの最善の利益にあるかどうかについて決定を下すために配置されます。”

変更を推奨する、評議会は、子どもがオーストラリアで親の意思に反して移動されていた場合、それが適用されない”このような状況で親として強調”オーストラリア家族法のシステムを介して援助を求めるのオプションを持つべきだと思う。

不当に子を保持する新たな犯罪のための最高刑は、海外の3年の懲役となります。

約125子どもたちが不当に削除したり、昨年海外に保持された。

Read more: http://www.theage.com.au/national/government-to-close-child-abduction-loophole-20110918-1kg3x.html#ixzz1ZFlpKWZp

13年前

あちこちの当事者と

やりとりをする。日弁連の意見書に、水を漏らさぬ論理で反論した方がいて、その方と連絡をとって意見交換したりした。最近は横のつながりをいろいろととって運動を再構築するときかなあと思う。いろんな人が当事者として登場してくる。長く続けるのが運動では味噌だとは思うけれど、自分の言葉でしゃべられる人がたくさん出てくることが重要だと思う。中立性ハーグ条約について賛成、反対、いろいろ議論がある。反対する側の議論を行政の側が行うことについて、どうなんだという意見があった。行政は中立だから、それ..

13年前