読売「元夫 子どもと頻繁に電話」

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50代主婦。20代前半の子どもが2人。
上の子が15歳の時に離婚しています。
元夫は思いやりがなく価値観も違ったため将来を考え決断しました。

 当時子どもたちは離婚に反対でしたが、優しい人間に育ってくれました。

 元夫の親族は、私から見れば常識がありません。
例えば、元義母は平気で子どもたちを旅行に誘ってきます。

 元夫も頻繁に電話してきて、平然と子どもたちの卒業式や入学式に出席してきました。
不愉快ですが、強く断ることができません。
昨年、私の母が亡くなった時も堂々と告別式に出て、「このたびは……」と大きな声。
本当にお悔やみの気持ちがあるのなら、
そっと列に並び焼香してくれればよいと思います。
子どもの結婚式に出るのも当然だと思っているのでは。
子どもたちもおそらく出席を望むでしょう。

 私はそんなけじめのないことは大嫌い。
だらしなく恥ずかしいことだと思いますが、常識的にはどうなのでしょうか。(兵庫・E子)

 元夫や親族に対するけじめのつけ方は、あなたと子どもたちとでは、
立場の違いにより異なります。

 つまり、離婚すると、元夫とあなたの親族との間では、
法的な親類関係(姻族といいます)がなくなります。
別れた後は、互いに干渉しないのが普通ですから、
おっしゃるように、あなたの母のお葬式での元夫の行動は、
けじめがないと言えましょう。

 しかし、子どもたちと元夫の親族とは、
両親が離婚しても親族としての縁は切れません。
子どもたちが、父方の祖母と自由に交流するのは自然なことで、
非常識ではありません。
また、元夫が子どもの学校行事に参加するのも、
子どもの養育上問題がない限り、親として当たり前のことです。

 元夫が、子どもの結婚式に出るかどうかは、
家族の事情によりいろいろな考え方があるでしょう。
私は、子どもの人生の門出なのですから、
基本的には子どもの意思を尊重すべきだと思います。
ただ、出席する場合は、例えば席順やあいさつの仕方などで、
あなたの親族の感情を害さないような配慮を求めるとよいでしょう。

 (土肥 幸代・弁護士)
(2010年10月6日 読売新聞)

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