妻による夫締め出し

最近相談を受けていて多いのが、妻が夫を追いだして家の鍵を変えてしまうというケースだ。
夫の側が出張に行っている間だったり、実家に行って妻と子どもだけ先に帰って鍵を変えて締め出すというのを聞くようになった。以前は夫が妻を家から締め出すということをときどき聞いていたのだが、最近は、引き離しの新手の手段として締め出しが使われているようだ。

もちろん、表には出ないが、同居親側には弁護士がついている。女性相談の場合はシェルターに入れたほうが支援がしやすいので、締め出しに直接関与しているかは不明だ。

妻側の弁護士は、モラハラやDVに関する女性支援で有名な弁護士がついていることもあるので、好意的に見れば、被害者である母親が逃げ回るのは本末転倒だから、ということで締め出しをしているという正当化の理由付は考えつく。

しかしながら、本当にDVの被害者であれば、鍵の付け替えなど作戦を立ててやるよりは、暴力に対しては刑事事件として訴え、同時に接近禁止の保護命令を申し立てるのが本筋だろう。

聞いている限りにおいては刑事で訴えても、保護命令を申し立てても、警察も裁判所も取りあいそうにないケースでこういった手法が使われているのは、シェルターに保護して住所非開示措置を取るのとよく似ている。どこでその手法の違いが出るのかは今のところわからないが、もしかしたら弁護士の趣味とかはあるかもしれない。

ところでもちろん、実家や自宅は、暴力からの避難という側面から見れば、加害者がいつでもやってくる場所なので、避難場所としてはとりわけ危険な場所である。だから最低でも保護命令を出すのが責任ある法律家の立場だろうが、一方的にモラハラと言うだけで、そういった措置はなされない。つまりしようとしてもできないということだ。悪質なのは親子を引き離して親権を夫から奪うために、危険がないとわかって夫を締め出そうとしていることだ。

対抗策として、刑事で不動産侵奪罪や鍵を変えたことには建造物損壊罪などで訴えた人はいる。刑法235条の不動産侵奪罪は、刑法244条による親族相盗によって刑を免れる規定があるので適用はなされなかったようだ。一方で、民法249条による共有物の使用の権利を侵害された(共有持ち分侵害)として民事で訴えることはでき、これは勝つ見込みがあるそうだ。離婚訴訟になれば、これは追い出し離婚そのものなので、追い出して婚姻破たんの原因を作った側が、離婚を訴えれば「踏んだり蹴ったり」になるので、十分対抗できる。この場合、いくら破たん主義といっても、民法上の規定は活用できる。

それと、締め出されたとしても、自分の自宅であることに違いはない。通告して家に帰宅し、締め出しが解消されていないというマイナスの実績を相手に積ませることも、裁判所に行った際にこちらがたたかう材料になるし、もちろんその過程で子どもに自分は見捨てていないということをアピールすることもできる。警察を呼ばれることは十分想定できるので、あらかじめ警察に事情を話して何かあった場合の保護を求めよう。もちろん弁護士同伴で行くのが一番いい。

この事例で想定するべきかどうかは別にして、母親を犯罪者にしたくないから刑事告訴はしたくない。あるいは引き離されても、裁判をすれば子どもが傷つくからすべきではない、という意見がある。もちろん争わないで問題が解決できるに越したことはない。しかし、これを引き離し側を擁護する論理として声高に主張するとしたら、盗人猛々しいと言わざるをえない。

例えば妻が殺人を犯して夫だけがそれを知っているとする。夫は母親を犯罪者にしたくないから、罪を隠すのだろうか。その場合は夫も犯人隠匿ということになるが、罪を贖うというのは、社会的に復帰するために用意された手続きでもある。そう考えれば、夫婦間の問題であったとしても、社会的にやっていけないことについてはその責任を配偶者にとらせるのも夫の役目、という説明だって子どもにできる。あなたのお母さんには、きちんと責任ある行為がとれる人であってほしかったし、そうすればお互いの関係も作り直せる。そう考えたから訴えた、と子どもに説明することもできる。

子どものために裁判に訴えるべきではない、なんて同居親側の弁護士がもし言うとしたら、そんなのは子どもを人質に取れる立場だから言えるだけであって、引き離しなんてたいしたことはないとうそぶいているだけだ。このことこそが子どもにとっては無責任極まりない犯罪的態度であるということを、離婚事件にかかわる弁護士たちもそろそろ知るべきだ。

ブログ「おおしか家族相談」から
http://aoyagiksodan.seesaa.net/article/461870830.html

2か月前