子連れ別居は違法な連れ去りになる?判例と親権・離婚への影響を解説

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子連れ別居は違法な連れ去りになる

  • 子連れで別居すると違法な連れ去りになるの?
  • 子連れ別居して離婚や親権で不利になった判例ってあるの?

その疑問、記事を読めば5分で解決します。

あや

 

子供のいる夫婦が別居するときは、家を出る人が子供を置いていくか連れて行くことになります。

子供を連れて行く方法には2つあります。

  • 子連れ別居
  • 連れ去り別居(子供の違法な連れ去り)

「夫婦が別居するときに、一方が子供を連れて家を出る」ところは同じです。

でも、「連れて出る方法」と「連れて出た後に生じる問題の大きさ」が異なります。

 

この記事では、子連れ別居と子供の連れ去り別居(子供の違法な連れ去り)について解説します。

 

目次 [表示]

子連れ別居・子供の連れ去り別居(違法な連れ去り)とは

子連れ別居と違法な連れ去り

まず、子連れ別居と子供の連れ去り別居(違法な連れ去り)の定義を確認しておきましょう。

 

種類 説明
子連れ別居 別居後の子供の監護養育について夫婦が合意したうえで、子供を連れて別居すること
子供の連れ去り別居(違法な連れ去り) 別居後の子供の監護養育について夫婦の合意がないのに、別居時や別居後に違法な方法で子供を連れ去ること

 

離婚することを決めた後、別居を選択する夫婦は珍しくありません。

  • 一緒に生活をしたくない
  • 夫に会うと気持ちがしんどくなる
  • 同居していると冷静に離婚の話し合いができない

こうした理由から夫とと離れたい気持ちが強くなるからです。

 

子供がいる場合、別居後にどちらが子供を引き取るか(監護養育するか)決める必要があります。

日本の場合、妻が子供を連れて別居するか、夫が一人で家を出るケースが大半です。

 

別居後の子供の監護養育について夫婦で合意できていれば、別居後も大きな問題は起こりません。

でも実際は、夫婦の一方が無断で子供を連れて別居するケースが相次いでおり、「子供の連れ去り別居」として問題視されています。

子供を連れ去って行方をくらましたり、別居して暮らす親との面会交流を拒否したりするケースも少なくありません。

 

子連れ別居と子供の連れ去り別居(違法な連れ去り)の違い

子連れ別居と子供の連れ去り別居(違法な連れ去り)は、夫婦の一方が子供を連れて出て行くところは同じです。

でも、子供を連れて行くときの対応に違法性があるかどうかという点が違います。

明らかに違法ではなくても、子供を連れて別居するときの対応が不適切な場合も、子供の連れ去り別居(違法な連れ去り)となることがあります。

 

子供の連れ去り別居(違法な連れ去り)が注目される経緯

子連れ別居と違法な連れ去り

子供の連れ去り別居(違法な連れ去り)が注目されるようになったのは、最近のことです。

以前から、夫婦関係が悪化して妻が子供を連れて家を出ることはよくありました。

 

でも、夫に無断で子供を連れ去って別居しても、問題視されませんでした。

「子供を育てるのは女性の仕事」、「別居後も子供は女性が育てる」という考え方が社会一般に浸透していたからです。

子供を連れ去った妻側は「当然」だと思い、連れ去られた夫側も「仕方ない」と思う傾向がありました。

 

家庭裁判所の手続きで連れ去られた子供の親権を争うときも、子連れ別居のやり方は問題にされず、監護の継続性ばかりが重視されていました。

 

監護の継続性とは

監護の継続性とは、子供を継続して監護している親を親権者とするのが子供の福祉(幸せ)にかなうという基準です。

 

具体的には、親権者を決めるときに「別居後、誰が子供と一緒に住んでいるか、その期間はどれくらいか」が重視されます。

別居後の子供の生活に大きな問題がなければ、「子供が馴染んでいる現在の環境を変えるのは良くない」と判断されるのが一般的です。

別居から期間が経つほど監護の継続性が重視され、子供の連れ去りがあったとしても「監護の継続性」を打ち破る根拠にはなりませんでした。

 

つまり、監護の継続性の基準に基づくと、連れ去り別居があったとしても、別居後に子供が落ち着いて生活できていれば、連れ去りをした親が親権者に指定されます。

 

子供の連れ去り別居(違法な連れ去り)が注目されるように

でも、男性の育児参加が進み、男性の育児に対する関心が高まるにつれて、黙認されてきた連れ去り別居に異を唱える人が増え始めます。

  • 男性が子供を引き取って育てる家庭がある
  • 離婚後の共同親権制を採用する国が多い
  • 離婚後の共同親権を主張する団体がある

こうしたことも一般的に知られるようになりました。

その結果、連れ去り別居の被害者が声を上げ、それがネットや口コミで徐々に拡散されて、連れ去り別居が注目され始めています。

 

また、ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)加盟に向けた検討が始まった頃から、家庭裁判所も方針を変えています。

具体的には、「違法な連れ去りで子供の監護が開始された場合、監護の継続性として正当化せず、別居前の監護状況に戻した上で改めて監護者や親権者を判断する。」という方針が示されました。

不適切な子連れ別居に司法も目を向けたわけです。

 

2015年7月に日本がハーグ条約に加盟した後は、違法な連れ去りが認められるケースについては子供を別居前の状態に戻す判断が出るようになっています。

 

子連れ別居・子供の連れ去り別居(違法な連れ去り)の「違法性」とは

子連れ別居と違法な連れ去り

子供の連れ去り別居(子供の違法な連れ去り)が認められるのは次のような場合です。

 

未成年者略取・誘拐罪(刑法第224条)

刑法第224条では、以下のとおり定められています。

未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

引用:刑法第224条

 

未成年者略取・誘拐罪(刑法第224条)に該当する子連れ別居は、違法な連れ去りです。

たとえ親でも、該当すれば身柄を拘束される可能性があります。

 

略取

略取とは、暴行や脅迫など強制的な手段によって、相手の意思に反して元々の生活環境から引き離して支配下に置くことです。

例えば、嫌がる子供を強引に連れ去ったり、引き留める相手を振り払って子供を連れ去るケースが略取にあたります。

 

誘拐

誘拐とは、偽計や誘惑など間接的な手段によって、元々の生活環境から離脱させて支配下に置くことです。

例えば、「お父さんは不倫しているから一緒に暮らせない」などと嘘をつき、子供を連れ出すケースが誘拐にあたります。

ただし、子連れ別居が誘拐に当たると判断した判例は見当たりません。

 

未成年者略取・誘拐罪が適用されることは稀

結婚中は、父母の両方が子供の親権を持った状態(共同親権)です。

裁判所は、連れ去りのやり方次第では親権者でも違法性は阻却されないという方針です。

でも実際のところ、親権(監護権)のある親が子連れ別居して未成年者略取・誘拐罪に問われたケースはほとんどありません。

 

また、子供の親を刑事告訴することをためらう人も多いものです。

 

子連れ別居の方法が不適切

未成年者略取・誘拐罪には該当しないが子連れ別居のやり方が不適切な場合、家庭裁判所が連れ去り別居(違法な連れ去り)と認めることがあります。

家庭裁判所で子供の違法な連れ去りと認定されることがあるのは、次のような場合です。

  • 夫に黙って無断で子連れ別居した
  • 通園先や通学先から子供を連れ帰った
  • 子供を道路などで待ち伏せして連れ帰った
  • 監護親に無断で家に押し入って子供を連れ去った
  • 面会交流などで子供を自宅へ連れていき、監護親の元に戻さなかった
  • 別居後の子供の監護者について合意できてないのに子供を連れて別居した

現在、夫婦の合意がないのに無断で子供を連れ去った場合、家庭裁判所では連れ去り別居(違法な連れ去り)だと判断されるようになっています。

 

子供の連れ去り別居(違法な連れ去り)・子連れ別居と親権

違法な連れ去りと親権

「子供の親権者になりたいときは、子連れ別居すると良い」

こんな話を聞いたことはありませんか。

弁護士や弁護士法人が運営するウェブサイト、弁護士からの提携料や広告収入で運営されているウェブサイトには、はっきり書いてあることもあります。

離婚について弁護士に相談して子供の親権者になりたいと主張したときにも、同じような提案をされることがあります。

 

でも、これは古い情報です。

日本がハーグ条約を締結した後、子供の違法な連れ去りが認められるケースでは子の引渡しが認められる傾向があります。

また、連れ去られた側の親が子供の監護者に指定されるケースも増えています。

 

つまり、連れ去りによって親権者の適格性が疑われ、連れ去り親が親権者になれないケースが増えているのです。

不適切な子連れ別居でも違法性が認められず、監護の継続性に基づいて連れ去り親が親権者に指定されるケースは未だにあります。

でも、親権者を決める要因の一つとして、不適切な子連れ別居した親を厳しく評価する傾向が出てきたのは間違いありません。

 

子供を連れて別居する場合に、夫婦間で別居や子供の監護について合意をしておくことの重要性が以前より高くなっているのです。

こうした状況で子供を連れ去れば、連れ去りの事実によって親権者になれなくなるリスクがあります。

 

発信者が弁護士だからといって情報を鵜呑みにせず、最新の情報を仕入れることが大切です。

あや

 

連れ去られた子供を連れ戻す方法

連れ去られた子どもを取り戻す方法

連れ去られた子供を連れ戻す方法は5つあります。

  • 家庭裁判所の審判
  • 人身保護請求
  • 人事訴訟
  • 民事訴訟
  • 刑事訴訟

 

家庭裁判所の審判

家庭裁判所に「子の監護者の指定」と「子の引き渡し」の審判の申立てを行い、同時に審判前の保全処分も申立てを行います。

事件名 説明
子の監護者の指定 法律上、夫婦の一方を子供を監護する人として定める手続き
子の引き渡し 連れ去り別居などで離ればなれになった子供を、自分のところへ引き渡してもらうことを求める手続き

 

子の引き渡しだけを求めることもできます。

でも、引き渡しが認められても監護者が指定されていないと実効性がないので、通常は2つの審判を同時に申し立てます。

審判前の保全処分とは、審判確定を待つと子供に悪影響が及ぶおそれがある場合などに、審判によって得られる地位や効果を仮に定める手続きです。

簡単に言えば、「子の引き渡しの審判が決まる前に、子の引き渡しを仮に決める」手続です。

あや

 

注意したいのは、家庭裁判所は子連れ別居(違法な連れ去り)が不当かどうかだけでなく、子の利益(子の福祉)まで慮して判断するということです。

 

どういうことか。

 

違法または不適切な事情があっても、次のような事情を考慮して子の利益(子の福祉)を理由に引き渡しが認められない可能性があるということです。

子供の年齢、性別、性格、親子関係、親の監護実績、監護補助者の有無と補助できる程度、経済力、精神的安定度など

 

家庭裁判所の審判例1

子の引渡しが認められたケースの審判例を確認しておきます。

従前監護していた親権者の監護の下に戻すと未成年者の健康が著しく損なわれたり、必要な養育監護が施されないかったりするなど、未成年者の福祉に反し、親権行使の態様として認容することができない状態となることが見込まれる特段の事情がない限り、その申立てを認め、しかる後に監護者の指定等の本案の審判において、いずれの親が未成年者を監護することがその福祉にかなうかを判断することとするのが相当である。

引用:平成20年12月18日東京高等裁判所決定|家裁月報61巻7号59頁

 

簡単に言えば、「子の利益に反する事情がない限り、子供を子連れ別居前の監護親に戻してから監護者を判断すべき」という内容です。

ハーグ条約締結前に出された審判ですが、同条約の考え方に沿った内容となっています。

 

家庭裁判所の審判例2

子の引渡しの保全処分が認められるための要件について言及された審判例です。

本案の審判申立てが認容される蓋然性と保全の必要性が要件となる。保全処分が認容される要件を、子に対する虐待、子が相手方の監護が原因で発達遅滞や情緒不安を起こしている場合などが該当する。

引用:東京高等裁判所平成15年1月20日決定|家裁月報55巻6号122頁

 

迅速に判断しないと子の利益(子の福祉)が害される場合に保全処分が認めるというもので、虐待や子供の状態など具体的な内容が示されています。

この審判例のケースでは、監護の継続性を理由に保全処分は認められませんでした。

あや

 

人身保護請求

人身保護請求によって子供の引き渡しを求める方法です。

人身保護法を根拠法とする民事訴訟手続で、以前は子連れ別居への対応として活用されていました。

でも、次の理由から人身保護請求を利用して子供の引き渡しを求めるケースは減少しています。

  • 請求を認める要件に解釈の変更があったこと
  • 本来は家庭裁判所で取り扱うべき内容であること
  • 家事事件手続法の施行により家事事件で迅速処理の枠組みができたこと

 

人事訴訟

離婚訴訟を提起し、付帯請求として子の引き渡しを求める方法です。

家庭裁判所が離婚と一緒に判断してくれますが、訴訟提起から判決までには相当な時間がかかるので、迅速な処理を求めるときは別の手続きを活用した方が良いでしょう。

 

民事訴訟

親権や監護権に基づく妨害排除請求として子の引き渡しを求める方法です。

 

刑事告訴

未成年者略取・誘拐罪で相手を刑事告訴し、子供を引き取る方法です。

 

円満に子連れ別居をするための方法

子連れ別居する方法

円満に子連れ別居をするための留意点は、以下のとおりです。

  • 無断で子連れ別居しない
  • 別居することを子供に伝える
  • 子供の体調に気を配る
  • 面会交流を実施する

 

無断で子連れ別居しない

まず、どちらが子供を監護するか夫婦でよく話し合うことです。

夫婦で落ち着いて話し合う機会を設け、子供を連れて別居したいことを相手に伝え、別居中の生活の予定についても話しましょう。

夫婦だけでは話せないか話しても合意できないときは、夫婦関係調整(離婚)調停の申し立てる方法もあります。

 

連れ去り別居をすると、夫が家庭裁判所に子の監護者指定や子の引き渡しの審判を申し立てる可能性があります。

そして、家庭裁判所が違法な連れ去りだと判断すれば、子供を相手に引き渡すことになります。

親自身もツラいですし、引っ張りだこになる子供はもっとツラいです。

 

また、子連れ別居に相手の同意が得られないと、「子供が自分と暮らしたいと言っている」などと子供をダシに使いたくなることがあります。

でも、別居を希望しているのはあなた自身なので、子供のせいにするのはNGです。

 

また、「誰と一緒に暮らしたいか。」と聞くと、子供は「ママと一緒に暮らしたい」と答えますが、気を遣っているだけで本心ではありません。

子供を疲弊させるだけなので控えてください。

 

別居することを子供に伝える

夫婦の別居の一番の被害者は子供です。

何の責任もないのに親の不仲の責任を感じ、片方の親との離別や転居・転校などを強制されます。

別居や子供の監護者を決めるときは、子供の年齢や理解力に応じて事情を説明し、子供の意見や希望を尊重して決めましょう。

 

子供の体調や機嫌が良いときに、夫婦が一緒に説明して子供の話を真摯に聞いてあげてください。

 

そして、「親が話し合って決めるから、あなたには何の責任もない。」と伝え、子供を安心させてあげましょう。

子供の意見が夫婦の考えと異なるときは、子供の意見を尊重しながら改めて夫婦で話し合います。

どうしても子供の意見を尊重できないときは、子供が傷つかないように話をしてあげてください。

 

子供の体調や変化に気を配る

子供は、親が思っている以上に家族関係や家庭の事情をよく理解し、誰よりも気を遣って疲弊しています。

例えば、ママと暮らす子どもが、「お父さんと別々に暮らしてから家の中が明るくなった」、「もうお父さんには会いたくない」などと言うことがあります。

でも、ママ以外の人には「お父さんが住んでいる家に帰りたい」、「もう家族全員で生活できないのかな」などと悩みを告白したりします。

 

また、子供は環境の変化にとても敏感なので、別居後の新しい環境に馴染めず体調を崩したり、登園や登校をしぶることもあります。

子供の気遣いに甘えず、また、親として子供の体調や変化に気を配り、何かあればすぐ対応してあげることが大切です。

 

面会交流を実施する

同居中の夫婦関係の悪さや、別居親の家事育児への貢献度の低さなどを理由に、別居後の面会交流に応じない親がいます。

でも、子供が健全な成長を遂げるためには両親の関わりが欠かせません。

別居親は、子供が喜ぶような面会交流の方法を考え、同居親は、自ら積極的に面会交流をさせるよう心がける必要があります。

 

子供の連れ去り別居を防止する方法

子の連れ去りを防止

結論から言うと、子供の連れ去り別居を防止するのは非常に難しいです。

なぜなら、子供の連れ去り別居は、何の前触れもなくある日突然実行されるからです。

 

でも、次のような方法で連れ去りを防止できる可能性はあります。

  • 子供の連れ去り別居をしないことを約束させる
  • 子供の連れ去り別居のデメリットを伝える
  • 子供への悪影響を伝える

 

子供の連れ去り別居をしないことを約束させる

夫婦仲が悪くなって別居の話が出るようになった段階で、連れ去り別居をしないことを約束させる方法です。

ただし、一方的に約束させるのでは反発を招き、かえって連れ去りを助長してしまうリスクがあります。

「別居するときは子供をどちらが引き取るか話し合うことにする」程度の約束をしておくのが無難でしょう。

 

子供の連れ去り別居のデメリットを伝える

連れ去り別居をしないことの約束をするときには、連れ去り別居のデメリットも伝えておきます。

連れ去り別居の一番のデメリットは、子供に悪影響を及ぼすことで、これを理由に連れ去りを思いとどまってもらえるのが望ましいです。

でも、最も有効なのは、子供への悪影響を伝えるよりも、「連れ去り別居すると親権者の適格性が疑われると伝えること」です。

 

連れ去り別居する親は、ほぼ100%親権者になるために子供を連れ去るので、親権者になれない可能性を提示されるとためらいます。

今は連れ去り別居をすると親権者になりにくい状況があるので、抑止力になるはずです。

 

子供への悪影響を伝える

夫婦関係と親子の問題を分けて考えられる相手なら、連れ去り別居が子供に悪影響を与えると伝え、連れ去り別居を思いとどまらせることも可能です。

ただし、配偶者が弁護士に依頼していた場合、弁護士に唆されて連れ去り別居を強行するケースもあるので、注意が必要です。

 

まとめ

子の連れ去り別居や子連れ別居は、少し前なら「当たり前のこと」でした。

連れ去った側にとっても、連れ去られた側にとってもです。

連れ去るのは母親が多く、子供は母親が育てるものというのが社会の一般的な感覚だったからです。

 

子供を連れ去られた父親を中心に異を唱える人はいましたが、子供を守るべき家庭裁判所でも連れ去った親を親権者に指定するような状況でした。

 

ハーグ条約を契機に風向きが変わりますが、未だに子連れ別居が後を絶ちません。

連れ去った親が親権者になるケースも相次いでいます。

 

ただし、違法な連れ去りが認められるケースは、子供を非監護親のところに戻す判断が増えており、若干ですがハーグ条約との整合性がとれるようになっています。

面会交流の原則実施や共同親権の動きと相まって、今後も変化することが期待されています。

 

裁判所の実務は世の中の流れに一歩遅れて変更されるのが常です。

でも、子の連れ去りに関する日本国外の問題意識が高まっており、大きな変化が見られる可能性は十分にあります。

子連れ別居を考えている人は、夫婦で合意した上で子供を連れて出ないと親権者になれないリスクがあることを認識しておく必要があります。

連れ去られた人は、子供を取り返すことを諦めず、周囲を巻き込んで現状のおかしさを伝える努力が求められます。

5年前