2021.04.16 衆議院法務委員会 串田誠一議員 質疑
串田誠一議員
稲田委員からブルーリボンの話がありました。私も外した事が無いんですが、この拉致特別委員会が、四月で二年間ぐらい、所信だけで質疑が行われていないんですね。ですから与野党ともに一丸となって、この委員会は開催し、そして日本の姿勢と言うものをしっかりと北朝鮮に示していくべきであると言うふうに述べさせていただき、今日の質問に入りたいと思います。
最初に一昨年で御座いますが、国連児童の権利委員会、日本の第四回、第五回政府報告に関する総括所見。よくあの私も質疑で国連勧告と言うふうに言わせていただいているんですが、これに対して政府はどのように考えているのか、不当な内政干渉と考えているのか。それとも心当たりがあって、改善をしなければいけないと言うふうに考えているのか、お答えいただきたいと思います。
外務省 赤堀大臣官房審議官
お答えいたします。先ずご指摘の日本の第四回、第五回政府報告に関する総括所見における勧告の内容につきまして、我が国に対して法的拘束力を持つものでは御座いませんが、外務省から関係省庁に然るべく情報を共有しており、関係省庁において、十分に検討する事としております。
小出民事局長
お答えいたします。児童の権利委員会から、平成31年2月の総括所見の中で、父母による共同養育を実現するため、離婚後の親子関係について定めた法令を改正するとともに、親と離れて暮らしている子と親との人的関係及び直接の接触を維持するための、子の権利が定期的に行使できる事を確保すべきである旨の勧告があった事は承知しております。我が国の親子法制につきましては、法律面及び運用面何れにつきましても子どもの利益の観点から、必ずしも十分なものとなっていないとの指摘が国内外からされているところで御座いまして、この勧告もこのような指摘を踏まえて、行われたものと理解をしておりまして、この点については真摯に受け止めているところで御座います。法務省と致しましては、離婚及びこれに関連する制度の見直しに関する充実した調査審議が法制審議会において行われるよう、事務局を担う立場から必要な対応に務めていきたいと考えております。
串田誠一議員
今外務省でしたか、法的拘束力が無いと仰いましたが、こう言う勧告で法的拘束力があるものって殆ど無いですよね。今日本もマグニツキー法を制定しようとしているんですけど、これも国内の資産を凍結するとか、そういうような事であって外国に関してね、法的拘束力を与えるなんて言うのは無いんですよ。だからそれを言って、なんかこう大したものでは無いと言うような感覚を表明するのは止めていただきたいんですね。真摯に受け止めていただくと言うのは、私は必要だと思うんですが、上川法務大臣、答弁で子どもの権利条約を日本は守っているんだと言う答弁をされていて、今真摯に受け止めていると言う話なんですけど、こことの間でどういうふうな整合性を考えたら良いですか。もし大臣では無ければ民事局長。
小出民事局長
あの先ほどもお答え申し上げました通り、国内外から様々な指摘、親子法制について、法律面運用面について御座います。このような勧告が、このような指摘を踏まえて行われたものと言う事で、この点は真摯に受け止めた上で、現在法制審議会で調査審議がされております、離婚及びこれに関連する制度の見直しについて、こういった指摘を活かしていきたいと言うふうに考えていきたいと考えております。
串田誠一議員
結局履行していないんですよ。じゃなかったら、こんな勧告する訳がないじゃないですか。ところでこの勧告に関しては、政府はどのような対応をされたのでしょうか。
外務省 赤堀大臣官房審議官
お答えいたします。国際人権条約に基づき設置された委員会による総括所見については、その次の政府報告においてフォローアップに関する情報を含める事となっております。本件総括所見におきましても、次回報告において対応する事を考えております。
串田誠一議員
結局無視しているんですよ、勧告を受けても。何の返答もしていない。
次に昨年7月8日採択された欧州議会において、日本において親による子の連れ去り事例が多数発生していると言う事に対して、政府はどのように、この点について返答したのかお答えください。
外務省 河津官房大臣参事官
お答え申し上げます。今委員からご指摘をいただきました、欧州議会本会議におきまして、採択された決議で御座いますけれども、この決議を含めまして、子の連れ去りに関しましては日本政府からEU側に対し様々なレベルで、ハーグ条約の対象となる事案については、ハーグ条約に基づきEU加盟国の中央当局との協力を通じて、一貫して適切に対応してきている事。また国内の子の連れ去り事案についても、子の利益の観点から、法に乗っ取って適切に対応し、児童の権利条約を誠実に遵守している事。そして国内外の様々な意見も参考にしつつ、離婚及びこれに関連する制度について、必要な検討を行っている事。こうした事を説明してきているところで御座います。
串田誠一議員
何か文面は出されたんですか?
外務省 河津官房大臣参事官
お答え申し上げます。EU側との間では、様々なやりとりを行っておりますけれども、例えば昨年11月、対日交流議員団との会合におきまして正木EU代表部大使から、日本の法制度や取り組みについて、口頭にて説明を行い、その後も欧州議会関係者とのやり取りを継続しているところで御座います。これ以上のやり取りに関しましては、外交上のやり取りになりますので、詳細についてはお答え意を差し控えたいと思います。
串田誠一議員
勧告も文面で出されていますし、採択も文面で出されているのに、日本は文面で返した事がないんですよ。口頭で何か説明をしたとか言っている訳ですけど。こんな事でね、国際的な信頼を得られると思いますか。大臣に対して所信で、こういうものを無視していて良いんですか質問をしましたら、無視は良くないと返答をいただいた事があるんですけど、昨年の2月フランスの上院議会で、この子の連れ去りに関して満場一致で日本への非難決議がなされた。その時にも質疑をさせていただきました。何か返答をしないと、また次は大きい事がまた次に起きますよと申し上げました。正にそれが7月の欧州議会で賛成683、反対1ですよ。殆ど全会一致で日本の連れ去り問題を非難決議している。今の回答のように、ちゃんと遵守していると言っている。そういう状況でですね、日本だけが、こんな683票で非難決議が採択されるなんて事、あり得ますか。ちゃんと履行していると言うのに。そういった事を真摯に受け止めてと言いながら、ちぐはぐな事をね、だけど守っているんだなんて言うような事は、これはやっぱり、日本の国益を損なうんだと言う事を理解していただきたいと言うふうに思います。
ところで今法制審議会で、連れ去りと言う言葉は使わないで欲しいとか言う意見もあると思うんですが、これは以前に法務委員会で質問した事もあるんですけど、この欧州議会における英語。
child abduction と言うのは、これは政府としてはどのように訳して、そして外務省としては、外国ではこの言葉はどういうふうに訳すのか、外国の中では理解し易いのかを法務省、外務省にお聞きしたいと思います。
外務省 河津官房大臣参事官
お答え申し上げます。ご指摘をいただきました、child abduction で御座います。こちら欧州議会で採択をされた決議と言う事で御座いまして、こちらにつきまして、政府として正式な訳を作成している訳では御座いませんが、便宜的にこの child abduction について子の連れ去りと訳しているところで御座います。外国ではどうかと言う事でございます。この欧州議会で採択された決議の例えばドイツ語のテキストを見ますと Kindesentführung フランス語のテキストでは enlèvement d’enfants と言うふうな言葉が使われておりまして、何れも英語で言うところのchild abduction に相当する言葉となっているふうに承知しております。
串田誠一議員
あの abduction と言うのは普通辞書で引くとなんと言うふうに訳されているんですか?
外務省 河津官房大臣参事官
今あの辞書が手元に御座いませんので、また様々な事象があると思います。色々な文脈によって色々な訳があると思います。
串田誠一議員
あの通告の中にあの child abduction って言って何て訳すのかって言う通告してるじゃないですか。辞書がないとか、外務省でしょう。
外務省 河津官房大臣参事官
一例と言う事で、今委員からも言及いただいております、ハーグ条約のタイトルで abductionと言うものが使われております。このabduction については奪取と言う訳語を条約の和文において当てているところで御座います。
串田誠一議員
これ普通には拉致とか誘拐って訳すんでしょ。奪取って言うのはちょっと特殊な、フランスの上院議会で私はその上院議員から頂いた日本語訳には実子の親子誘拐って書いてありましたよ。間違っているんですか、abduction ?
外務省 河津官房大臣参事官
お答え申し上げます。大変恐縮で御座いますけれども、フランスがどのような対応をするかと言う事については、私の方から説明する立場にないと言う事は、ご理解いただきたいと思います。
串田誠一議員
まぁこれ続けませんけれども、かなり厳しい印象を与える言葉として採択をされているんだと言う事だけは理解していかないとね。これあの対外国EUの欧州議会が日本に対する、非難決議な訳ですよね。その言葉を日本が適当に訳して言えば不味い訳で、常識的な文言として理解をする。そしてそれば厳しい指摘であれば、それは厳しい指摘として真摯に受け止めていかないとね。それをこう上手い具合に訳しておいて、大した事がない、或いは法的効力がないからなんて事を言っていたら、いつまで経っても、日本は非難をされ続けてしまうのではないかと言うふうに思っているので、これ改善していただきたいと言う思いで、また質問させていただいているんですが。
24カ国調査がありまして、今法制審議会でも審議されていると思うんですが、日本は非常に珍しい単独親権制度と言うふうに言われています。他の国は殆ど共同親権も採用出来る国になっている訳ですが、その中でインドとトルコだけは日本と同じように単独親権と言われていますけれど、インドも共同監護を認めた判例があると24カ国調査に書いてあります。トルコもですね、イスラム教の国ですので、女性が中々社会進出のし難い国の中で単独親権なんですが、それでも協議離婚を認めないと言うふうに、24カ国調査には書いてあって、日本だけがですね、非情にこう子どもに対する手続きが簡略化されていると言うか、そのまま放置されていると言うような、状況で御座います。日弁連70年記念誌にも、表現技巧における子どもの権利の中で、諸外国の法制が紹介されています。我が国では色々とあるんですが、別居や離婚に伴う子どもの保護を実質化させる法制度や支援制度が十分整っていると到底言い難い状況にあると、日弁連70年誌にも指摘されていて、正にこの24カ国調査を見ても、前にちょっと質問をさせていただきましたが、一番目立つのは日本は本当に何の約束事も決めないで、夫婦間だけで決めてしまって、被害者が子どもになっていると言う認識が私は感じるんですが、大臣この点、日本の法制度このままで良いでしょうか?
上川法務大臣
父母の離婚に伴いまして、子の養育に関する法制度の在り方、これが非常に重要な事であると認識をしております。チルドレンファーストと言う事を所信の中で申し述べたところで御座いますが、親の離婚や別居の影響で子どもの地位をどのように確保するのかと言う視点と言うのは、視点の置き方として、子どもに着目をしていくと言う事は極めて重要であると、私自身認識をしております。今回その父母の離婚に伴いまして、この要求に対する法制度の在り方について、法制審議会に今年の2月に諮問をしたところで御座いまして、既に家族法制部会におきまして、検討を始めていただいている所で御座います。この部会におきましては、関連する制度上の課題を幅広く取り扱うと言う形の委員の方々に議論をしていただくと言う事で御座いますので、審議が十分に尽くされるように法務省としても、しっかりとして参りたいと思っております。先ほど申し上げたように、常々ですね、私自身父母の離婚を経験する子どもたちの目線と言う事を、私たちは今まで考えてこなかったのではないかと。今回の調査も本当に初めて、子どもの目線で調査を致しました。小さくても、しっかりとその現実を見ています。そしてその事が大きな影響になったり、またその中から様々な子どもの声が発せられていると。それをちょっと封じ込めてきたのではないかと思うぐらい、子どもを冷静に親の様子、家庭の状況を見ています。その視点と言うものを大事にしていくと言う事が何よりも必要ではないかと言う事で御座いますので、出来るだけ現実の動きを、もっと具体的に則して、調査もしっかりと行った上で、審議がしっかりとなされるようにして参りたいと思っております。
串田誠一議員
民法766条では協議して定めるとなっていて、協議が整わない時には、家裁でそれがされると言うのが766条に書いてあるんですね。ところが家裁で決定すると言っても、これも質疑をしましたが、家裁の調停の平均期間と言うのは9カ月かかる訳ですね。その時に協議して定めると言う場合に、日弁連60年誌にはこう言う記載があるんですね。我が国ではこのような、違法な連れ去りがあったとしても、現場を重視する実務の下で違法行為が全く問題にされないどころか、違法に連れ去った者が親権者の決定において有利な立場に立つのが一般であるって書いてあるんです。何を言いたいかと言うと766条、折角協議して定めると書いておきながら、連れ去るとその人が親権者になる事が非常に有利になるのが一般的であると、だからみんな連れ去る訳でしょう。諸外国はこういうような時に、迅速に司法審査が入って、そういう連れ去りを行わないで済むような養育計画を定めてくれるから、堂々とそれは別居し、夫々が今までの養育状況を勘案しながら、養育計画を決めてもらえるわけです。だからわざわざ連れ去る必要もないし、置いていけとかそんなトラブルを発生させている必要性はない訳ですよね。そのためには司法審査の介入が増えなければいけないんですが、日弁連の調査だと、日本の裁判官の数は圧倒的に少ないんですよ。これはそう言うような制度を作っていないから、裁判官が必要になっていない。これはですね、今直ぐに裁判官を増やす事が出来ないのであるならば、私は弁護士に非常勤裁判官制度と言う制度を採用して、そうしてこの子どもの権利条約のレビューと言うものを実現していただければ、あっと言う間に世界から非難されない制度になると言う事を申し上まして、質問を終わりにしたいど思います。有難うございました。