https://note.com/20130919/n/na201869e6ba4
嘉田由紀子
皆さまから如何に今の家庭裁判所が忙しくて、そして家事事件が中々当事者の納得出来るような結果が出ていないと言う事を、正に真山議員が数字で示していただきました。お一人190件から250件、大変な数字ですね。しかも伊藤議員が仰ったように調査員との調停、或いは時間。同時に10件も起きていたら、それは裁判官が具体の事例に立ち会えない、聞けない、そして間接的に判断しなくてはいけないと言う時に、今まで私何度もこの離婚関係の事で申し上げてますけれども、継続性の原則とか、親権を決定するのに既存のレールに乗って判断するしかないと言う、ある意味で家庭裁判所の出てくる結果が何故なのかと言う事を、今日皆さんの議論で伺ったような気が致します。これは社会的にも大変重要な問題ですので、今回この裁判所の定員法でも、特に家事事件についてより増強していただきたいと言う事を申し上げながら、先ず最初のご質問は、前回取り残してしまったところを、特に子どもの連れ去り。本当にこれは見えないところで起きております。
実は3月30日に質問した時の後、大きな情報が入りました。4月の2日に将棋界で八段の橋本棋士が突然プロを辞めると。その理由はと言うのをYoutubeで聞かせていただいたんですけど、産まれた直後の大事な長男を連れ去られたと。それでご長男さんの写真から、お風呂に入れていたりと言う事を切々と訴えておられます。自分は浮気もしていなければ、DVもしていないし、虐待もしていない。ある日それこそ家に帰ったら子どもさんが居ない、そして奥さんの姿も見えない。その後裁判に入っていると言う事ですけれども、この配偶者或いは夫と妻それぞれの了解なり説明なしに突然子どもが連れ去られる。この事について前回聞かせていただきましたけれども、追加を刑事局長はじめ、皆さんにお伺いしたいと思います。また橋本棋士の例などは、もっともっと深く追求する必要があると思いますので、次回に回させていただきますけれども、先ず前回の続きですね。3月30日の続きで、子の連れ去りに対しては英国では裁判所侮辱罪、児童奪取罪、コモン・ロー上の誘拐罪、刑事的な制裁が成されている。またフランスでも未成年者の奪取の罪や未声援者の不引き渡しの罪が規定されております。それぞれ運用の在り方があるかと思いますけれども、単純な比較はできませんが、日本では子の連れ去りが放置されていると言う、子どもを連れ去られ、子どもに会う事が出来なくなった親の訴えが数多く主張されておられます。先ほどの橋本棋士の話でも、多分奥様の言い分はあるんだと思います。その辺が社会的に出てこないので、あまり一方的な判断をするべきではないと思いますけれども、この事実として、ある日突然子どもが居なくなってしまったと言う事は重く受け止めるべきだと思います。そこで法務省さんにお伺いをします。夫婦間、或いは元夫婦間における、子の連れ去りや、連れ戻しに対する刑法の罰則規定の適用についてどのようにお考えでしょうか。法務省さんにお願い致します。
川原刑事局長
お答え申し上げます。先ず具体的事案における犯罪の成否は捜査機関に収集された証拠に基づき、個別に判断される事柄でありますのでお答えを差し引かせていただきますと言う点をご理解賜りたいと思います。その上であくまで一般論として申し上げれば、刑法224条の未成年者略取及び誘拐罪は未成年者を略取し、または誘拐した場合に成立するものと承知しております。また委員ご指摘のような事例は事案によりましては、刑法226条の所在国外移送目的略取及び誘拐の問題になるところで御座いますが、この罪は所在国外に移送する目的で人を略取し、誘拐した場合に成立するものであると承知しております。これらの罪の関係で御座いますが、最高裁判所の判例の事案をご紹介申し上げますと、他の親権者が監護養育している子を略取しまたは誘拐する行為については、親権者によるものであっても、略取または誘拐罪が成立するとした、最高裁の判例もあるものと承知しております。その上で検察当局におきましては、夫々に事案に応じて、法と証拠に基づき適切に対処していくものと承知をしております。
嘉田由紀子
今ほどのその最高裁の判例はいつの時点、そして何件あるのか。その辺り具体的にお教えいただけますか。
川原刑事局長
お応え申し上げます。私どもでご紹介出来る最高裁の判例として二つ御座います。一件は最高裁判所の平成15年3月18日の決定で御座います。もう一件は最高裁判所、平成17年12月6日の決定で御座います。
嘉田由紀子
ありがとうございます。勿論個別の事案について、出せない所あると思うんですけが、もう少し詳しく具体的に平成15年、17年の事案をご説明いただけますか。可能な限りで結構です。
川原刑事局長
お応え申し上げます。最初一件目平成15年の決定の事案で御座います。これはオランダ国籍。被告人がオランダ国籍で、このオランダ国籍の被告人が日本人の妻と婚姻していたところ、別居中の妻が監護養育していた、二人の間の子どもをオランダに連れ去る目的で連れ去ったと言うもので御座います。最高裁判所はこれにつきまして、被告人の行為は国外移送略取罪にあたる事は明らかであると言う事で、国外移送略取罪を認めた原判断は正当であると言う判示をしております。
もう一件が平成17年、二件目で御座います。これは共同親権者の一人である、子どもの共同親権者であるその実家で、共同親権者の実家で監護養育されていた子どもを連れ去ったと言うもので御座いまして、これにつきまして最高裁判所は未成年者略取の構成要件に該当する事が明らかであると判事した上で最終的に未成年者略取罪の成立を認めた原判断は正当であると判示しております。以上で御座います。
嘉田由紀子
はい、あの未だハーグ条約が締結される前ですよね、平成15年と言うと。海外との事例で色々とあると思いますが、今日のところはここまでで終わらせていただきますけれども、本当にこの子どもの連れ去り、きつい言い方ですと実子誘拐と言うのは日本で隠れた事案で御座います。その辺りはこの後、いかに正に民事に刑法が入るのか。これは日本の法制度のかなり根本的な問題になってくると思いますけれども、ここは例えばDVを刑事罰に出来るかどうかと言うような話も含めてですね、かなり本質的な問題が隠れていると思いますので、また次にさせていただきます。