第204回国会 参議院 法務委員会
第2号 令和3年3月16日
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120415206X00220210316
054 伊藤孝江
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○伊藤孝江君 ありがとうございます。
では、次のテーマに移らせていただきます。別居、離婚に伴う諸問題についてお伺いをいたします。
臨時国会の際には、養育費の件について大臣にもお伺いをさせていただきました。養育費の検討につきましては、法務省も種々いろんな検討、取組を進めていただいております。
先週ですかね、三月十二日には、法務省で初めての動画チャンネルで養育費のバーチャルガイダンスということで公開をされたというふうにも伺っております。ちょっと、今日までに見てこようと思っていて、まだ見てはいないところなんですけど、すぐ見せていただきたいと思っております。
この中で、養育費の簡単な情報提供というのか、理解をいただくことであったり、また、最後、小野田政務官からも応援メッセージをという形で、本当に養育費という大切なことを親しみやすくというのか、しっかりと理解をしていただくための工夫を重ねていただいているということも含めて感謝をさせていただきまして、しっかりとまた私も後押しをさせていただきたいと思っております。
その中で、法務省としまして実態調査を行われております。これも先週調査結果が発表されていますけれども、未成年時に親の別居、離婚を経験した子供に対する調査の結果が公表されました。
この実態調査も、私たち公明党としても求めさせていただいたところですので高く評価をさせていただきたいと思いますけれども、まず、この実態調査におきまして目的としたこと、また調査の観点として重視した点について御説明いただけますでしょうか。
055 小出邦夫
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○政府参考人(小出邦夫君) 法務省では、今回、父母の離婚が子供に与える影響を把握するための実態調査といたしまして、未成年の間に父母の別居や離婚を経験した男女合計千名を対象にアンケートを行いました。
父母の離婚後の子の養育の在り方につきましては、養育費の不払解消や安全、安心な面会交流の実施等、子の利益の観点から様々な課題が指摘されているところでございます。離婚制度は、直接の当事者である父母だけでなく、その間にもうけられた子供の生活や成長にも重大な影響を及ぼすものであることなどを考慮いたしますと、父母の離婚後の子の養育に関する法制度の在り方を検討するに当たっては、子供の置かれている状況やその実態を前提にする必要があると考えられるところでございます。こういった問題意識の下、今回、法務省として初めて、父母の離婚時に子供の立場にあった方々の声を聞く調査を実施することとしたものでございます。
今回の実態調査では、子供の目線を重視して実態をより的確に把握するという観点から、別居、離婚後の家庭の状況、その状況下での子供の思いや行動、成人になった段階での未成年期の振り返りなど、幅広い事項について質問を実施したものでございます。
056 伊藤孝江
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○伊藤孝江君 この実態調査の受け止めについて、大臣、いかがでしょうか。
057 上川陽子
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○国務大臣(上川陽子君) この問題の一つの大きなコンセプトというか、子供の視点、子供にとって最善の利益になるかどうかということでございまして、父母の離婚に伴いまして子がどのように生活して成長していくのかということ、こうした観点から検討を進めるということが極めて重要であるということでございます。それゆえに、離婚の際に子供がどのような状況に置かれているかということについて、経験をした大人の方に自分の経験として語っていただく、実態把握させていただくということ、これでこの意味があるというふうに思います。
私も、今回の調査結果を見まして、お子さんがその当時どういう思いでいらっしゃったのかということに、設問は限られているわけでありますが、それに触れるという貴重なお声を聞かせていただいた思いでございました。改めて、親の離婚あるいは別居、こうしたことが子の生活や成長に大きな影響を及ぼしているんだということについて初めて目の前で拝見したという、そういう思いでございます。
この取組につきましての問題意識も、こうした調査から浮かび上がってくることも大切にしながら、法制審議会におきましても、お出しする重要な調査結果でありますので、しっかりと御検討をしていただきたいと強く思うところでございます。
058 伊藤孝江
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○伊藤孝江君 今大臣からも少しお話もありましたけれども、今回の実態調査の中で、最後の設問、自身の経験を踏まえて今後、父母の離婚又は別居を経験する子供たちについて、どのような支援や配慮をしていくことが望ましいと思いますかという設問があります。この回答が一番多い要望としては、離婚又は別居の前後に子供の精神面、健康面に問題が生じていないかをチェックする制度、また、次が、子供のための身近な相談窓口の設置ということで、本当に子供たちが心身共に大きな影響を受けているということも見ることができます。また、そこに続く要望としましては、子供の権利を尊重する法律の整備、父母の離婚又は別居時には子供の権利を尊重しなければならないことについての広報啓発活動というのが求められています。
まずは、本当にこの親の別居や離婚による影響を一番身近で大きく受けることになる子供たちが自分の権利が尊重されていないと、こう感じているということをやっぱり真摯に受け止めなければならないというふうに思います。
今後も議論の過程で子供たちの意見をしっかり聞いた上で新たな家族法制度の検討を進めるべきであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
059 小出邦夫
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○政府参考人(小出邦夫君) 今回の調査結果によりますと、今委員から御紹介していただいた回答のほかにも、例えば、子供の立場から、父母が不仲になっているときに、相談したかったが適切な人がいなかったとの回答が一九・〇%、父母に自分の考え、気持ちとして、伝えたいことはあったが伝えられなかったとの回答が二一・五%に及んでおります。また、子供にとって望ましい支援や配慮として、委員御指摘のとおり、子供のために身近な相談窓口の設置との回答が四二・九%となっている点も含めまして、父母の離婚等に際しまして子供の意思を適切に反映し、その利益を確保するための方策が必要とされている状況がうかがわれるところでございまして、そのような当事者の声をしっかり受け止める必要があるものと考えております。
父母の離婚に伴う子の養育の在り方に関しましては、そこで子の意見、意思をどのように反映させるかについて、法務省の担当者も参加した家族法研究会においても取り上げられております。研究会における本年二月の報告書では、例えば子の年齢や成熟度に応じて子の意思や意見を尊重しなければならない旨の原則を明示する訓示的、理念的な規律を実体法上設けるという方向で検討することが提案されていると承知しております。
この点も含めまして、離婚及びこれに関連する制度に関する法制審議会における今後の検討の具体的内容は法制審議会における議論の展開に委ねられるわけでございますが、子供の置かれている実態を踏まえましてファクトベースで充実した調査審議が進められるよう、事務当局としても努めてまいりたいと考えております。
060 伊藤孝江
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○伊藤孝江君 あと二つお聞きしたいと思っております。
一つは、まず、今回の実態調査を今後どのように生かすことができると考えているのかという点と、そしてまた、今回初めての大規模なこういう調査になりますけれども、今回の調査ではやはりまだ不足している点もあると思います。今後、個別のインタビュー形式なども含めて、より詳しい把握に努める調査も必要ではないかと考えます。
新たな観点や異なる視点から更なる実態調査を行うべきというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
061 上川陽子
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○国務大臣(上川陽子君) 今回実施をさせていただきました、実施をいたしましたこの調査でございますが、法制審議会におきましても子供の目線に立った制度の見直しを検討する上で貴重な資料の一つになるものというふうに考えております。
また、今回の調査結果につきましては、専門家の方々はもちろんでありますが、子の養育をめぐる課題につきまして関心をお持ちの方々などにも広く御覧をいただくと、幅広い世代に御覧をいただくということでございまして、現場の中でもまた活用をしていただく一つになればなというふうに思っております。法制審議会におきましての専門的な御検討にしっかりと供してまいりたいと思います。
そして、今御指摘いただきました更なる深いレベルの調査ということでございまして、私も、それは全く委員と同じ思いをしております。
どうしても全体の設問の取り方も既存のものに寄ってしまうということもありますので、全体の把握とともに、もう少し個別のケースを更に深めていくという、そうしたインタビュー調査のような手法も併せて取り入れていく必要があるのではないかということをこの調査をした上で強く認識をしたところでございますので、またそうした方向につきましては十分に検討をしてまいりたいというふうに思います。
062 伊藤孝江
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○伊藤孝江君 ありがとうございます。
スピードアップと併せて、深いまた検討という形でしっかり進めていただきますようよろしくお願いいたします。