アメリカの共同監護法は、一方が共同監護の申請をした場合、他方が拒否しても共同監護決定を裁判所ができるというものです。
真山さんも触れていますが、任意の取り決めでない場合で単独親権にする場合は、単独親権決定を求める側が申請して、裁判所が認めないとそうなりません。
この辺りを混同していますが、真山さんが言っているのは選択的単独親権で、共同親権選択制ではありません。
第204回国会 参議院 法務委員会 第2号 令和3年3月16日
真山勇一議員質問
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120415206X00220210316
真山勇一
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○真山勇一君 先ほどの磯崎委員の指摘もありましたけれども、やっぱりトレンドというか流れを見ていくことというのは是非やっていただきたい。そして、法律が、どんどん時代が先行っちゃって、やっぱり法律が取り残されているということがあるんじゃないかと思うんです。今まさにそういう、時代、とにかく速いです、流れが。ですから、やはりどんどんどんどん法律、まあ古い法律、特に民法なんというのは明治時代作ったものがまだまだ残っている部分がある、そうしたところはもう恐らく今の時代から見たら大変古いものである、何とか今の時代に合わせるものにしていかなければならないということはあると思いますので、是非大臣の、今のそのトレンド、流れを見詰めながら、見守りながら、それを是非やって、改革を急ぐということも一つ是非努力していただきたいというふうに思っております。
それから、もう一つ、その家族の関係でいうと、今比較的論議になっておりますのが親子の関係ということですね。やっぱり家族の複雑化、多様化の中で家族の形というのもどんどんどんどん本当に変わってきています。夫婦の形も変わってくるし親子関係も変わってくる。
今、離婚も、三組に一組が離婚をするという時代になっていて、もちろん子供がいる夫婦もいるわけです。その親の離婚後に、別居した親、片方の親との交流が今大きく制限されているのが我が国の現状だというふうに言われております。面会交流がなかなか思うようにできないという声がありますけれども、子どもの権利条約、これもまた国際条約になりますが、子どもの権利条約でも、これに著しく反しているのではないか、やっぱり国連からの勧告を受けています。これについては、上川大臣はどう受け止めていらっしゃいますか。
040 上川陽子
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○国務大臣(上川陽子君) この児童の権利条約でありますが、父母の離婚後の子の養育の在り方につきまして具体的な基準を必ずしも示しているわけではございませんので、どの程度の頻度で面会交流を行うとか、そういったことが子供の利益にかなうのかということについては個別具体的な事案ごとに異なるものと考えられるわけでございますが、我が国の現状が児童の権利条約に違反しているというような御指摘があるということについては承知をしているところでございます。
国連の児童の権利委員会からは、平成の三十一年の二月に、父母による児童の共同養育を実現するため、離婚後の親子関係について定めた法令を改正すること、また、子供と離れて暮らしている親と子の、子供との定期的な人的関係及び直接の接触を維持することを確保すべきであるとの勧告がなされたところでございます。
我が国の親子法制につきましては、制度面及び運用面のいずれにつきましても、子供の利益の観点から必ずしも十分なものとなっていないとの指摘もされているところでございまして、この勧告もこのような指摘を踏まえて行われたものというふうに理解をしております。私自身、真摯に受け止めさせていただいております。
041 真山勇一
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○真山勇一君 そこで、先ほど失礼しました、見ていただきたいと言った二枚目の表を見ていただきたいんですが、離婚後の親権制度の比較という表です。これは、法務省がこういうことに関して調査を行ったその調査結果をいただいて、私の方で少し加工、加工というか見やすいようにしたものがこの表でございます。
見ていただけるとお分かりのように、左側の赤い方、単独親権しか選択肢がないという国は日本、インド、トルコ、そして青色の方、共同親権も認められているという国はほとんどこちらの、これ、調査した二十四か国を分類したというものなんですけれども、これだけ違いがあるわけですね。これだけやっぱり、単独親権しか選択肢がないということなんですけれども、ハーグ条約で大臣のところにEUから手紙が来た、抗議の手紙というか、それとも改善してくれという手紙なのか、そういう手紙が来ました。それで、それに対して大臣も返信をされています。
やはりEUからこうした手紙を受けたということ、直接やっぱりこういうことを言われたということについて、大臣はやはりどんなふうにそれを思われたか、聞かせてください。
042 上川陽子
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○国務大臣(上川陽子君) 昨年の七月に、欧州議会におきまして、日本における子の連れ去りに関する決議という形で、父母の離婚後の親権制度、また子供の連れ去りの事案、また面会交流に関する決議が採択されたことにつきましては承知をしております。また、そのことについて、私自身、注意深くその御意見の内容についても受け止めさせていただいているところでございます。
我が国における父母の離婚に伴う法制度につきましては、こうした欧州議会決議で示されているものも含めまして、国内のみならず、また海外にも様々な御意見があるということでございます。
例えば、その中で、我が国におきまして父母の一方が無断で子を連れて別居をした場合に子を取り返すための法的手続がないなどといったこうした御指摘もございますが、一部には制度そのものの御理解というものについて十分でないなと思う点もございまして、今回のこうしたことを受けて、大臣所信におきましても、我が国の制度について、保護司もそうでありますが、できるだけ正確な情報を積極的に海外、内外に向けまして広報していく必要があるのではないかということを改めて強く認識したところでございます。
御指摘の問題に関する意見に対しましても、この我が国の法制度について正確な理解を得られるように引き続き丁寧に説明を行うということで、誤解などがあってはいけないというふうに思っておりますので、こういったことにつきましては、外務省としっかりと協力しながら積極的な周知等も努めてまいりたいというふうに思っております。
また、法制度面での検討についてでありますが、今後法制審議会での議論に委ねられるということでございまして、国内外にある様々なお声も参考にしていただきながら、充実した調査審議が進められるように期待をしております。
043 真山勇一
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○真山勇一君 大臣は、子供の目線に立ってということで、チルドレンファーストということをおっしゃっております。
単独親権というのは子供から一方の親を引き離してしまうという現状を生んでいる、それが結果、大変残念ながら夫婦の分断ということも起きてしまってきているわけですね。やはり子供にとって、子供から見れば最善の福祉とか幸せというのはどういうものかということをやっぱり考えるべきだと思うんですね。このやっぱり親権の問題というのは、何か子供の視点がなくて、夫婦の問題というふうにしか捉えられていない。
私は、やっぱりチルドレンファーストというのは大事なことだというふうに思うんです。特に私は、離婚をしたってうまくやっている夫婦もある、あるいは不幸にしてもう絶対にそのよりは戻らない夫婦もいるかもしれない、まあいろいろですけれども、やっぱり子供にとってどうなのかということを考えることが大事だと思うんですが、大臣が考えておられるチルドレンファーストというのはどういうものなんでしょうか。
044 上川陽子
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○国務大臣(上川陽子君) 子供の利益、子供の利益を確保するという観点、子供の利益を最優先にしていくという観点で、チルドレンファースト、そして、その健やかな成長をしっかりと離婚後であったとしても親がサポートしていくというかしっかりと関わっていくということが大事ではないかというふうに思っております。
あくまで子供が当事者ということでございまして、そして、その子供の目線、子供の意見、心の叫び、こういったことについての目線を大事にしながらその子の健やかな育ちをしっかりと支えていくということが極めて大事であるというふうな認識をしております。
離婚及びこれに関連する制度の見直しにつきましては、本年二月の十日に、先ほど申し上げたとおりでありますが、法制審議会に対しまして諮問をさせていただきました。
法制審議会におきましては、父母の離婚に伴いまして子供がどのように生活して、また成長をしていくことが子にとっての最善の利益になるのかという観点から様々な議論がなされていくものというふうに承知をしておりまして、繰り返しでございますが、この子供の視点というものに立った幅広い充実した調査審議が行われることを期待をいたしております。
045 真山勇一
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○真山勇一君 子供がいる夫婦が海外、まあアメリカ、例えばアメリカで離婚をしますね。向こうで離婚の手続、裁判所でやってくるわけですね。で、帰国します。そうすると、それぞれの戸籍が、子供の親権という欄があるんですけれども、普通日本だったら父か母か、単独親権ですから、そういうふうにしか書いていないわけですね。
ですけれども、この海外で離婚して帰国した方の戸籍、私見せていただいて、以前もここで御紹介したんですけれども、それを見ると、親権父母、父母と書いてあるんですね。これ、父母ということはつまり共同親権だよと言っていることだと思うんですね。
だから、日本の戸籍に共同親権がある、日本は法律で単独親権しか認められていないけれども、戸籍に父母という共同親権と記された人がいるということ、これ、大臣、御存じだと思うんですけれども、これ、単独親権しか認められていないのに共同親権がこうやって存在しているということ、これについてどう思われますか。
046 小出邦夫
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○政府参考人(小出邦夫君) 委員御指摘のとおり、外国の裁判所の確定した裁判によりまして父母の離婚後の親権が共同親権とされている場合で、かつその裁判が民事訴訟法第百十八条各号に掲げる要件の全てを具備するときには、その外国の裁判の効力、これは我が国においても承認されるということでございまして、離婚後単独親権を定めている我が国においても、このような場合には共同親権の状態が存在することについて、これは委員御指摘のとおりだというふうに考えております。
047 真山勇一
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○真山勇一君 存在しているということは、多分そのように対応していくのかなというふうに思っているんですけれども。
単独親権ということで、先ほどの表で見ていただければお分かりのように、日本は単独親権しか選択肢ないんですが、海外では共同親権も認められているということなんですよね。つまり、共同親権か単独親権かということがあって、場合によっては親が、どちらかの一方の親が問題があったり、例えばDVがあったり、犯罪に子供を巻き込む危険性があるとか、いろんなことがあれば、親として不適格だということで親権剥奪されることもあるわけです。共同親権ではないわけですね。で、単独親権もあり得るという。
日本も、家族の多様性、選択的夫婦別姓と同じように、やはり親権選択できる、つまり、単独親権か共同親権かという二者択一じゃなくて、選択的親権制度、場合によっては単独、場合によっては共同ということもあり得るという、こういう考え方あると思うんですが、大臣はどういうふうに思われますか。大臣にお願いします。
048 上川陽子
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○国務大臣(上川陽子君) 父母の離婚後の親権制度につきましては、諸外国におきまして共同親権と単独親権の選択を認める制度が採用されている例もあると承知をしております。
そして、現行民法が採用している離婚後の単独親権制度の見直しの是非につきましては、この離婚に伴う子の養育の在り方に関わる課題の一つと考えております。
もっとも、この問題につきましては、離婚後も父母の双方が子供の養育の責任を負うべきであるとして、いわゆる共同親権制度を導入すべきという意見がある一方で、これを導入すれば離婚後に子供の養育に関する事項に必要な判断が適時に得ることができなくなるなどの慎重な意見もございます。
今回、子供の利益を確保するという観点から、父母の離婚に伴いまして子がどのように生活をし、そして成長をしていくことが望ましいかという、子の養育の在り方について幅広く検討を行う必要があるというふうに考えております。
検討の具体的な内容ということで今御提言をいただきました内容であります選択的という内容でございますが、法制審議会での議論の展開に委ねられるということでございまして、私は重ねて、子供の目線に立って、実態に即した具体的な検討が行われることを期待をしているところでございます。
049 真山勇一
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○真山勇一君 そういう意味で、大臣が先日諮問された今度の法制審議会というのは注目をされるというふうに思います。
子供の問題というのは、その養育費のこともありますし、それから、いわゆる面会交流、私たちは面会じゃなくて親子交流という方が心が通っていていいんじゃないかというふうに思っているんですけれども、親権だけじゃないと思うんですね。
そうした様々な子供、親子をめぐる問題、これ是非法制審議会でしっかり検討していただきたいのと、それから、この選べる、単独親権か共同親権かという、そういうことで迫るんじゃなくて、やっぱりいろいろ状況に合わせて、共同親権も選べる、単独親権も選べる、にすることもできるという、こういう制度もやはり一つ大事なことだと思いますので、大臣がおっしゃったように、法制審議会、是非こういうことも含めてしっかりと議論していただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。