“特殊な別居”をする夫婦が増えているという。行政書士で男女問題研究家の露木幸彦氏によれば、「同居する義父母や夫などとの関係が何らかの理由で壊れた妻が、家の近くにセカンドハウス(賃貸住宅)を借り、そこで寝泊まりしつつ、定期的に夫の家を訪ねて家事などをするケースが多い」という。なぜ妻たちは、完全な別居ではなく、そうした中途半端な別居を選ぶのか――。(第3回、全3回)
■お金にうるさいケチで狭量で几帳面な夫に逆襲
【ケース3 大内雪乃さん(47歳・仮名)】
「旦那に嫌みをタラタラ言われる“妻”をやめ、私は“家政婦”になる」
A.結婚期間⇒18年
B.セカンドハウスを借りるきっかけ⇒束縛癖のモラハラ夫に家計を監視され、働きに出るのも反対され、金銭的に息詰まる
C.夫の同意の有無⇒あり
D.セカンドハウスの賃貸契約者⇒妻
E.セカンドハウスの家賃負担⇒妻
F.妻が寝泊まりする場所⇒セカンドハウス
G.夫からの生活費⇒あり
▼「15歳の息子が高校を卒業したら、私は家を出る」
大内雪乃さん(47歳)は、鬼気迫る表情で話してくれました。
「夫(51歳・会社員)とはもう何年も言葉を交わしていませんし、無視され続けています。息子(15歳)がいなければ、すぐにでも離婚してやる、と言われているので、離婚そのものはできると思います。すぐ出て行きたいのですが、私を必要とし、慕ってくれる息子のために今まで思いとどまってきました。しかし、息子が高校を卒業したら家を出ようと思っています。」
雪乃さんが私のところへ相談に来たとき、すでに自宅近くのアパートを契約しており、てっきり息子さんを連れて夫と離婚するのだと思っていたのですが、違いました。離婚はするけれど、息子さんは夫が住む自宅に残し、雪乃さんは1人で家を出るつもりのようです。息子さんのことはどうするのでしょうか?
「主人が住む家から遠く離れた場所にアパートを借りたかったのですが、地区の委員や当番、なにより部活に励む息子のために、自宅とアパートを行き来し、平日はできる範囲で家事をするつもりです」