養育費支払いに関する要望書

2018年7月16日

 

最高裁判所長官 大谷 直人 様

共同親権運動ネットワーク

共同親権運動ネットワーク

 

私たちは未婚・離婚時の共同での子育てを求める団体です。私たちの会には、子どもと引き離された親が多くいるため、養育費支払いに関する多くの相談を受けています。

私たちのもとには、過剰な養育費負担を求められての生活水準の低下や、生活苦に悩む父親(母親)の声が寄せられています。

現在、子の養育に関する法運用は、親による子の拉致という違法な親の権利の侵害行為を裁判所が意図的に黙認しています。そのため、離婚・親権取得目的で子を拉致する行為が日々繰り返されています。婚姻破たんを作り出した側が、別居したことをもってただちに保護の対象と推定される結果、子どもから父親(母親)を引き離した側が養育費を求めるばかりか、有責事由のある側が婚姻費用を求めるなど、拉致被害者の人権を無視した不当な請求が、法曹関係者や裁判所では通用してきました。

こういった法運用の不均衡を放置したまま、日弁連が主張する1・5倍の算定票のように、単に同居親側の言い分に応じて養育費の額を高額化しても、子どもの貧困は解消されません。なぜならここで言う子どもの貧困とは、単に同居親の収入に基づいてのみ議論しているにすぎないからです。子育てに実質的に関与してはじめて、主体的に経済的な分担を果たす意思が育まれますが、別居親を取りたての対象としか見ない算定方法は、男性や別居親への虐待行為です。いくら強制力を強化しても、「子どもに会わせないで金を出すのか」という感情をないがしろにしたままでは、支払い率が高まることにはなりません。むしろ別居親の自殺率を高めるなど新たな社会問題を引き起こします。したがって、双方の実際の子育ての時間に応じた適切な養育費の分担が望まれます。

また実子誘拐とその後の離婚に伴って、子どもを親から引き離すことは、家族関係をひとり親家庭と別居親に分断します。結果的に家族の孤立を招き、それが虐待の原因にもなります。母親とその再婚相手が加害者とされている目黒区の虐待死事件は、分断し孤立した家族関係の中で生じた悲劇であったことから目を背けてはなりません。

何より、婚姻費用や養育費についてアドバイスする弁護士たちは、徴収した養育費の中から成功報酬を得ることを、法テラスの基準に沿って慣例化しています。公正で適切な婚姻費用や養育費の分担の議論をするのであれば、まず、親と引き離すことで金を得るこういった弁護士たちの行為がまず規制されねばなりません。子どもから親を奪っておいて、「親がなくても子が育つ」など、誰が聞いても大人の身勝手な理屈です。

経済的な面も含めて、別居カップルの子育てにおける機会均等を可能にすべく、以下要請します。

 

一 略取した親の側の婚姻費用や養育費の請求については却下するようガイドライン化してください。子どもの拉致にかかわり、婚姻生活における協力を示さない同居親に対しては「生活保持義務」による算定を適用しないでください。拉致被害者である別居親の生活基盤を損なわないため、配偶者や子どもの扶養義務の算定にあたっては、「生活扶助義務」をベースにして、婚姻費用と養育費を算定するようにしてください。

一 話し合いによる別居や離婚の協議が可能になるように、他方の親(親権のあるなしにかかわらず)の同意のない子の拉致行為については不法性を認定し、親権取得の主要な判断基準となるよう提案してください。特に虚偽のDV、虐待が判明した場合には、親権者となることができないようにしてください。

一 双方の親の積極的な養育分担を促すため、養育時間の配分が多い場合には養育費の算定額を減額するように算定基準をつくってください(双方半々の養育時間の場合には互いの養育費支出はゼロとなる)。同様に、同居親の敵対感情が養育時間に影響しないように、子の発達成長に応じた、養育時間の分担に関するガイドラインとモデルケースを作ってください。その際の検討委員会には、専門家だけでなく、同居親、別居親、親の離婚を経験した子ども、ステップファミリーの代表者をそれぞれ同数入れて下さい。

一 養育費の支払いが課せられる親に対しては、養育費を受け取る側が養育費の使途を領収書をもって支払うことを義務づけてください。

一 養育費計算の検討をする場合は、同居親のみならず、別居親とその当事者団体にも、十分な意向調査と聞き取りを実施し、検討委員会の委員の中に別居親の当事者団体の代表を入れて下さい。

一 双方の親の再婚の場合に養育費負担が免除される現在の運用を改めると同時に、再婚家庭において別居親側の養育時間が確保されるように義務付けて下さい。

 

養育費要望書

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