親から引き離された移民の子どもは、生涯続く傷を心身に負うおそれがある

「何も悪いことをしていない子どもたちが払うには高すぎる代償です」。ある児童心理学者は語る。

ロサンゼルスで行われた、移民親子の引き離しに反対する市民団体「Families Belong Together」のデモ。

Mario Tama / Getty Images

ロサンゼルスで行われた、移民親子の引き離しに反対する市民団体「Families Belong Together」のデモ。

国土安全保障省(DHS)が移民の子どもたちを親から無理やり引き離している。この政策が今年4月に実施されて以来、あらゆる年齢の子ども2000人近くが親と離れ離れになっている。医療専門家たちは、こうした子どもたちの多くが生涯続く傷を心と体に負うおそれがあると指摘している。

米国小児科学会(AAP)によれば、親から無理やり引き離された子どもたちを調査した過去の研究から、ぜん息や肥満、高齢期を迎えてからのがん、薬物の乱用、発育の遅れ、精神衛生上の問題などとの関連性がわかっているという。AAPは、6月15日に下院共和党議員が提出した、親子を力ずくで引き離す行為を認める移民法案に反対している

AAPのコリーン・クラフト会長は、「脳の構造に悪影響があり、子どもの生涯にわたる発達が取り返しのつかない害を受けるおそれがあります」と語る。「移民が大きな政治問題になって久しいですが、私たちは皆さんに、事態を注視しながら、こうした子どもたちの健康について考えてもらいたいと思っています」

DHSは4月以降、国境で2000人近くの子どもを親から分離していることを認めている。

現在、約1万1000人の移民の子ども(大半は同伴者のいない10代)が、米難民再定住室(ORR)の施設に収容されている。その数は、ジェフ・セッションズ司法長官が4月19日に政策の変更を発表してから急激に増えている。「ゼロ寛容」政策と呼ばれるこの変更により、子どもは全員、アメリカに不法入国した親から引き離されることになった、子どもを大人の施設には収容できないためだ(以前は、入国をめぐる訴訟の判決が下されるまでは、親も子どもも一緒に釈放されていた)。

ドナルド・トランプ大統領は6月15日午前、トランプ政権が国境で移民の子どもを親から引き離しているのは、それが「法律」だからだと述べた。だが、それは違う。セッションズ司法長官は、3月に不法入国が37パーセント増加したことを受けて、移民の流入を抑えるための措置として、この政策変更を発表したのだ。

「親から引き離される子どもの全員が、有害なストレスの影響をまともに受けるわけではありませんが、その多くはそうなるおそれがあります」とミネソタ大学の児童心理学者ミーガン・ガンナーは話す。

一部の研究から、拘束された移民の子どもたちは離別後、何年にもわたって心と体の問題、特に学習障害や行動障害に悩まされることがわかっている。

たとえば、オーストラリア当局に拘束された移民の子どもたちを対象とする2014年の調査によれば、4分の3が精神的障害を患っていたという。ある研究からは、10人中8人が、発育遅延や情緒障害に悩まされていることがわかっている。

「その子の年齢が重要です」とガンナーは語り、本当に心配なのは10歳未満の子どもたちだと指摘した。「特に5歳未満の子どもに対しては、一刻も早くこんなまねをやめさせるべきです」

この20年間で、有害なストレスが子どもの脳に悪影響を与えるメカニズムについての科学が確立された。

ストレスホルモンは、扁桃体と呼ばれる脳の領域を拡大する。扁桃体は「闘争・逃走反応」の領域であり、衝動性を高める。さらにこうしたストレスは、自己制御に報酬を与える脳ネットワークの発達も妨げる。

これらの影響によって学習障害が引き起こされるのだ。幼い子どもの場合は、言語の発達が遅れたり、止まってしまったりすることもある。

子どもを親から引き離すという行為はストレスの原因になり、そのストレスを和らげてくれる「愛着の対象者」をも取り上げることになる。成長過程にある心にとっては、まさに二重苦だ。それが及ぼす悪影響は、引き離される期間の長さに比例する。

さらに、アメリカ自由人権協会(ACLU)が5月に発表した報告書には、移民の子どもたちがアメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)の職員から受けた「暴言や暴力、性的虐待」が列記されている(CBPはこれらの疑惑を「事実無根」としている)。

ボストン大学の小児メンタルヘルス専門家テレサ・ベタンコートは、戦時下に親から引き離された子どもたちを対象とした過去の研究、たとえば第二次世界大戦中にスウェーデンに疎開したフィンランドの子どもたちのケースでは、成人になってから(特に女性において)うつ病や不安障害との関連性が見られたと語る。

「いまアメリカで、私たちはもっとひどいことをしています。親との離別というトラウマをさらに子どもたちに負わせています。その多くが、すでに母国で心に傷を負っているというのに」

2014年以降、暴力から逃れるため、過去に例を見ない移民の波が、中米諸国(エルサルバドルやホンジュラス、グアテマラなど)からアメリカに押し寄せるようになった。拘束されている未成年者の90パーセント以上は、これらの国々から来ている。

一部の研究が示しているように、たとえ親元に戻っても、この離別が健康や精神に及ぼす長期的な影響を避けるためには、子どもたちにはカウンセリングが必要になるだろう(親にもそうした対応は必要だ)。

「何も悪いことをしていない子どもたちが払うには高すぎる代償です。アメリカは、見せしめに彼らの親を罰したいだけなのです」とミネソタ大学のガンナーは語る。

「こんなことはすぐにやめて、子どもたちを親元に帰してあげるべきです。受けた傷を一刻も早く癒せるように」


この記事は英語から翻訳されました。翻訳:阪本博希/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan

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3か月前