棚瀬一代さんの本

書評 虐待と離婚の心的外傷
(朱鷺書房、2001年)

杉本孝子(弁護士・元裁判官)による書評
京都女子大学現代社会研究119

引用
本書は、虐待や離婚によって蒙る子どもの心の傷についての研究である。
本書を手にして、まずその書名に驚いた。私が関心をもっているテーマそのものであったからである。
読み進むほどに、説得力ある研究成果に感銘を受け、紹介されているケースに感動を覚えた。それと同時に、著者と同世代の私は、著者が、中年になってから虐待をテーマに研究を始め、原書を含む膨大な先人の研究をひもときながら自分の考えを探求し、ここまで自己の研究テーマを極めたことに、そしてまた、全人格をかけて治療に当たっているありように、感激した。このような分野の研究は「心」から出発する方が深められるのかもしれない、と思った。

15年前