<クリスマスの悲劇>隠れた課題、断絶された親子たちについて考える。

https://news.yahoo.co.jp/byline/akechikaito/20171225-00079723/

(ペイレスイメージズ/アフロ)

クリスマスは子どもたちが家族の愛情を実感できる幸せなイベントです。しかし、そんなクリスマスにも悲劇が起きました。今日、12月25日に母親とその交際相手などに虐待を受け続けていた4歳の男の子が、その短い生涯を終えました。

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被害にあった男児には心からご冥福をお祈り申し上げます。二度とこのような悲劇が起こらない取り組みが必要です。

ちょうど、このニュースが流れている頃に私は我が子を連れ去られ断絶されている父親と話をしていました。その父親は自分の息子と同じ歳の男の子が虐待で死亡したニュースを自宅で見たそうです。

日本にはクリスマスが苦手な親たちがいます。幸せそうな家庭の風景を直視できずに引き篭もったり、子どもの声を聞くと自然と涙がこぼれたりするそうです。それは誰かというと突然、我が子を連れ去られて断絶されている親たちのことです。

昔より日本では「追い出し離婚」、今は「連れ去り離婚」が有利に扱われ、子どもが片親を奪われる慣習が長く定着しているのです。

一時代前の「追い出し離婚」は家父長制の名残りであり、母親と子どもは泣く泣く引き離されました。現在の「連れ去り離婚」ではDV避難者を装って連れ去り、そこで片親と断絶すればDVや虐待の事実など無くても親子を引き離せるという司法行政の運用が発生しています。

その為、東京近郊の当事者団体だけでも毎月10件位の新規被害者が発生しているペースだといいます。DVや虐待と無縁の親たちまで加害者かのような扱いを受けて、愛する我が子と生き別れを強要されています。DV支援措置には何の証拠も要らず申請すればよいという問題点があるようです。

そして前述したように、我が子と似た年齢の子どもや幸せな家庭のクリスマスを直視できずに泣き暮らすような事態になっています。

引き離された親たちはDVや虐待が無くても、第三者機関の監視付きでなければ我が子と再会させてもらえないといいます。また今年には面会交流中に父親が子どもと無理心中をした事件があったことから、親子が自由に会うことは一層と困難になってしまったようです。

しかし、面会交流だけを危険視することは、DVや虐待とは無関係の片親に対する差別でしかありません。

昨年末には子どもを連れ去られた母親がセルフネグレクトによって自宅で変死していました。彼女の胸には子どもの写真が抱かれていたといいます。

昨日12月24日には、イタリアのメジャー報道誌ラ・スタンパにおいて日本で起きている子の連れ去り断絶問題が信じ難い野蛮な慣習であると報道されていました。国外ではこのように報道されていますが、国内ではあまりこのような悲劇が起きていることは報道されていません。

http://www.lastampa.it/2017/12/24/cultura/opinioni/larispostadelcuore/la-battaglia-di-pap-in-giappone-cancellati-i-nostri-diritti-sui-figli-wU0rcqTwRHIo7sUy7ymD8N/pagina.html

私はLGBTなど性的マイノリティの人権問題に関わってきた経緯から、さまざまな差別や偏見などを解決したいと考えています。子どもを連れていったほうの親が子どもを育てる資格があるとか、連れていかれたほうの親が悪者といった考え方を変えていく必要があると思います。

引き離された親たちも生き別れを強要される時代を終わらせようと頑張っているようです。来年のクリスマスには、そのような親たちが引き離された我が子と再び笑顔でクリスマスを過ごせるようになることを願っています。

明智カイト 「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」代表

『草の根ロビイング勉強会』運営メンバーとして「ロビイング」や「アドボカシー」が学べる機会を提供している。自身も中学生の時にいじめを受け、自殺未遂をした経験から「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」を立ち上げて、「いじめ対策」「自殺対策」などのロビー活動を行ってきた。著書に『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』(光文社新書)。認定NPO法人フローレンス所属、日本政策学校の講師、NPO法人「ストップいじめ!ナビ」メンバー、ホワイト企業の証しである「ホワイトマーク」を推進している安全衛生優良企業マーク推進機構(http://shem.or.jp/)の顧問などを務めている。

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