日本では、離婚に伴う一方の配偶者による、もう一方の配偶者の同意なき『子供の連れ去り、引き離し』が頻発横行しています。
単独親権制度下の日本に於いては、離婚後、どちらか一方の配偶者が親権者となり、もう一方の配偶者は国家の法作用として親の地位資格を剥奪されます。その制度下で家庭裁判所は、『現に子供と同居している親』に親権を与える【監護の継続性の原則】を運用しています。乃ち、離婚手続き(離婚調停、離婚裁判)を開始する以前の別居時に、子供の同居親の地位を確保することが、その後の親権者指定の行方を大きく左右することとなり、実質、別居時に同居親の地位を確保すれば=自らの親権者指定を決定的付けることになり、その後に行われる離婚調停や裁判などは、話し合いや審理の名を借りた『茶番劇』に過ぎません。これが、現実の家庭裁判所の実態です。
故に、一方の配偶者は、もう一方の配偶者に秘して『子供の連れ去り』を伴う別居計画を立案実行することになります。特に、全国で頻発横行しているのが、その大多数が女性(妻)による子供の連れ去りで、委任を受けた弁護士が、これに加担する構図です。当然、夫は何も知らず、仕事から帰宅したら妻に子供を連れ去られていて、更に、追い討ちをかけて離婚調停開始通知が舞い込み、そこで初めて事の次第を知るのです。その時は既に遅し。
これが、所謂『連れ去り勝ち』と呼ばれる子供の連れ去り別居の基本的パターンで、前述した監護の継続性の原則の運用の相乗効果により、それは、実質9割の親権者が妻方となっている日本の離婚実態数値にも表れているのです。
子供の連れ去りは、たとえ一方の実父か実母の行為であれ、もう一方の実父や実母の『監護監督権を侵害』する刑法第224条未成年者拐取犯罪ですが、同条は、同居中の連れ去りには機動性と即応性を有しない法性格です。よって、子供の連れ去り引き離しと云う社会の法秩序と規律破壊行為への制裁及び抑止機能規定として、実子拐取は犯罪と規定していながら機動性や即応性を有せず無機能状態の同条の特別法の位置付けで『実子等拐取行為処罰法』を提案しているところです。
しかしながら、刑罰法規だけでは足りません。刑罰法規は、違法行為への実体的検挙の実効性と抑止効果に期待するものですが、離婚手続きを定めた家事法の『適正手続きを担保』する役割でもあります。従って、同時に必要なものは、平穏で、整然とした、法秩序と規律ある適正な離婚手続きを定めた家事法の制定と、その執行です。
一方の配偶者による子供の連れ去り引き離し行為の実態を鑑みるに、基本的行動は、離婚調停前の準備段階である『別居時』に実行され、連れ去り配偶者は同居親の地位を確保してから離婚調停を始めます。先ず、この不条理を正す必要があります。そもそも、離婚は夫婦の話し合いにより行われるべきことが基本、大前提で、家庭調停や裁判の利用は、それによることが出来ない場合の機能なのでしょう。しかしながら、本来、夫婦が話し合うべきその離婚調停の前段階で、一方の配偶者に秘して離婚調停を申し立てておき子供を連れ去り引き離し、連れ去られた側からすれば、否応なしに、いきなり別居親として離婚調停に身を投じることになってしまうのです。現実に、こんな利己的でご都合主義的な離婚手続きが罷り通っていること自体が異常だとはお思いになりませんか。そこには、自己抑制もなく、法秩序も規律も存在しません。
家事事件手続法は、離婚調停や裁判等に関する手続き規定ですが、日本には、離婚調停前の準備段階を家事手続きの一環として捉えケアする法がありません。これが、別居時に子供を連れ去り引き離す温床になっていることは否めないでしょう。
そこで、子供の連れ去りや引き離しが実行される、離婚調停の前段階に着目し、稚拙ながら、以下に『【離婚調停前の準備段階における適正な離婚準備手続きに関する法律】』を提案するものです。
●『【離婚調停の前段階における適正な離婚準備手続きに関する法律】』
『略称 離婚調停前段階の離婚手続き適正化法』(私案)
未定稿(一人静)
近年、一方の配偶者による、もう一方の配偶者の同意なき子供の連れ去り引き離し行為が横行し親子の断絶が生じる等、社会問題の様相を呈している。
そもそも、離婚等の家事問題は、夫婦間、家族間に於いて解決されることが望ましいところ、夫婦間の話し合いどころか、一方の配偶者に秘して子供を連れ去り引き離した上で離婚調停を申し立てるケースが相次ぎ、利己主義的で、家庭生活の法秩序と規律を破壊するこの手法が、我が国の離婚手続きを席巻している現実は異常な状態と謂わざるを得ない。
現行の家事事件手続きに関する法は、実質、離婚調停以降の家庭裁判所の関与を定めた法律であって、それ以前の、私生活に於ける離婚準備段階は、夫婦間の自制心ある話し合いに委ねられていたところである。
しかしながら、我が国の離婚実態に鑑みる時、離婚調停前の準備段階である別居時に、一方の配偶者を強制的に排除する子供の連れ去り引き離しの実力行使が多発し、自己に有利な状況で離婚調停等を利用しようとする手法の横行は、個人の基本的人権、私生活の平穏と秩序規律を破壊し、子供の福祉を著しく損なう非難に値する行為で看過できない。
よって、本法律は、平穏且つ秩序と規律ある適正な離婚手続きを確保し、基本的人権の尊重、私生活の平穏と子供の福祉に資することを目的に定めるものである。
第一条(夫婦間の合意形成)
離婚等は、夫婦当事者間において、相互の人権を尊重しつつ、平穏且つ秩序と規律ある話し合いの下、合意が形成され円満に解決されることを基本とする。
第二条(離婚調停申請と事前審査)
一、前条により、夫婦間により話し合いがなされたものの合意がなされない場合には、家庭裁判所に離婚調停申請をすることができる。その場合、一方の配偶者が離婚調停申請がなされることの不知を防止するため、夫婦が一本の離婚調停申立申請書に署名押印し同時申請することとし、夫婦相互において、特段の理由がない限り申請を拒むことはできない。また、申請時における夫婦其々の離婚理由等の主張にあっては、簡易に記載した書面を別に提出することとする。
二、前項の申請にあっては、夫婦両者の署名押印のある、事前に夫婦間における話し合いがあった旨とその内容を疎明する『話し合い経過書』並びに同署名押印のある『離婚調停申請承諾書』を添付提出すること。その際、夫婦相互に代理人があり又は一方が有している場合、夫婦の署名押印とともに代理人も署名押印をするものとし、夫婦間の話し合いが行われることを大前提とする法の趣旨に沿い、いやしくも、代理人の訴訟方針により夫婦間の話し合いが割愛されることがあってはならず、離婚調停申請前に、夫婦当事者間による合意形成の努力機会の確保がなされたことと、提出される経過書の真偽について、代理人の責任の所在を明示すること。
三、事前の夫婦当事者間による話し合い合意形成機会の確保ができず、第一項、第二項で定める夫婦間同意の離婚調停申請が困難な特別な理由が存在との主張をする一方の配偶者による離婚調停申請については、仮の受理とする。その特別な理由により離婚調停を申し立てようとする配偶者は、特別な理由を書面及び疎明証憑資料を添えて、家庭裁判所に口頭説明しその審査を受けるものとする。その理由に妥当性が無いと判断する場合には、家庭裁判所はこれを却下しなければならない。
四、家庭裁判所による三項の特別な理由の審査に当たっては、抽象的、類推、推認、一方的言い分等による家庭裁判所の独善恣意的判断は認めず、具体的な理由の存否を客観的事実により精査しなければならない。また、相手方である配偶者からの聴取を省略してはならない。その際、特別な理由が、他官庁等の取扱い事務に重複する場合、家庭裁判所職員並びに関係官庁職員らを主たる構成員とする、別に法律で定める離婚手続き適正化委員会に審査を付託し、同委員会の審査は、全委員の署名押印がある審査報告書をもって家庭裁判所長宛てに提出報告するものとする。
五、四項の報告書は、夫婦当事者に開示され、家庭裁判所長は判断理由に対する説明責任と義務を負う。また、同委員会の審査報告並びにそれに基づく家庭裁判所の受理事務に瑕疵がある場合、損害賠償請求権の行使を妨げず、その事務責任は家庭裁判所長に帰属する。
第三条(別居に伴う実子の連れ去り禁止等)
一、別居は、前第一条の趣旨に則り、夫婦当事者間の話し合い同意により、平穏且つ秩序を保ち行われなければならない。
二、別居に伴う実子の居所所在は、夫婦間の合意によりなされなければならない。その際、一方の配偶者の同意なき不当な親権行使による実子等の連れ去りはこれを禁止し、同行為の実行がなされた場合は、別に法律で定める実子等拐取行為処罰法にて問擬し処罰する。また、家庭裁判所は、実子等を連れ去られた配偶者と協議し、同配偶者による告訴被害申告とは別に、捜査機関に対して告発する義務を負う。尚、家庭裁判所による告発義務は、選択制義務ではなく絶対的義務とする。
三、夫婦当事者間の話し合いを経た離婚調停申請や、特別な理由による審査を求めた上での離婚調停申請等、法の支配による平穏な手続きによらず、いやしくも、一方の配偶者の権利を実力で排除し実子等を連れ去った配偶者による離婚調停申請は不受理とし、実子等を元の居所に戻す等の現状回復措置が図られない限り、これを受け付けてはならない。
四、実子の連れ去りを実効ならしめるための、一方の配偶者の同意なき住民登録の世帯分離及び住所の非開示措置は、これを認めない。
五、実子との別居同居の差をもって、その後に開始される家庭裁判所の親権者指定等の審理審判裁定に予断を生じさせることは厳に慎まなければならない。
六、法秩序と規律を乱し実子等を連れ去った配偶者に対しては、その後に開始される離婚調停等の審理審判裁定に関し、親権者指定を与えない等、明確なペナルティ、不利益を科すものとする。
第四条(別居後の親子関係の維持)
一、人は親により生命を得、また自らも親になり子を育む。親子の関係は、人が人として生まれながらにして誰もが普遍的に有する基本的人権であり、子の誕生はその具現化である。この普遍的な基本的人権は、何人も阻害し、別居親と実子との良好な関係を侵してはならない。
二、夫婦は、別居時において、別居親となる配偶者と実子との交流等、その関係維持に関する約定を文書にて交わさなければならない。その際、約定内容は、自由な交流維持関係を阻害しないことを大前提とする内容を記した上で、其々の夫婦間の合意により、個々の現実的に可能な運用を記述ことは妨げない。また、その約定の謄本は、家庭裁判所に提出するものとする。
三、前項の約定を交わすことを拒否することは認めない。又、別居後、正当な理由がなく、約定に反し親子関係の維持を阻害したる時は、親権監護監督権指定の裁定にて不利益を科すものとする。
第五条(夫婦への研修)
家庭裁判所は、離婚を準備しようとする夫婦に対しては、離婚調停等の手続きの流れはもとより、離婚後の適正な親子関係の維持等、総合的な内容による離婚準備研修を実施するものとし、当事者夫婦は、この研修を受講する義務を負い、離婚調停は、同研修の履修がなされてから開始しなければならない。
第六条(関係者の協力義務)
関係機関、団体、個人は、離婚手続きが法秩序と規律の下、円滑且つ整然と適正に行われるよう、本法の趣旨を理解し協力しなければならない。
第七条(細則)
この法律の実施に必要な細則は別に定める。
以上
(著作 一人静)
賛同者の署名は以下の宛先へ届けられます
- 法務大臣
- 厚生労働大臣
- 国家公安委員会委員長