米ミシガン州の地方裁判所は4日、9歳の息子に予防接種を受けさせなかった母親に、禁錮7日の実刑判決を言い渡した。被告の元夫が男の子の優先的親権を一時的に得て、ワクチン接種を受けさせることになる。
ミシガン州デトロイト郊外ファーンデール在住のレベッカ・ブリドウ被告は、9歳になる息子に予防接種を受けさせると元夫と約束したにも関わらず、実際には受けさせなかった。
父親の訴えを受けてオークランド郡裁判所が9月末、予防接種を受けさせるよう命じたものの被告が応じなかったため、キャレン・マクドナルド判事は法廷侮辱罪で有罪と判断を下し、禁錮7日を言い渡した。
判事は、たとえ母親のブリドウ被告に優先的親権があったとしても、「パパの意見も尊重する必要がある」と判決理由を述べた。
ブリドウ被告は2児の母親。9歳の息子が生まれた際に、当時の夫と、予防接種は間隔を開けて時期を遅らせながら受けさせると同意したという。
ABCニュースによると、夫とは2008年に別れたが、共同親権を分け合っており、父親は今でも息子に予防接種を受けさせる方針という。
被告は4日に法廷で、「私は学のある、ワクチン接種選択派の母親です」と主張し、息子に予防接種を受けさせることは「自分の信条に反する」と述べた。
「まったく信じていないことに屈するより、信じることのために牢屋に入った方がましです」と被告は強調した。
ミシガン州では、子供の保護者は個人的信条に応じて子供の予防接種を飛ばしたり、時期を遅らせることが法律で認められている。
反ワクチン運動の信奉者は、ワクチン接種は子供を危険にさらす行為で、自閉症の原因になり得ると信じている。医療の世界ではこの主張は全般的に否定されている。
地元メディア「MLive」によると、ミシガン州の子供に対する予防接種率は全米50州で43位と、最低レベル。
非営利団体「全米ワクチン情報センター」のバーバラ・ロー・フィッシャー代表はBBCに、子供への予防接種を拒否した親が刑務所に入れられたのは、これが初めてではないと話した。
連邦政府は児童予防接種に関する法制度づくりに関与せず、勧告を出すだけにとどまる。具体的な規則は、各州や学校区ごとに決められる。
学校の予防接種ガイドラインに保護者が従わない場合、子供の通学は認められず、保護者は子供の欠席の責任を取って刑務所に入れられることがある。
そのためフィッシャー氏によると、反ワクチン派の親の多くが、自宅学習で子供に教育を受けさせているという。
(英語記事 Michigan mother jailed for refusing to vaccinate her son)
(c) BBC News