ジェンダー・ウォー 第5回 週刊金曜日のデマとヘイト

http://blog.seesaa.jp/cms/article/edit/input?id=453322817&finished_from_regist=1&finished=1

という連載を、「共同親権ニュースドットコム」というサイトでしている。
週刊金曜日の5月19日号で、「『親子断絶防止法』はだれのためのもの?」という7ページの特集が組まれて、冒頭に弁護士の斉藤秀樹の「問題のある別居親のための法律は必要ない」という寄稿が載せられていたことについては、この連載で触れた。

この記事の一番のウソは、「現在、家庭裁判所では、別居親から面会交流の申立があれば原則として面会交流させる方針をとっており、監護親からDV・虐待等の訴えが出ていても子の福祉に反することを立証できない限り面会を認めている」という部分だ。だから「面会が認められない親は子の福祉に反することが明らかな、相当問題がある親といっていい」という斉藤の主張を信じて、「問題のある別居親のための法律をつくる必要はない」という結論が導き出されることになる。

週刊金曜日に申しいれた後、8月15日を回答期限とした公開質問状を8月1日付で出し、19日現在、回答は来ていない。公開質問状の提出が8月1日と遅れたのは、任意でのやりとりをその間していたものの、埒が明かなかったからだ。

家庭裁判所で原則面会が実現できることは事実かどうかなんていう以前に、ぼく自身は問題があるかどうかで、「法律をつくる必要がない」と主張することは、自分は問題だらけの人間と思っているので、とても恐れ多くてついていけない。

斉藤は、別居親は最初から面会を認めてもらう立場で、他の人間とは違うというところからスタートしていて、そもそも親としての権利が同等であることや、別居親に人権があることすら認めようとしない。例えば、「面会の可否は、子の意思・心情を専門家が十分な時間をかけて診断し判断すべきだ」という記述がある。

今年になって週刊金曜日の編集長になった小林和子さんは、ぼくが度々企画を持ち込む方で、面識もあるので、この号が発行された翌月曜日には電話をして、共同親権運動ネットワークとしてその週の金曜日には申し入れすることを伝えている。電話口では、この部分について「子どもがいる親は朝起きて子どもと会うときに、いちいち専門家の診断を受けているんですか」と聞いたら、小林さんは「差別……」とボソッと言っていた。

金曜日にメンバー3人と編集部に行くと、小林さんと発行人の北村肇さんが対応した。ぼくたちは、先ほどの例も触れたりして、この企画はヘイトで差別だと指摘した。一方で2人は誇張はあったにしても、「差別したつもりはない」と強調し、「それが差別なんです」と3人で言いかえす場面があった。人権問題を扱った人なら見慣れた光景だろう。

小林さんには、実際問題家庭裁判所で原則会えているというのが事実なのか、と重ねて聞かれた。そういった基本的な点を確かめないで「問題がある別居親」と書いた原稿を記事にしたのが差別の証拠なのだけれど、「たしかに裁判所は子どもを会わせるように同居親に言ったりしますが、それも同居親が拒めば実現しませんし、会わせるように言うのも地方の家裁ではされていないところがあります」と実情を説明した。その上で十分な反論ができる程度の対抗言論か、金曜日が取材をし直すか検討してほしいと要望した。小林さんは、事実誤認と見解の相違、ミスリードの個所を整理して送ってほしいと言っている。

それを用意しているときに小林さんからぼくに電話が来て、論争欄という投稿記事扱いで、反論をするというのでどうだと伝えられた。こちらが具体的な指摘個所を提示する前に、社内で方針を決めたのは明らかだった。

ぼくは「問題をなるべく小さくとどめようとしているのはわかりますけど」と釘を刺した。「だけど間違いはそちらで訂正してもらわないと」というと、「この間、宗像さんも裁判所は会わせるようにしている、と言ったじゃないですか」と小林さんは気色ばんでいた。ぼくは先日の発言の趣旨を捻じ曲げて捉えられていたのに驚いた。しかたなく面会交流の取り決めが家裁でできる割合が53%に過ぎないとデータを示した。苦情処理扱いが見え見えだったので、6月7日に、具体的な差別個所や偏見に基づく一方的な記載を29項目指摘した。

結局回答が来たのが1か月半後の7月29日。小林編集長名義での「見解」だった。回答したのは3項目。それ以外は「見解の相違」で逃げていた。先の家庭裁判所の運用の部分は、家庭裁判所が会せるように言っている、と述べるだけで間違いすら認めないひどい内容だった。

またぼくたちはこの法律の立法化に反対したものの、双方の親との交流を定めた「親子断絶防止法」の理念部分が子どもの権利条約に沿うものとは指摘した。金曜日は、法案が子どもの意見を聞かないと当初批判されたことについて、子どもの権利条約の意見表明権を挙げて逆ギレしていた。それを見て小林さんに、実際、親に会えないで子どもが親に「会いたい」なんて言えますか、と電話で反論すると「だから支援しないと」というのには呆れた。うちの子の聞き取りの手伝いなんてする気もなく言っているは明らかだからだ。

公開質問状に切り替え19項目の質問を送った。

この件について、日ごろ差別の問題を扱っている友人や、別の問題でテレビ局のデマとヘイトを批判している知り合いに協力を求めたが、「不毛」「どうして会えないか説明したら」と言われた。最初から理解しようという気がないというのが伝わったが、こういった偏見の上に金曜日が胡坐をかいているのは明らかだった。そんな中、らっぱさんにインタビューしたら、「面会交流は権利」と言ってくれたのはうれしかった。ときに絶望しがちな状況の中、多くの別居親たちは、その一言が聞きたいだけなのだ。

 

7年前