こどもの日記念 共同親権運動ネットワーク特別講演会&デモ
誰のための親子断絶防止法案?
〜 共同親権に断絶促進法はいらない 〜
今国会では、「親子断絶防止法」という略称の法律(父母の離婚等の後における子と父母との継続的な関係の維持等の促進に関する法律)の成立が目指されています。親子関係を断つ単独親権が問われるべきなのに、単独親権を維持するための法律は「逆コース」です。5月5日のこどもに日に、子どもの視点から考えた法案の在り方を考えましょう。
■ イベント概要
日 時 5月5日(金)こどもの日
13時30分 〜 16時30分
場 所 全労連会館 304−305号室
東京都文京区湯島2−4−4
会 費 1000円
■ プログラム内容
13時15分 開場
13時30分 講演会開始
13時35分 福田雅章さん(一橋大学名誉教授)による特別講演
「ぼくとわたしはどうなるの? 親子断絶防止法の盲点」
14時35分 質疑応答、討論
15時30分 講演会終了
15時45分 デモ行進(全労連会館から上野公園まで約2km)
16時30分 解散
■ 法案の問題点
当初は、離婚などを機に子どもと引き離された親たちが、子と父母との継続的な関係の維持促進を定めた理念法成立を目指してきました。この理念法案に関して、公の議論がなされることがないまま、2016年12月に修正を経てできあがった法律案は、親子の交流を抑制するための例外規定が明文化されていました。
親が子に会うには、子の意思の表明の機会を確保し、子の意思を考慮することがなされなければならなくなりました。でも離れて暮くらす親と交流していない子どもが「パパ(ママ)に会いたい」と言えるでしょうか。
離婚後の親子だけの問題ではありません。夫婦関係が一時的にうまくいかなくなったとき、弁護士や女性の支援者は、この法律があることで安心して夫婦関係を壊すことができます。そしてその後は、貧困な母子家庭のためならば、子どもを人質にして父親から金をとることになります。
また,一方からの申し立てによってDVや虐待の被害者の保護措置がなされ、時には虚偽DVの場合があり、検証も異議申し立てもない現状は、子どものいる親にとっては不公平です。暴力防止に資しているかも疑問です。
現在、区市町村では、一方的に子どもを連れ去られた父親(母親)が子どもの居所を知ろうとしても、DVや虐待を理由に、「子の最善の利益に反するおそれを生じる事情がある場合」として、住所を教えないという運用がなされています。また、別居したとたんに、父親(母親)が授業参観などの学校行事に参加する行為が、母親(父親)側の意向を受けた学校により妨害されることもあります。子どもを連去られた親は子どもの成長を見守ることも出来ません。
このような「危険で不審な親」への偏見の背景には、親の養育権を侵害し、民法上の親権規定を悪用した違法な連れ去り行為があります。法案はこれらの無法行為を温存させてしまい,さらなる悲劇が生まれてしまいます。
一番の被害者は、ウソで父親(母親)を奪われたうえに、離れて暮らす父親(母親)の存在を歪んだ形で伝えられ、その上貧乏を強いられる子どもです。法案をいったん白紙に戻し、共同親権のための民法改正を議論しましょう。
福田 雅章(ふくだ まさあき)
一橋大学名誉教授。弁護士。
犯罪学、刑事政策を専門とするほか子どもの権利に関する市民運動でも活躍。
Convention on the Rights of the Child(CRC)日本代表。
子どもの権利を、子どもに成長に応じた自己決定の権利として解釈するのを批判し、関係論的解釈を主張する。
共著に『「こどもの権利条約」絵事典』(PHP研究所、2005)ほか