共同親権と子どもの養育を考える勉強会 ―ハーグ条約と国家間の子の連れ去りについて―

この記事は過去にk-net代表の宗像充が参加した活動に関して、当時宗像が作成、関連団体への転載を許可したコンテンツです。過去の活動記録の一環として収録しています。

共同親権と子どもの養育を考える勉強会
―ハーグ条約と国家間の子の連れ去りについて―

6月2日、衆議院第二議員会館第一会議室で、親子ネットも主催団体となっている「共同親権・子どもの養育を考える勉強会」(共同親権・子どもの養育を考える連絡会議主催)が開催された。

6月2日、衆議院第二議員会館第一会議室で、親子ネットも主催団体となっている「共同親権・子どもの養育を考える勉強会」(共同親権・子どもの養育を考える連絡会議主催)が開催され、子どもに会えない親の当事者を中心に50人が参加した。

国会議員では衆議院議員の下村博文さん、枝野幸男さん、保坂展人さん、参議院議員の千葉景子さんが出席したほか、代理出席を含めると、計20人の国会議員が参加した。

冒頭挨拶で代表世話人の宗像は、前日の毎日新聞で外務省が「日本は『民事不介入』が原則であるため、ハーグ条約の締結は検討中」とコメントしたことを取り上げ、「裁判所では面会禁止がなされ、二度目の連れ去りは立件される。すでに離婚と子どもの問題では、日本は『民事』に『介入』している。そのやり方が問題なのだ」と指摘した。

この条約は国際結婚をめぐる紛争の解決ルールを定めたものだが、5月21日にはこの条約の締結を求めるシンポジウムがアメリカ大使館主催で開かれ、その後カナダ、フランス、イギリス、アメリカの4カ国による共同記者会見が行われた。子どもの連れ去りと面会拒否が日常化している日本の現状が厳しく批判されている。

在外フランス人議会議員のティエリ・コンシニさんは、このシンポジウムについてあらためてこの日の勉強会で報告した。現在この条約「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」には80カ国が加盟し、G7の中では日本だけが加盟していない。アメリカ大使館主催のシンポジウムには20ほどの駐日大使が参加した。日本人の親との間で問題が生じている例は、アメリカ73、イギリス36、カナダ33、フランス27であるため、この問題に国際的な関心が高いのは当然である。コンシニさんも、日本政府が、「日本での親による子の奪取のほとんどの事例において具体的な解決策を見出せていない」と述べ、条約への加盟を求めた。

講演では、国際的な家事事件を多く手がける弁護士の大谷美紀子さんがお話し、日本では親による子の「連れ去り」という言葉への抵抗感が 根強いことについて指摘した。大谷さんは、条約を批准したからといって、共同親権・面会交流権の法制化の義務が条約によって課せられているわけではない。しかし両者は、「車の両輪のように歩調を合わせて」国際的な基準と、子の監護に関する日本の法制度・実務の運用との乖離を埋める必要があると述べた。

特に日本の子の監護法制と実務の運用において、母親がDV被害者であるケースが取り上げられ、法制化への抵抗感が根強いことについては度々指摘される。冒頭挨拶で衆議院議員の下村さんも日弁連の弁護士たちと会談したときに、弁護士達の慎重姿勢を感じたと述べていた。大谷さんはこの点について、「母親がDVの被害者であるケースはハーグ条約締約国間でも存在するので、日本に特有の問題ではない」という、考えてみれば当たり前の指摘をしていた。

講演後、日本国内で日本人の女性と結婚して、子どもを連れ去られたアメリカ国籍の父親、日本に子ども連れ去られたスイス国籍の父親が自分の事例を報告し、着いたばかりのスイス国籍の父親は「日本に希望を取り戻すためにやってきた」とつらい思いを語っていた。

日本国内の当事者たちも声をあげはじめる中、日本だけが、この問題で無関心を装うことはますます難しくなっている。

(宗像)

*「共同親権・子どもの養育を考える連絡会議」は、「離婚・別居後の親子関係を考える連絡協議会」と「親子の面会交流を実現する全国ネットワーク」が、国会内の勉強会を共同で実施するための団体名です。

※当日はNHKの取材カメラが入りました。

10年前