ダイアモンドオンライン:「養育費足らんから子ども1人いらん」 強欲元妻から面会権を奪還した一手とは(下)

「養育費足らんから子ども1人いらん」
強欲元妻から面会権を奪還した一手とは(下)

露木幸彦:露木行政書士事務所代表
バックナンバー一覧へ

>>(上)より続く

 しかし、離婚はあくまで慎太郎さんと元妻の問題であり、「元夫が離婚の経緯を子どもに話すと言っているから」という理由で、元妻に子どもたちとの接触を断られても仕方がありませんし、さすがの私もフォローのしようがありませんでした。

 それ以降、元妻は全く子どもたちと取り次いでくれることはなくなり「息子には電話もするな、メールもするな、手紙を送るな。そして誕生日やクリスマスにプレゼントを郵送してくるな」と言いたい放題で、慎太郎さんは子どもたちに直接会うことが叶わないのはもちろん、もちろん、電話やメール、スカイプ、そしてプレゼントの郵送まで禁止されてしまい、途方に暮れていたのです。

「風の噂じゃ、息子には『パパは死んじゃったの』娘には『パパはお星様になったの』と吹き込んでいるらしいですよ!本当にもう踏んだり、蹴ったりです。これじゃ本当に「ムダ金」ですよ。僕の財布はアイツの打出の小槌じゃないんですよ!僕のことを銀行ATMか何かと勘違いしてるんじゃないか!」

 このように慎太郎さんが元妻に対して激しく憤るのも無理はありませんが、どのように妻を説得し、いったん途切れてしまった子どもとの接点を取り戻し、関係を修復し、もう1度「子の父親」として復活することができるでしょうか?

 慎太郎さんは業を煮やして元妻のところへ直談判をしに行ったのですが、話は遅々として進まなかったようです。わがまま放題を言い続け、意味不明な持論を展開し続け、過激なヒステリー行動を起こし続ければ、どうせ途中であきらめるだろうと元妻に甘く見られていたのでしょうか。元妻は言いがかりにも似た難癖をつけてきたのです。
まるで子どもは人質
「金さえ払えばいいのよ!」と元妻

「離婚したんだから、もう関係ないでしょ!私たちに付きまとわないでほしい」と逆上し、まるで子どもを人質にとるような振る舞いを目の当たりにして、慎太郎さんは怒りのあまり手に震えが止まらなかったそうです。

法律上、面接交渉権(面会する権利)*1が認められているのですが、これは父から子だけでなく、子から父への面会も含まれているはずです。だから慎太郎さんは「子どもたちとの面会を求めても、頑なに拒もうとするのは、子どもの権利を蔑ろにするのと同じではないか?」と言い返しました。

「何ができるって言うの?あんたは子どものことを何にも分かってないでしょ!金さえ払えばいいのよ!!」

*1 民法766条
「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。」
5ヵ月子どもたちと会えず
面会権を奪還した一手とは?

 元妻はそれでも首を縦に振ることなく、さらに畳み掛けてきたのです。本来、父親の子どもに対する責任は育児や躾、遊び相手など多岐に渡ります。だから慎太郎さんは養育費を支払うだけでは、すべての責任を全うしたとは言えません。

 元妻が慎太郎さんと子どもたちと直接会わせようとしないのなら、父親に褒めてもらったり、怒ってもらったり、教えてもらう「権利」を元妻が自分の都合で放棄するようなものです。だから慎太郎さんは「養育費だけじゃない。お金以外の面でも、父親の役割を担わせてほしいんだ」と訴えかけました。

「もう頭に来た!出るところ出てもいいんだからね!!」

 あの手この手で元妻を説得できそうな手ごたえを掴みかけた矢先、元妻はこんなふうに話をひっくり返してきたそうです。結局、春休みから夏休みまでの5ヵ月間、父子の面会は1度たりとも実現しませんでした。もし元妻の言う通り、本当に家庭裁判所へ面接交渉の調停を申し立てた場合、どうなるでしょうか?

離婚時に具体的な面会の条件を交わさず、示談ではなく調停に発展した場合、今度は具体的な回数、時間、場所、面会方法(食事、買物、映画を見るなど)送迎方法などを裁判所が決定し、そして書面化してくれる可能性が高いですが、それだけではありません。

 さらに元妻が裁判所で面会条件が決まったにもかかわらず、それでも協力しない場合、平成25年3月に新しい判例が示され(平成25年3月28日最高裁判決)、裁判所の決定に違反すると間接強制(裁判所からの罰金命令)の対象になったので、元妻が面会を断わるたびに毎回、罰金を支払わなければならない可能性もあるのです。

「子どもたちに会わせないと罰金を払わなくちゃいけないんだぞ!それでもいいのか!!」

 結局のところ、元妻は金に汚いタイプで興味関心はお金のみ。しかも儲け話にすぐ引っかかる性分なので、子どものことを「金ヅル」としか思っておらず、慎太郎さんと子どもとの面会を取り次ぐことで養育費の増額が期待できるのならともかく、面会させてもさせなくても養育費が変わらないのなら「面会させない方」を選ぶのは、元妻の行動パターンに照らせば分かり切ったことです。

 逆にいえば、「面会させる+罰金なし」「面会させない+罰金あり」という二択を提示すれば、元妻は「罰金あり、なし」の部分しか目に入らないので、お金の損得勘定だけで「面会させる」を選ぶだろうと。少し厳しすぎるかもしれませんが、元妻の性格を踏まえた上で、このようなやり方をせざるを得なかったというのが実情です。
離婚した夫婦は
「自分目線」ではなく「子ども目線で」

 慎太郎さんに許されたのは「元妻の実家の庭」という劣悪な面会の条件。これでは元妻の親族による衆人環視下ですが、兎にも角にも夏休みも終わろうとする8月4週目、ようやく子どもたちと5ヵ月ぶりの再会を果たしたのです。空白の時間はこれから少しずつ取り戻していくしかないでしょう。

 このように夫婦は離婚したら赤の他人ですが、親は替えのきかない存在で、出産からずっと、そして離婚後も何ら変わることはなく、関係は永遠に続いていくのです。だからこそ、父親が子どもたちに対してどんなふうに接して、どのように関わって、どんな影響を与えていくのか、子どもたちの人生において極めて大事ですが、元妻は自分目線ではなく「子ども目線」で、そして相手が元夫ではなく「子の父親」と思って見てほしいところです。