ダイアモンドオンライン:「養育費足らんから子ども1人いらん」 強欲元妻から面会権を奪還した一手とは(上)

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「養育費足らんから子ども1人いらん」
強欲元妻から面会権を奪還した一手とは(上)

露木幸彦:露木行政書士事務所代表
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「(長男の)ユニフォームのお金は、本当なら養育費のなかから出すべきではないか?」と送ったメールが元妻の逆鱗に触れた(写真は本文と関係ありません)

 子どもたちの夏休みはあっという間に終ってしまいました。子どもが「子ども」なのは期間限定。だからこそ、子どもと一緒に過ごす時間は親にとって貴重なのですが、一緒に暮らしている夫婦と、別々に暮らしている「元夫婦」では『時間の重み』は変わってくるはず。

 例えば妻と別れ、親権を持たず、離れて住んでいる夫(子の父親)はどうでしょうか?夏休みに子どもと再会することを心待ちにしているのですが、実際のところ、「離婚」という障害を乗り越えて子の父親として充実した時間を過ごすことはできるでしょうか?

「面会交流の実施状況」(平成23年度、全国母子世帯等調査結果報告。厚生労働省)によると、父と子が「現在も面会している」「面会したことがある」は合わせて全体の45.6%に対して、「面会したことはない」が50.9%に過ぎず、離婚から現在まで子どもの顔を一度も見たことのない父親が半分以上というのが現実です。離婚時、面会の約束(頻度や時間、場所、送迎方法など)を取り決めたのは全体の25.3%にとどまり、73.6%は何もせず別れています。 
子ども2人に18万円の養育費も
面会ができなくなってしまった

 今回紹介する藤本慎太郎さんは離婚時、子どもとの面会を口約束で済ませざるを得なかったのですが、さらに離婚後、元妻への対応を誤ったせいで、子どもと直接会うことはもちろん、電話やメール、スカイプ、そしてプレゼントの郵送まで禁止されてしまい、途方に暮れて私のところへ相談しに来ました

「せっかく離婚できたのに、これじゃ、まるで生き地獄ですよ!」

 慎太郎さんは現在42歳、建設会社の課長職で年収は750万円くらい。言ってみれば、どこにでもいる普通のサラリーマンです。

慎太郎さんが元妻と離婚したのは4年前。夫婦の間には長男(蓮くん、当時9歳)と、長女(葵ちゃん、当時5歳)がいました。話し合いの末、連くん、葵ちゃんの親権はどちらも元妻が持つことに決まり、その代わりに慎太郎さんは元妻に対し、養育費として子1人あたり毎月9万円を支払うという約束を交わしました。

 離婚時も現在も慎太郎さんの稼ぎはほとんど変わっていません。だから毎月の手取りが32万円の慎太郎さんにとって養育費はその半分以上を占めており、財布がスッカラカンなのも無理はありません。

 そして元妻が「口約束じゃ信用できない!」と言い張るので親権や養育費、そして「父と子の面会」について書面を残したのですが、書面化の手続は元妻主導で行われ、面会の部分は「子の福祉に反しないよう、その都度、父と母が協議の上、決定する」という極めて曖昧でつかみどころのない書き方でした。しかし、当時の慎太郎さんは何とも思わなかったようです。

「だいたい養育費をちゃんと払ったって、もう半年近く、息子や娘に会えていないんです!こんな感じで働いても働いても、元妻に仕送りするばかりで、貯金なんてろくに出来やしない。何のために働いているのか……馬鹿馬鹿しいですよ!もう養育費を払うのをやめようかなと思っています!」
元妻の逆鱗に触れたメールの返信
「子ども1人はいらんわ!」

 慎太郎さんは身銭を削って欠かさず毎月、養育費を払い続けているのだから、せめて子どもの顔を見て安心したり、手を握って成長を感じたり、相談にのって励ましたりすることができれば、お金以外の面で「自分が息子、娘の父親であること」を実感することができ、ここまで元妻に対して敵意をむき出しにすることもなかったかもしれません。

「僕は子どもたちのことをとても可愛がっていました。長男と会えば毎回、一緒に散髪をしに行くし、アトピーの長女とは一緒にお風呂に入って皮膚の状態を見たり……また学期末には子どもたちが通知表を写真に撮って送ってくるので、褒めたり、ダメ出しをしたり。元妻のせいで今、離れ離れで暮らしていますが、僕はそんな感じで一緒に住んでいるときと同じか、それ以上に子どもたちと関わってきたつもりです」

 元妻と離婚し、子どもと別々に暮らすことになったとはいえ、子どもたちとの関係は最初の4年間、ずっと良好で大きな不満はなかったそうですが、潮目が変わったのは今年3月のことでした。

長男が慎太郎さんに「部活のユニフォームを買ってほしい」と頼んできたことがきっかけでした。慎太郎さんは今までマンガ本や運動靴、そして携帯ゲーム機まで……子どもからの頼み事を断ったことはなく、だからこそ、今回も長男に言われるがまま部活のユニフォームを揃えました。

 しかし、子どもに頼まれたら、すべて夫が全額負担するのは当然で良いのかどうか。特に今回は「元妻に言わされている」感じがしたので、慎太郎さんは思わず元妻に対して「ユニフォームのお金は、本当なら養育費のなかから出すべきではないか?」とメールを送りました。それが元妻の逆鱗に触れてしまいました。

「たった9万で子どもが育つと思っているの!だったら、1人はいらんわ!どっちか好きな方を1人、お前が引き取って!!いらない子どもは月1回、生存確認をさせろ!」と元妻から返事がありました。

 すでに離婚から4年が経過し、子どもたちは元妻のところで生活の基盤を築いているのに、親の都合で振り回すようなマネをするのは、子どもたちのためになりません。

 そもそも慎太郎さんは平日、朝から晩まで働いているので、子どもたちの面倒を見るのは時間的に不可能ですし、年収750万円では家政婦を雇うことも金銭的に厳しく「どうせ引き取れっこないのだから、ガタガタ言わず、言われた通りに金を出しなさいよ!」と元妻が自分の足元を見ているように思えたので、完全に頭に血が上ってしまい、思わず「子どもたちに離婚の経緯を話すぞ!」と応戦してしまったのです。
元妻との離婚の原因は
金銭トラブルとデリヘルバイト

 慎太郎さんと元妻が離婚したきっかけは、元妻の度重なる金銭トラブルでした。とにかく妻は儲け話の類が大好きで、質屋でブランドものの財布や鞄を仕入れ、ネットオークションで売って儲けようとしましたが、実際は利益が出るところか、損失を垂れ流すばかりで大赤字になりました。さらに大損をFXで補填しようと企てたのですが、上手くはいかず、赤字が信用取引の部分まで拡大し、証券会社から追証を求められる始末。

 最終的に妻はデリヘルのアルバイトを始めたのですが、携帯のデリヘル客の予約履歴、鞄のなかに忍ばせたローションや大人の玩具、そして無断で解約し、借金返済に充てた学資保険の返戻金明細などがきっかけで、慎太郎さんに悪事の全容を知られることになりました。

7年前