弁護士の机の上:親子断絶防止法の真の不十分点

http://doihouritu.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31

親子断絶防止法の真の不十分点 結論を押し付けずに誘導する姿勢の大韓民国民法にはるかおいて行かれている [家事]
もういい加減よいだろうと思うのだけど
今出ている親子断絶防止法案は、
特に賛成する人はいないのではないかと思われる。
それよりも、
全くオープンな議論もなく、
法案自体が改悪されていることに着目するべきだろう。

改悪したのは、女性を自分の欲望の対象としか見ない
国会議員だとされている。

とにかく、低レベル過ぎるのだ。
本当に離婚後の子どものことを考えているのか。
といっても、もはや誰も信じないだろう。
葛藤の高い元夫と元妻の
どちらの利益をとるかの駆け引きの産物になっていると感じる。

どのくらい、低レベルの遅れた状況かということは
お隣の韓国の離婚制度を参考にすると
一目瞭然である。

先ず、離婚自体がこれほど野放しにされている国も
先進国では日本くらいである。

普通の国は、離婚に伴う養育費や面会交流の取り決めについて書類を作成し、
裁判所の許可をとる等の手続きが必要とされている。
親が自分の気持ちを優先して
子どもの利益をそっちのけで離婚を優先することを避けるためである。

日本は、面会交流や養育費について
それなりのことを離婚届に記載すれば
誰もチェックなどしないで離婚が成立してしまう。
全く不道徳な国である。

通常の先進国は、
離婚後も共同親権である。これが原則。

単独親権制度は日本の国民性に合致しているという意見があるが、
子どもをそっちのけで離婚を優先する国民性が日本の国民性だなどと
誰が言っているのだろう。

あるいは、他の先進国と比べて
深刻なDVが多発する野蛮な国民性だとでもいうのだろうか。
まじめに考えてほしい。

なんにせよ、あまり法案がオープンにされていないので、
ネット情報だよりということもあり、不確かな法案なのだが、
じゃあ、面会交流一つ取ったって、
具体的にどうやって実現するか
どのように規定されているのか、
見えてこない。

これに対して、既に2007年から
子どもの福祉に配慮した離婚手続きを整備した韓国は、
2014年にさらなる具体的配慮がなされている。
どんどん日本は置いてきぼりを食っている。

2007年の大韓民国民法改正では
子の養育と子の親権者決定に関する協議書の提出義務が課された。
これが不十分である場合は、補正命令や家庭法院の訂正決定がなされる。
子どもの将来に対して当事者任せにしないのだ。

また、「離婚案内」というガイダンスがなされていて、
専門相談員との相談勧告がされる場合がある。
別居親の面会交流についても説明を受ける。

離婚案内を受けて、
「離婚をめぐる法的問題」や
「親の離婚が子に与える影響」などのレクチャーも受ける。

2014年になると、
離婚をするためには、日本の家庭裁判所にあたる家庭法院で
離婚意思確認申請の手続きが必要とされているが、
その際、ソウル家庭法院では、
専門の相談員が、相談員と面談することになっている。
その後に上記の離婚案内を受ける。

大事なことは、このような細やかな働きかけをして、
離婚後の共同親権の実効性を確保しようとしているのである。
養育費や面会交流が
「ああなるほど必要なのだな」と
「それなら子どものために頑張るか」
という誘導がなされているのである。

きわめて実務的である。

もしかすると日本の親子断絶防止法案は
「面会交流はやったほうがいいですよ」
「自治体は援助しなさい」
という言いっぱなしの結論押し付け型ではないだろうか。

こういう定めであれば、無駄に不安になる人が続出してもやむを得ない。

面会交流の実施の具体的な後押しになることが
何も定められていない恐れがある。

問題は会わせるか会わせないかという不毛な
決着済みの議論の中で生まれた法案だというところが
消耗の議論の始まりなのである。

「どのように会わせるか」
ということが定めらることが重要なのである。

同居親が安心して、大きな苦痛なく
別居親と面会させる
物的施設や
心理的葛藤を鎮める援助者が必要なのである。

その過程の中で、
あわせないことがこの福祉に合致するという例外的ケースを発見し、
面会交流を実現しなかったり、
付添型の面会交流等の厳格な手続きをとる等の
ふるいをかけることができる。

こういうことを法定化しないで、
法律で面会交流したほうがいいですよと定めても
なんの力にもならないだろう。

当然、離婚制度も問題になるだろう。
葛藤を高め、危険性を高める離婚が横行している
多くの人たちが離婚にまつわり
無駄に精神的ダメージを追っている。

子どもが、別居を余儀なくされた親が、
そして死ぬまで逃げているという意識を持たされた同居親もである。

お隣の国でできていることが
日本でできないことはないだろう。
よく学んで、より良い制度を作ればよいだけの話のはずである。

韓国は日本以上に儒教の影響の強いお国であったと理解していたが、
それでも先進国の例に漏らさず、共同親権制度をとっている。
そうして日本のはるか先を行く制度を法律や
そうる家庭法院の規則で実現しているのである。

養育費についても差し押さえと転付命令を一つの手続きでできるようだ。
専門の取り立て制度もあるようだ。

すべては子どもの健全な成長のためである。

最近、配偶者加害の影響を回避するための論者の主張を曲解して、
面会交流原則廃止と必死さだけが伝わってくる論陣を張っている
学者や社会活動家が跳梁している。

よく勉強してから
公的な発言をするべきであり、
そのような発言を繰り返したところで
役所から気に入られるわけではない。

エビデンスがないという前に
アメイトやウォーラスタイン等を勉強し
どのように議論がなされているか
せめて知ってから発言するべきである。

参考文献
家族法と戸籍を考える(50)義務面談,面会交流センターと養育費履行管理院 : 離婚紛争解決の入口と出口に関する韓国の新展開(二宮 周平 金 成恩)戸籍時報 (741), 11-22, 2016-06  日本加除出版
ネット上では読めないようだ。

韓国法における養育費の確保・面会交流センターの実務について 宋 賢鍾 , 犬伏 由子 , 田中 佑季

http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/AN00224504-20150928-0130.pdf?file_id=105395

7年前