2016年9月13日、法務大臣閣議後記者会見の概要、民事執行法改正・子の引き渡しのルール化

http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00810.html

法務大臣閣議後記者会見の概要
平成28年9月13日(火)
 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 私から一件御報告します。9月18日,今度の日曜日に,香川県丸亀市において,法務省としては7回目の「車座ふるさとトーク」を実施することとなりました。今回は「立ち直りに向けた“息の長い”支援の実施~更生保護施設を拠点とする薬物依存者・高齢者等の再犯防止の取組~」をテーマに,丸亀市内の更生保護施設「讃岐修斉会(さぬきしゅうさいかい)」を実施場所として,地域において様々な立場から刑務所出所者等の立ち直りの支援に携わっておられる方々から,日頃の活動などについてお伺いをし,率直な意見交換を行いたいと考えています。具体的な出張日程については,追ってお知らせします。
性犯罪に関する質疑について
【記者】
 法制審議会の総会が開かれ,刑法の性犯罪に関する法定刑の下限の引上げや,被害者の性別を女性に限らないことなどを盛り込んだ要綱を採択し答申されました。大臣としては,改正法案を,どのタイミングで国会に提出するお考えなのか。また,社会の基盤を大きく変える法律になりますが,社会への周知をどのように図っていきたいとお考えですか。

【大臣】
 昨日,法制審議会から強姦罪等の構成要件の見直し及び法定刑の引上げ,性犯罪の非親告罪化等に関する刑法の改正について答申を頂きました。今回の答申に沿った法整備が行われると,明治40年に現行刑法が制定されて以来,初めて性犯罪の構成要件等を大幅に見直し,現在の実情に即したものにすることができるという点で,非常に大きな意義があると考えています。法制審議会から答申を頂いたので,その内容を踏まえ,適切な時期に法案が提出できるように準備を進めてまいりたいと考えていますが,法案をいつ国会に提出するかについては現在のところ未定であります。今回の性犯罪の罰則に関する検討の過程で議論されてきた様々な問題意識等については,広く国民の皆様とも共有できるような方策を講じてまいりたいと考えています。

【記者】
 強姦罪という罪名が女性を念頭にしているという意見があり,罪名の変更もあり得るのではないかという議論があったところですが,法制審議会の中では結論が出なかったと思います。大臣のお考えとして,強姦罪の罪名については,どのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 性犯罪の構成要件を大幅に見直し,現在の実情に則した形に持って行くという意味では,非常に大きな意義があるとお答えしました。その罪名も含めて,今後の検討をしっかりとしていきたいと思っています。
共謀罪に関する質疑について
【記者】
 共謀罪から名前を変えることを検討している罪についての法整備について,二階幹事長等が状況をよく見て国会の対応等すべきだとの考えを示していますが,まもなく招集される臨時国会の対応はどのようにされるお考えでしょうか。

【大臣】
 自由民主党の二階幹事長が御指摘のような御発言をされた旨の報道については承知しています。既に187の国・地域が提携している国際組織犯罪防止条約,Transnational Organized Crimeの頭文字を取ったTOC条約ですが,これを締結して国際社会と協調してテロを含む組織犯罪と闘っていくことは,非常に重要な課題であり,G7のうち唯一の未締結の国である我が国としても,同条約の締結に伴う法整備を進めていく必要があると考えています。ただ,同条約を締結するための法案については,「組織的な犯罪の共謀罪」の議論で,国会審議の場において示された様々な不安や懸念という点をよく踏まえながら,その在り方を慎重に検討しています。
 したがって,この法案をいつ国会に提出するかについては,現在未定でありますが,法整備の必要性については,国民の皆様の十分な御理解を得られるよう今後とも丁寧な説明に努めていく必要があると考えています。

【記者】
 二階幹事長は東京五輪を控えてあらゆる面で万全を期すということになれば,法律の必要性が自ずからクローズアップされると指摘されていますが,東京オリンピックまでに成立すればよいとお考えか,それとももっと早いタイミングで成立させるべきとお考えか,その辺りのスケジュールをお聞かせください。

【大臣】
 二階幹事長の御発言の報道は承知しています。国際社会と協力してテロを含む組織犯罪と闘うことは,非常に重要な課題であると思っています。東京オリンピックが三年半後に控えている現状や様々な観点からタイミングも全て含めて慎重な検討をしている最中です。
二重国籍に関する質疑について
【記者】
 民進党の蓮舫氏について,台湾籍が残っていたと明らかにし,謝罪したとの報道が今日されたことについて,御存知でしたら,受け止めをお願いします。

【大臣】
 今閣議から戻ってきたばかりですので,その内容については承知していませんが,蓮舫議員について昨日まで様々な報道があることは承知しています。個別具体的な事案についてはお答えを差し控えたいと思っています。

【記者】
 外務公務員については,外国籍を持っていてはいけないと法律で決まっていると思いますが,その上に立つ,トップに立つ総理大臣を目指す人であるとか,国会議員である人が外国籍も有していることについて,大臣はどのような所感をお持ちでしょうか。どうあるべきだとお考えでしょうか。

【大臣】
 仮定の事実に基づいてのコメントは差し控えさせていただきたいと思っています。

【記者】
 一般論としての解釈をお伺いしているのですが。

【大臣】
 一般論としてどのように考えるべきかということですが,報道により,この問題は,今の段階では御本人からいろいろな説明があるという状況にあるものと承知しており,個別具体的な事案については,やはり差し控えさせていただきたいと思っています。
民事執行法に関する質疑について
【記者】
 昨日の法制審議会で諮問された民事執行法の改正についてですが,損害賠償の賠償金や養育費などの不払いが横行しているという現状を受けて,その救済に向けてどのような議論がなされるのを期待されるか,大臣の御所見をお聞かせください。

【大臣】
 債務者財産の開示制度の実効性の向上,不動産競売における暴力団員の買受けの防止,あるいは子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化といった,個別的な検討課題は,近年,民事執行手続に関して,指摘されてきました。こうした事情を踏まえて民事執行法制の見直しについて,法制審議会に私の方から調査・検討を諮問しました。
 民事執行法制はそもそも国民生活,そして経済活動に関わる制度でありますから,専門的な見地から充実した調査審議が行われることを期待していきたいと思っており,しっかりとその審議状況を見守っていきたい思っています。

【記者】
 充実した議論ということですが,大体どのくらいで議論がまとまることを期待されますか。

【大臣】
 法制審議会の議論の状況次第だと思っています。充実した調査審議をお願いしたいと思っていますが,できる限り早期の答申がなされるようにお願いをしたいと思っています。

7年前