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大人は何のために学ぼうとしているのか
2016-10-16 20:50:47
テーマ:面会交流仲介支援
昨日、茨城大学で開催された「ひとり親・再婚家庭における子どもの発達と養育支援」シンポジウムに参加してきました。
東京国際大学の小田切紀子先生による「ひとり親・再婚家庭における子ども」についてのお話は、私も親の離婚を経験した子どもの立場の当事者として頭や心では「こうなんだよな~」って思っていながらも表現しづらかった事柄について、言葉にしてわかりやすくご説明していただいた感じでした。
大正大学の青木聡先生の「離婚後の共同養育をめぐる諸外国の現状」についてのお話では、様々な最新データを私自身整理できたとともに、男女共同参画が最も進んでいるというノルウェーの制度を知ることができ、参考になりました。
その後は家裁の調査官の方のお話もあり、両親が離婚をしたとしても子どもが負担や不安を感じることなく過ごしていけるようにするためには何ができるか・・という、まさに「子ども」に目を向けた会の構成となっていて、全体を通してとても有意義な時間となりました。
・・・しかし、残念だったのは、先生方のお話の後に設けられた質疑の時間。
数名の方が質問をされていましたが、せっかく主催の先生が説明されていた会の趣旨とずれた質問ばかりで、聞いていて違和感しかありませんでした。正直、ここにいる人たちは一体何のために、何を学びにきたんだろう、と思いました。
時間もなく、一言二言の解答時間しか設けられませんでしたし、私が昨日の質問に忌憚なく答えてみたいと思います。(頼まれてませんが、勝手に、自主的に。笑)
Q1.「1か月に1回2時間程度の面会交流の取り決めが主流となっている理由が日本の文化的事情を考慮したものと言われるが、文化にあてはめるのが子どもの利益なのか」
⇒そもそも親が自分たちで決められないから、裁判所が間に入って取り決めをしているのですよね?自分たちで決められないのは両親の問題です。それを棚に上げて裁判所の判決にイチャモンをつけるのは子どもから見て情けないです。情けない親にならないでください。
単独親権の日本の離婚制度があり、両親の働く社会や子どもの社会の中で「面会交流」はほぼ理解されていません。例えば子どもに毎日一緒に学校に行っている友達がいたとして「来月から面会交流の回数が増えて別のオウチから学校に行くことが増えるから、一緒に学校に行けなくなる」なんて言って、果たして今の日本の現状で理解をしてもらえるでしょうか?それとも、うまいこと誤魔化せとでもいうのでしょうか?結局負担を感じるのは子どもなのです。一緒に住んでいる親も、一緒に住んでいない親も、子どもの社会に完全に入り込むことはできませんから。
何が子どもの利益かは、それぞれの子どもの心の中にしかありません。文化の中にも裁判所の中にも法律の中にもありません。だからこそ、大人がやるべきこと、子どもに果たすべき責任ってたくさんありますよね。
Q2.「フレンドリーペアレントルールを考慮した判決事例は茨城でもあるのか」
⇒個別のことになるので答えられないと調査官の方は仰っていましたが、事例があったらなんやねんな、です。千葉の松戸の判決はありますが、自分の大切な子どものためにどうするかを考えるために、それは必要な要素なのでしょうか?自分に優位になる判決例をたくさん集めて、自分自身の今後の法的手続きを優位に進めることしか考えていないのではないかと思ってしまいます。子どものためを思うなら、先生方が仰っていた現状を参考にしながら、判決より何より子どもに向き合ってくれよって話です。
Q3.「親との基本的な交流(離れて暮らす親から手紙が来ても知らないうちに捨てられるなど)すら断たれている子どもたちがこれまで多かったが、今は多少改善されているのか?」
⇒親との交流に基本も応用もありません。子どもの支援を考えるのであれば、親との交流が良いか悪いかは当事者の子どもたちに聞くしかないでしょう。研究を進める先生方が答えを持っているものではありませんし、子どもの視点からすれば、自分の家庭環境はそれ自体が事実であり、過去や他と比べて改善とか改悪とかいう結論付けは無意味です。さらには、親との繋がりが子どもを苦しめることだってありますから。親との交流が自由にできる=離婚後の子ども養育の改善とするのは短絡的ですし、親子関係は綺麗ごとだけではありません。
Q4.「養育費の法整備が進んでいるが、面会交流の課題はそれにともなって今後どのように進展していくと考えられるか?」
⇒養育費も面会交流も子どものために必要なものです。子どもを育てる親のために払う養育費ではありませんし、離れて暮らす親が子どもと関わるのための面会交流ではありません。主をきちんと子どもに置いて考えてください。養育費の法整備が進めば面会交流の争いが過熱するだろうという意見が良く聞かれますが、それは大人がなんとかすることであって、子どもを巻き込むべきではありません。そこまで考えて法整備を進めるべきなのです。養育費の支払い率が上がれば貧困の改善にも繋がるとか、子どもの経済的な不安が減るとか、養育費を「お金」という面だけでみればそうですが、それによる争いが増えれば本末転倒です。
だからこそ、養育費を払う・払ってもらう意味、面会交流をする・させる意味をきちんと親が理解するための親教育、啓発が必要であり、それと並行した法整備を考えるべきなのではないでしょうか。
ということでばーっと書きましたが、とにかく、子どものためとかいいながら、結局自分のため、という親の当事者には本当にイライラします。親も大変なんだ、というのは私はもう28歳なので理解できますが、実際には子どもには関係ないことです。
子どものためにどうすべきか・・・を考える大人たちの集まりだと思っていましたので、その部分は本当に残念でした。
繰り返しになりますが、先生方のお話はとても勉強になりましたので、参加させていただいてよかったです。茨城大学周辺ののどかな環境と、帰り道の綺麗なフルムーンにも癒されました♪