杉並区議会からの意見書

東京23区ではじめての採択です。共同親権制度に触れている点で一歩進んだ意見書だと思います。

杉並区議会サイト
http://www.gikai.city.suginami.tokyo.jp/ugoki/ikensyo.htm

議決年月日 平成 21 年 5 月 29 日
提出先 衆議院議長  参議院議長 内閣総理大臣 法務大臣 厚生労働大臣

別居・離婚後の親子の面会交流の法制化と支援を求める意見書

我が国では、離婚後や別居中に、子どもと同居している親が子どもと別居している親との面会交流(面接交渉)を拒むことにより、子どもと別居親の交流が絶たれてしまうという事例が少なくありません。面会交流についての家事調停の申立件数は、近年、大きく増加しています。正当な理由なく子どもと別居親の交流が絶たれてしまうことは、別居親にとって大変な精神的痛苦であるだけでなく、子どもにとっても父母双方と交流しながら円満に成長することが阻害されるものです。
離婚後や別居中の面会交流については、父母の協議が成立しない場合、民法第七百六十六条第一項に規定する子の監護に関する事項として、裁判所が定めることができることとされています。しかしながら、家事調停や家事審判による面会交流の取決めが履行されない場合には、現行制度上、強制執行の手法としては間接強制が認められているのみであり、必ずしも面会交流が実現するものではありません。
面会交流を実現しやすくするための法整備として、現行の離婚後の単独親権制度を、先進国では主流となっている共同親権制度に改めるという考え方があります。離婚後の共同親権制度を採用した場合には、裁判所が別居親の立場により配慮した面会交流の取決めを行うことや、離婚後や別居中でも父母双方が子どもを守っていくという意識が国民に浸透することにより、同居親が面会交流の取決めを履行しないという事例が少なくなることが期待されます。
この場合にも、面会交流について別居親に配慮する一方、同居親への配慮についてはどう考えるか、また、離婚後の同居親と別居親が子どもの監護について十分に話し合える立場になれるかどうかといった課題があります。しかし、いずれにしても、現に面会交流が実現していない事例が少なからず生じており、面会交流に関する紛争が増加しているという実態があることから、子どもにとって何が最も適切かという観点に立って、面会交流を実現しやすくするための法整備や国民意識の醸成について議論を喚起し、現状を少しでも改善していくことが必要です。
よって、杉並区議会は、国会及び政府に対し、離婚後や別居中の面会交流を実現しやすくするための法整備を含む環境整備について具体的な検討を進め、適切な措置を講ずるよう要請します。

以上、地方自治法第九十九条の規定に基づき、意見書を提出します。

平成 21 年 5 月 29 日

杉並区議会議長 富本 卓

15年前