2015年5月14日参議院法務委員会議事録:真山勇一質問、DV法の住所非開示について

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○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。よろしくお願いします。
 私は、この委員会で、このところ何回かDV防止法をめぐる問題、取り上げてまいりました。この問題、取り上げていろいろ細かいことが分かってくると、そのままにちょっとしておいていいのかなという問題が幾つか出てきているんですね。やっぱりそういう問題は運用の中で起きているわけですけれども、これは解決していくべき問題であると、そういうふうに思いますので、その辺りの問題点、課題について伺っていきたいというふうに思っておりまして、今日もそれについて伺っていきたいというふうに考えております。
 まず、いわゆるDV被害者の住居、住所の非開示というこの問題、先日も取り上げさせていただいたんですが、これは、DVの加害者から逃れるために自分の居どころを知られては困るということで、地方自治体の窓口で住所を公開しないようにする、非開示にするという措置をとってもらうということなわけですけれども、これは確かに被害を受けている人にとってはその追及を逃れるということで必要なことですし、加害者にとっては、これは追いかけていってまた更に何かあるということは困るので、この非開示というのは、それ自体は私はDVを防止するために十分効果のあるものであるというふうに理解をしているんです。
 ただ、その一方で、一旦住所非開示という措置がとられてしまうと、もうこれは加害者というふうに言われている人が、どうやっても、その被害者、つまりかつては自分の配偶者だったかもしれない人と連絡を取って何とか話をしたいという意思があってももうどうにもならないという、加害者にとっては全くなすすべがないという形になってしまうというところがどうしても気に掛かるわけです。
 その加害者と言われる人の中にもいろんなものがあると思います。本当にやっぱり住所を調べて徹底的に追っかけて何かしてやろうと、これはもう問題外のことなんですけれども、そうでなくて、やはり加害者となったけれども、その後いろいろ反省して、例えば配偶者との関係修復したいというふうに思っている人もいるでしょうし、それから子供が原因でそういうことになったので子供に会いたいという、そういう一心で連絡取りたいという人もいるでしょうし、それからもう一つ、やはり問題なのは、前回も取り上げたんですが、いわゆる虚偽DVと言われるものですね。
 つまり、DVの事実がなくても、やはり取りあえず配偶者と離れたいということで、DVがあるということを相談センターに緊急避難として相談すれば、それがDVということになって、窓口がそのまま受け付けて住所非開示措置をとってしまうということがあるわけですね。そうすると、本来DVないんだから、その話を例えばしたいと思っていても、そういうふうなことが全く閉ざされてしまうということが一つあるわけです。
 これについて、やはり何とかいわゆる救済というか、加害者と言われる人の方にも言い分はあるので、その部分をどうやって救済するのかということをお伺いしましたら、先日の答弁の中で、不服申立て制度がありますよということがありました。
 今日は、この不服申立て制度というものについてはどういうもので、どんなふうにすればできるのかということから、まず伺いたいと思います。
○政府参考人(時澤忠君) 住民基本台帳法に基づきまして行いました市町村長の処分に不服がある場合には、住民基本台帳法第三十一条の四の規定によりまして、市町村長に対して異議申立てを行うことができます。また、当該異議申立てに対する決定に不満がある場合には、都道府県知事に対しまして審査請求を行うことができるとされております。また、審査請求の裁決を経た後でありましたら、処分の取消しの訴えも提起することができることとされております。
 なお、昨年六月に成立いたしました行政不服審査法の改正に伴いまして、住民基本台帳法におきましては、不服申立てに関する先ほど申し上げました条文が削除されておりまして、住民基本台帳法に基づく事務につきまして市町村長の処分に不服のある者は、行政不服審査法の適用によりまして、当該市町村長に対して審査請求を行うこととされておりますし、また審査請求を経なくても処分の取消しの訴えを提起することが可能となる改正が行われておりますが、この改正につきましては六月十三日公布となっておりまして、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されるということになっているところでございます。
○真山勇一君 幾つかの方法があるということと、それから、六月ですか、六月十三日、これからですね、これからそういうふうなのが始まるということですね。要するに、そういうふうに改善するということでよろしいんですか。
○政府参考人(時澤忠君) お答えいたします。
 現行法におきましては、先ほど最初に申し上げましたように、住民基本台帳法三十一条の四の規定がありますので、まず異議申立てができます。異議申立てに不服がある場合には都道府県知事に対して審査請求ができる、審査請求を経た後であれば訴えの提起もできるというふうになっております。これが現行でございます。
 先ほど申し上げました、六月十三日に公布されました行政不服審査法が施行されますと、異議申立てはできませんで、市町村長に対して審査請求を行うことができますし、審査請求を経なくても処分の取消しの訴えが提起することができるというふうになるものでございます。
○真山勇一君 少しずつその辺改善されているなという私も認識をいたしておりますけれども、ただ、現状でやはり、DVの加害者とされてしまった人が何とか配偶者の方あるいは子供たちとの接触あるいは連絡を取りたいといったときに、これが全くできなくて閉ざされているということで、例えば自治体の窓口、つまり住所非開示にしている現場でそれどうしたらいいんだろうかということを聞いても、自治体の方では全く、何というんですかね、答えをもらえない、どうしたらいいのか指示がないということで、これはもう被害者の方から取り下げない限り住所の非開示ということは取り消すことができませんということを言われて取り付く島がないというようなこと、随分そういう訴えを聞いてきているわけですね。
 今おっしゃったような方法があるとすれば、やはり地方自治体の窓口に、こういう場合はこういう方法がありますよという案内があってしかるべきだと思うんですけれども、そういうものというのは自治体の例えば窓口でされているのでしょうか、現状として。
○政府参考人(時澤忠君) 現行法におきまして、今、不服申立て制度がございますので、窓口におきましても関係規定に従って対応しているというふうに考えております。
 もう一つ申し上げますと、不服申立てができる処分をする場合には、不服申立てをすることができるということについて書面でそれを教示するという制度がございます。ただ、住民基本台帳の場合は口頭が多いということでこれには当てはまりませんが、ただし、利害関係人、申立人も含めまして、その処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか、あるいは、期間がございますので、そういう期間につきまして教示を求められたときにはこの事項を教示しなければならないということも行政不服審査法上に規定されておりますので、それに従って実務上の取扱いがなされているものと考えております。
○真山勇一君 そうすると、異議の申立てあるいは不服申立てした場合、現状では都道府県知事のところでということなんですが、そうすると、都道府県のどういうところで例えば申立てに対する審査というか、そういうものを行うのかどうか。それから、これから適用されてくる市町村長の場合では、地方自治体のどういうところがそういうことを話をして、それで加害者にどういうような対応を取っていくのかという辺りをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(時澤忠君) 現状におきましては、市町村長にまず異議申立てがあります。市町村長の異議申立ては、処分をしたところでございますので、処分をした中ではございますけれども、もう一度再考をするという手続になります。
 それから、審査請求は、都道府県知事、したがいまして処分をしたところではないところが、客観的に当該処分が妥当であったかどうか、不服申立てに理由があるかどうかというのを審査するということになるわけでございます。
 一方、法改正が施行されましたならば、今度は市町村長に対してのみの審査請求になります。ただし、この場合には立て付けが若干変わりまして、市町村長の下に審理員というのが置かれまして、その審理員がいろいろな観点から検討すると。さらに、その審理員が裁決の案を作りまして、第三者機関であります不服申立て審査会に諮問して答申をして、それに基づいて市町村長が最終判断をするというふうな手続に法改正が行われて施行されれば変わってくるということになるものでございます。
○真山勇一君 いろいろ詳しく説明いただきまして、ありがとうございました。
 多分、DV加害者にそういうことがきちっと情報として知らされているのかどうかということがあると思うんですね。例えば、知らされたかどうか以前に、行政のところでそういうきちっと相談あった人に対して説明ができるのかどうかというちょっと問題点が感じるんですけれども、今おっしゃったようなことはその担当のところで周知されていると考えてよろしいんですか。
○政府参考人(時澤忠君) 住民基本台帳法に基づく一連の流れ、手続でございますので周知をされていると思いますし、また先ほど言いましたように、今度は制度が変わりますので、その制度が変わる際に、どういうふうに制度が変わっていくのかということも更に周知をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○真山勇一君 これ以上は細かいことになってしまうので、ですから、やっぱりDV加害者とされる方がそういうことで相談に行ったときに、いや、もう住所は非開示になっているからあなたがどう言っても何もできませんよと突っぱねられるような状況が起きないということを私は期待して、そういう改善を今目指しているんだというふうに、取りあえずそういう認識にさせていただきたいというふうに思っております。
 次の問題ですが、これもやはり私、気に掛かるんですけれども、先日伺った配偶者への暴力というDVの中でいろいろなことが発生する、その統計、資料をいろいろ取られているということはいただいて分かったんですが、その中で気になったのは、夫婦の問題としての統計、数字は出ているんだけれども、その中に子供ということを対象にした統計というのはありますかと伺ったら、ないということだったんですけれども、これはないんですね。もう一回ちょっと確認させてください。
○政府参考人(久保田治君) お答え申し上げます。
 配偶者に対する暴力は、子供に対しても非常に重大な影響を与えるものでございます。子供の面前で行われる配偶者からの暴力は児童虐待に該当し得るものだと考えております。配偶者暴力防止法に基づきます基本方針におきましては、児童相談所等との十分な連携を図るという観点を盛り込んでおります。
 また、委員御指摘の統計につきまして配偶者暴力防止相談支援センターに相談が参ります状況を申しますと、相談の件数のうち非常に多くの部分が電話相談の現状がございまして、その電話相談の中で御家族の状況だとかというものはなかなか確認できないところがございます。したがって、相談センターで受けた相談について網羅的に統計的に家族の状況を把握するということは難しい点がございます。
 一方、厚生労働省の婦人相談センターで対応しています一時保護に当たりましては、実際に一時保護をする方についての家族の状況を確認しておりますので、そちらでは、相談全体ではないですが、その一部につきまして家族の状況を把握しているところでございます。
○真山勇一君 その辺りが私はどうも何かちょっと納得できないというか。DVというのは家庭内暴力ですよね。配偶者同士の問題であると同時に、家庭内ということは、家庭ということはやっぱり、二人しか、夫婦しかいない家庭もあるかもしれませんけれども、子供がいることの方だって多いわけで、子供がそのDVに巻き込まれるという形は必ずあるわけですし、場合によっては子供のことが例えばいろいろな形の原因ということになってDVが起きることだってあるわけですから。
 ですから、今おっしゃったように、児童虐待というのはあるのは分かりますけれども、DVという問題を捉えた場合、やはり子供がいるかいないか、それから子供と関わり合いがあるかどうかということも、それはなかなか調べにくいとはおっしゃっていますけれども、逆に言えば、これからのやっぱり家族の中でそれもやっていくべきじゃないかというふうに思うんですよ。
 今やはり家族、このDV防止法で、確かに防ぐために接触を断つとか分離させるということはあるんですが、じゃ、家族というのはそのまま分離した、ばらばらにさせたままでいいんですかというふうに私は思うんですね。例えば更生したり、あるいは全く事実に基づかないことでそうなったことを受けている人というのは、やっぱり何とかして家族というものを、配偶者との関係あるいは家族を修復したいと思っている場合、それをどうやってやっていったらいいかということも、やはりこれは考えるべき大事な問題だというふうに思うんですね。
 ですから、そういう意味でいうと、DV防止法の、例えば配偶者DVあるいは家庭のDVといっても子供の問題もやはり把握していく必要があるというふうに思うんですけれども、その辺り、把握する必要があるという認識はどうなのか、それを伺いたいと思います。
○政府参考人(久保田治君) お答え申し上げます。
 基本方針でも明示しているとおり、児童相談所等との十分な連携というのは必要だと考えておりますので、配偶者暴力相談支援センターの方でも可能な限りこれは把握していく話であろうと考えています。
 ただ、先ほど申しましたように、電話相談等が多いという状況、あるいは緊急の対応が必要な方々が多いということで、きちんとした統計的な数が把握できるかということはちょっと難しい点があることを御理解いただきたいと思います。
○真山勇一君 電話だから難しいというのは、私はちょっとよく分からない。電話だって、一言、お子さんはいらっしゃいますかとか、何人いらっしゃいますかということを聞いてそういう統計を取ればいいんじゃないかということが一つと、緊急だというふうにおっしゃいますけど、これは、緊急事態は取りあえず回避して、例えば住所非開示ということが取られていて、それでその後、例えば子供との関係を修復したいとか、配偶者との関係を回復したいということがあるんだから、緊急というよりはその後の、DVがあったということのその後の家族の問題をどうするかというところに掛かってくるんじゃないかと思うんですね。
 ですから、内閣府でやって、そして子供の虐待、児童虐待については厚生労働省でやるという、そういう縦割りじゃなくて、やはり家族全体という問題を考えてDVを解決していくというのがこれからの形であって、このままにすると、DVでどんどんどんどん家族をばらばらにするのは幾らでもできるけれども、じゃ、そのばらばらになった家族をやはり一緒にできるものならする、それは何よりも私はやっぱり子供のために必要ではないかというふうに思っているんですよ。
 ですから、子供のことを考えたら、DVがあったからと子供を連れ去っちゃうんじゃなくて、このままだと子供のことを置き去りにしたDV防止法、まさにその辺が問題だなという気が私はしているんですね。ですから、これからやっぱり統計取るのなら子供の問題というのも、児童虐待は厚生労働省の問題です、DVは内閣府の問題ですじゃなくて、やはり、連携というふうにおっしゃいましたけど、連携というか縦割りというか、それは一つ統計の問題なんだから、こういうものというのはやっぱり新しい家族の形をきちんと把握するためにも必要じゃないかと思うんですが、もう一回繰り返しになりますが、いかがでしょう。
○政府参考人(久保田治君) 御説明申し上げます。
 配偶者暴力防止相談センターの機能について言いますと、まず配偶者から暴力を受けた方が電話で例えば相談されます。そうすると、その方の状況に応じて、シェルターを確保して要するに一時避難をされる必要があるとすれば、そういった機関につないでいくということが大きな役割になっておりまして、したがって、相談支援センターがずっと対象者を最終的に見るというよりも、関係機関につなぐ役割が大きいということでございます。
 したがって、その入口になりますところでできるだけ把握するということは委員御指摘のとおりでございますので、今後検討してまいりたいと思います。
○真山勇一君 最後のところの言葉がちょっと聞き取りにくかったんですが、やはりその辺、是非、事態を正確に網羅的に把握するためにはそういうことも私は必要じゃないかというふうに思っています。DVの加害者というのは、言い方を換えると、やっぱり、自分では例えば夫婦いい関係だなと思っていても突然そういうことになってしまうことも起きるということがよく言われていますので、やはりその辺、対応する方も多角的、そして時代に合わせた形というものを取っていかなくてはいけないというふうに私は考えております。
 まだ何点かちょっと伺いたいこと今日ありましたけれども、済みません、時間がなくなりました。また次回にお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。

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