http://online.sangiin.go.jp/kaigirok/daily/select0103/main.html
○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。
私は、前回の委員会に引き続きまして、今回もDV防止法の陰で今起きている問題、これについての質問を続けていきたいというふうに思っております。
このDV、ドメスティック・バイオレンスですけれども、被害を受けている当事者の方にとっては本当にこれは深刻なものだというふうに理解しております。これを防ぐために、配偶者暴力防止法、いわゆるDV防止法というのが制定されて、前回の委員会で伺ってはっきりしたのは、相談も増えているし、DV被害を防止するという効果も現れてきているということを伺いました。これも大変評価できることでありますし、私も、やっぱりこれまで見過ごされがちだったDVというのが速やかに対応されて、そして防止をしていくということが、これはもう本当に大切だというふうに思っているんです。
ただ、その一方で、このDV防止法が機能している陰で今新たなちょっと見逃せない問題というのが起きているということを前回に引き続きちょっと指摘をさせていただきたいというふうに思うんです。
その問題を引き起こしているのが、お配りしてある資料の、前回もお配りしましたこの紙なんですが、住民基本台帳事務における支援措置申出書というやつですね。これどういうときに使うかというと、これは自治体の窓口に提出する書類なわけですが。この一番下のところの警察署等の意見というところ、意見なんですね、意見を記載して自治体の窓口に出しますと、ほぼ自動的にといいますか、住民票の住所を出さない、つまり住所非開示という措置がとられるというふうになるんだということを前回の答弁でいただきました。
これは、やはりDVの被害を受けている当事者にとっては、追っかけられたり追跡されたりする、住所を知られたくないということで、それを支援、救済する措置としては大変有効な手段であるというふうに思っておりまして、本当にそういう意味では防止に役立っているというふうに思います。
ただ、やはり引き起こしている問題というのは大きなものがあって、例えば、前回ちょっと最初に伺おうと思いましたけれども、前回の私の質問で警察庁の参考人の方から大変御丁寧に、私が繰り返し確認したもので四回もしっかりと答弁いただいているんですね。何がお聞きしたかったかというと、やっぱりDVというのは被害者がいて加害者がいるということなので、本当にそういう事実関係があるのかないのかを確認するためにはやはり両方から意見聞くのが公平な方法だろうというふうに思いまして、それを確認させていただいたら、参考人の方からは、被害者から事情聴取するほか、いろいろなけが、脅迫、影響の程度ですとか診断書の有無ですとか家屋内での状況ですとか、それから加害者を含む関係者からの事情聴取の内容を踏まえてこの申出書の意見という欄に意見を書くということなんですね。
書けばこれが自動的に住所非開示になるわけですけれども、それをやっているということを確認させていただきましたので、手続上は私はそれなりにやっているというふうな評価をさせていただいて、もう一つ、この意見の欄を書くのが配偶者暴力相談支援センターというところなわけですね。ここも意見を書くと全く自治体の窓口で同じような措置がとられていくということなんですが。
こちらの相談支援センターの方の意見を記載する際の相談受付の基準ですとか手続、こうしたもの、それから特にDVの事実の認定をしているのかどうかということについて、まずお伺いしていきたいと思います。
○政府参考人(久保田治君) お答えいたします。
配偶者暴力相談支援センターにおきまして、被害者支援の一環として証明書の発行等を行うことがございますが、前回も御答弁させていただきましたが、この相談センターが出します証明書は、相談を受けたという事実、それから一時保護を行ったという事実を証明するもので、配偶者から暴力があったことの事実認定を行うものではございません。
また、相談窓口につきまして、この受付の基準というものですが、これは広く相談を受け付けるという趣旨でございますので、受け付けるとか相談を拒否するとかという基準を設けているものではございません。
○真山勇一君 なぜDVがあったかどうかの認定というのはやらないんでしょうか。私はやっぱりやるべきではないかというふうに思うんですけれども、もう一回、繰り返しそこをお願いします。
○政府参考人(久保田治君) DVがあったかどうかという事実認定につきましては、相談センターという性格上、被害者から、暴力を受けたという申立てを行っている者からの申出に基づいて保護措置をとるということが主眼の機関でございますので、その事実認定に必要な要するに要員という部分ではそういう組織を持っておりませんので、警察とかとは違いまして、暴力があったかどうか、誰が加害者かということを事実認定する機関ではないというふうに御理解いただきたいと思います。
○真山勇一君 ただ、この書類に相談センターが意見を書いて、被害者と言われる方が自治体の窓口へ行くと住所非開示という措置がとられてしまうというわけなんですよね。
それで、一回非開示ということになってしまうと、前回の答弁ではいただいたんですけれども、この支援措置というのは一年ごとに更新する必要があるということなんですが、そうすると、一年後にまたその住所非開示をどうするかということになったときは、この支援センターとしてはどういう措置をとられるんですか。
○政府参考人(久保田治君) 一年後、要するに更新の手続に関しましては、相談支援センターが同様の手続をしているのかというのはちょっと承知しておりませんので、今はお答えできません。済みません。
○真山勇一君 でも、相談している人は、多分その被害を受けている方にとっては深刻な話なので、住所を何としてもやっぱり隠しておきたいということがあって引き続き相談を受けると思うんですが、そのときの体制をどうするかということがちょっとないというのは不思議な気がします。やはり救済する、支援するということならば、引き続きどうするか、多分引き続き相談に来るというふうに考えた方が自然なんですけれども。
ただ、やはりDVの事実を認定しているかいないかにかかわらず、意見を書いて、この書類が地方自治体の窓口に出されると住所非開示ということが起きてしまうわけですね。そのために、やはりどうしても加害者と言われる方の、例えばDVということを反省して、もう何とか関係を改善したいとか、あるいは、例えば我が子を連れていかれた場合は、我が子と会いたいので何とかならないかということがあったときに、全く手だてがなくなってしまうということがありますね。
実は、この問題を取り上げてから、私のところでインターネットのツイッターとかフェイスブックに意見が大分いろいろ寄せられているんです。そのあれを見ますと、やっぱり加害者とされた人が住所非開示の対象にされているということでこんなことを言ってきているんです。役所の相談窓口の子供支援課というところに事実をいろいろ証明したいので話を聞いてほしいというふうな問合せをしたら、窓口の係の人が、被害者の支援をすることが目的であり、加害者とされる方の話を聞くことはできない、それが現在のDV法である、こういう説明を受けたというんですね。
まさにそうなんですね。被害者の方の救済を第一にしているから加害者の方の話を聞かないということなんですが、それで一方的に住所非開示の措置がとられてしまうということはやはり少しおかしいんではないかなというふうに思うんですが、この辺りは、加害者と言われる方からこういう声が出てきているということについてはどういうふうに思われますか。
○政府参考人(久保田治君) お答え申し上げます。
配偶者暴力の被害者に対しましては、何よりも迅速かつ的確に安全確保を図ることが最優先の課題でございまして、配偶者暴力防止法に基づく被害者支援もそのような観点に立ったものであることを御理解いただきたいと思います。
一方、加害者が弁明の機会を与えられていないという点でございますが、住民基本台帳閲覧制限につきましては不服申立て等の仕組みがございますので、一点はその不服申立てができるということ。それから、配偶者暴力防止法について申しますと、保護命令を地方裁判所が出します。その際には、相手方を呼んだ審尋の場で相手方の意見を述べる機会が設けられているところでございます。
○真山勇一君 私もこの相談センターが一時的な緊急的な避難でこれをやるということは分かるんですけれども、DVの事実関係がどうなのかということはやはり当事者間にとっては一番大事な問題であり、この辺をはっきりさせずに意見の欄のところに記入をしてしまうというのは、今の仕組みですと、これはもう自動的に、総務省の方のお答えですと、自治体の窓口もDVがあったかどうかを判断するわけじゃなくて、出されたらもう住所非開示になってしまうというので、そういうことが起きてしまうんですね。
ここら辺がとても問題で、これと同じことが、実は警察の方にもやっぱりこういう声が来ているんですね。警察は加害者側の方からも話を聞くと実は前回お答えいただいているんですが、例えば私のところに来ているインターネットの話によると、警察、話を聞いてくれると思ったら、そうじゃなかったと。警察の生活安全課というところに行って話を聞いてもらおうとしたけれども、全く聞き入れてもらえなかったという話が出ています。
それからあと、これは更にひどい話だなというふうに私は思うんですけれども、加害者とされている人のところへ警察から突然電話があったと。もうDVを繰り返すな、これ以上したら逮捕するぞというようなことの話をして、加害者側と言われている人の話は一切聞かないで一方的に電話を切ってしまったというような話も伺っているんですね。
警察はこれ、加害者側からも話を聞きますよと言っていたんですけれども、この辺りは、何でこんな話が出てくるのか、どうお思いでしょうか。
○政府参考人(辻義之君) 申出書への意見につきましては、被害者や関係者の供述、客観証拠等から事実関係が明らかな場合もある一方、被害者の供述等だけでは被害事実の認定が困難な場合には、加害者を含む関係者からの聴取等により認定した事実により回答するのが通常と考えられます。また、意見の記載に当たりまして加害者からの事情聴取を行うか否かは個別の事案に応じて判断されるべきと考えますけれども、いずれにしても、警察では、被害者の供述のみではなく様々な情報を総合的に判断して、配偶者からの暴力の事実の有無等を慎重に確認させていただいているところでございます。
○真山勇一君 様々な情報を聞いて判断していくということは分かったんですけれども、それじゃ、これやっぱり方針と現場の食い違いがあるんじゃないかなという気がするんですね。例えば、DVのこういうことがあったときはどう扱うかというようなマニュアルのようなものはあるんですか。どこの窓口に行っても同じように取扱いをしてもらえるというようなものはあるんでしょうか。
○政府参考人(辻義之君) お答えいたします。
申出書への意見の記載に当たりまして、一律に加害者からの事情聴取を行うように指示した警察庁の通達やマニュアル等はございませんが、警察では、DV事案を認知した際には、加害者の検挙のほか、事案の危険性等に応じ、加害者に対する指導、警告等を行っているところであり、その過程で通常、加害者からの事情聴取を行っているところでございます。
また、支援の必要性の確認の照会があった際にも、必要に応じて、加害者を含む関係者に対する事情聴取等により事実の認定を行っているところでございます。
○委員長(魚住裕一郎君) 真山君、時間ですので、おまとめください。
○真山勇一君 はい。
警察は専門家なので、きっとその辺は現場で適切な判断をしていかれるのではないかと思うんですが、ただ、こういうことが、一旦DV加害者だというふうに決め付けられちゃうと、どこでその名誉を回復するのかという話と、これがまた更に進んで、DVの事実確認がないということは、いわゆる虚偽DV、つまり、DVがあったということにすれば住居非開示ができるんだからというようなことも今起きてきているということが現実にあるわけですね。私は、その辺りをもう少しまたお答えをいただきたいというふうに思いますので。
時間が来てしまったので、今日も参考人の方、来ていただいたんですけれども、そこまで質問が行かなくて申し訳ありませんでした。また、次回以降にお聞きしたいと思います。
ありがとうございました。