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○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。よろしくお願いします。
今回は、DV防止法、いわゆる配偶者暴力防止法ですけれども、これの問題について取り上げたいと思います。
この防止法の陰で実は起きている問題というのが最近いろいろ言われるようになってまいりました。一つは、住所非開示という問題と、それから虚偽DVという、いわゆる虚偽DVということなんですけれども、この問題について今日は取り上げていきたいというふうに思っております。
この背景には、やっぱり最近、家、家庭、家族ですとか夫婦ですとか親子、こうした関係の在り方とか考え方というのが大きく時代とともに変わってきている、そういうものがあるというふうに思います。
DV防止法、この配偶者暴力防止法、これは平成十三年の四月に制定されたわけです。この頃から、やはり配偶者に対する暴力、DV、いわゆるDV、家庭内暴力というのが問題化してきたわけです。その後、三回改正が行われています。最近の改正では、配偶者、いわゆる婚姻関係がない同棲という場合でも含めるというふうに改正をされてきて、範囲が広くなってきております。つまり、夫婦という関係がやはり新しい時代に沿って変わってきているというこれ一つの証明だと思います。
これまで、夫婦げんかといいますと犬も食わないなどとよく言われました。他人が首を突っ込むような問題ではない、本当に個人、その夫婦の問題だというようなことも言われてきましたけれども、時代の背景の中で、やはりDV、家庭内暴力というのは、肉体的、精神的、それから身勝手な性的要求などもあったり、人格無視の言葉の暴力ということなどもあるわけですね。時にはそれが命に関わることも起きるということで、やはりDVを防止しなければならないということでこの法律ができてきたというふうなことでございます。
相談支援センターというのも非常にしっかりとできてきて、実は、内閣府からいただいたまず一枚目の資料を見ていただきたいんですが、棒グラフと下に数字が書いてある資料ですけれども、やはり見ていますと、この十年間ぐらいに、配偶者からの暴力に対していわゆる相談する件数というのはもうここ十年で倍ぐらい、一番新しい二十六年度が出ていませんけれども、恐らく二十六年度では十万件超えるような、そんな感じもするんですが、いずれにしても、倍ぐらいという、かなり大幅に伸びてきていることが分かります。
もちろん、このほかにも、警察などにもやはり相談というのも当然あるわけですけれども、この数字、内訳を一番最近の数字で見てみますと、下のところを見ていただきたいんですが、総数、これは平成二十五年度ということで、九万九千九百六十一件という上の棒グラフの内訳ですけれども、これを見ますと、総数というのがあって、その横に男女別というのがありますが、これ見ますと、DVというのは、相談に来るのはやはり女性が圧倒的に多い。つまり、男性というか、夫側から妻が暴力を受けるというケースがやっぱり多いのかなということがこれではっきりと見て取れるというふうに思います。そして、右側の加害者との関係というと、配偶者がいる、いない、それからもう既に離婚をしているけれどもそういうことを受けているというような内訳が出ています。
これ見ますと、このように相談件数がこれほど多くあるということは、実態としてDV防止の効果が上がっているのかどうかということをまず伺いたいというふうに思います。あともう一つ、この統計の、いただいた資料には、子供について、つまり夫婦関係にあるわけですから子供がいるケースがあるんですが、子供という統計はあるのかないか。この二点をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(久保田治君) お答えいたします。
まず、先生配付のとおり、統計上、平成二十五年度におきます配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数は九万九千九百六十一件となっております。これは統計を取り始めた平成十四年度から一貫して増加傾向にあるものでございます。
ただいま御指摘の子供のいる事例については、統計上把握されておらないところでございます。また、もう一点、効果があるのかという点でございますが、相談できる機関が増えているということで、身近なところで相談が行われるようになってきているということで、そういう意味では支援体制というものが着実に取られていると考えております。
○真山勇一君 やっぱりDVということに悩んでいる方が多くいらっしゃると思いますし、身近に相談ができる、そして相談を受ける支援体制というのができているというのは、これはやはりそれなりの体制をつくってきているというふうに言えると思います。
私が気になるのは、お答えがあった、統計上、子供については把握していないということなんですけれども、多分夫婦間のDVということがあれば、夫婦のところには子供がいるケースというのはかなり多いんじゃないかというふうに思うんですが、DV自体は恐らく一方へ対する暴力なのかもしれないですけど、それが家庭の中で起こっているということになると、やっぱり子供にも影響があるのかな、その場合、やっぱり子供がいるのかいないのかということも統計上必要ではないかなという気がするんですけれども、その辺りはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○政府参考人(久保田治君) 配偶者暴力防止法に基づきます相談件数でございますが、相談に訪れた方の一時保護等を目的として、その安全確保という観点からまず相談を受け付けるということでございますので、各家庭の事情がどういったことかというのは、事後的に調べることがあるかもしれませんけれども、取りあえず相談に訪れたかどうかということでまず把握しているものでございます。
○真山勇一君 今のお話ですと、一時保護、取りあえずということで分かりましたけれども、どうも見ていくと、その取りあえずなのかどうかが疑わしいというか、そうなのかな、何かそのままほったらかされて子供はそのままどうなるんだろうというような感じを受けるので、やはりその辺り大事じゃないかと思っているので、この話はまたもう少し詳しく改めてお聞きしたいと思うんですけれども。
そういうことで、この統計上増えていますDVの被害者というのが、加害者からの繰り返されるDVから逃れるということで、住所を知られないようにするという支援の方法があるわけですね。住民票の住所非開示ということなんですけれども、これについて、どういうような基準になっていてどういうようなシステムなのか、それについてちょっと説明をしていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(時澤忠君) DV等の支援措置についてでございます。
これは、住民票の写しの交付等の制度を不当に利用いたしましてDV等の加害者が被害者の住所を探索することを防止し、被害者の保護を図ることを目的としているものでございます。住民基本台帳法第十二条の三等の規定に基づき、住民票の写しの交付等の申請があった場合、市町村長が当該申請を相当と認めるとき等に交付をすることができるとされております。DV等支援措置は、DV等の加害者から被害者の住民票の写しの交付等の申請があった場合に、当該申請を相当と認められない等といたしまして拒むことができるといたしているものでございます。
具体的な手続といたしましては、市町村長は、DV等の被害者からDV等支援措置の実施の申出を受けた場合に、実施の必要性の確認のために、DV等の加害者が申請者の住所を探索する目的で住民票の写しの交付を行うおそれがあると認められるかどうかを、警察あるいは配偶者暴力相談支援センター等の意見を聴取し、又は裁判所の発行する保護命令決定書の写し等の提出を求めることにより確認をすることといたしております。なお、このDV等支援措置は一年ごとに更新する必要がございますが、更新回数に制限はないところでございます。
○真山勇一君 提出した資料の二枚目を見ていただきたいんですが、これ実は、今お話にありました住民基本台帳を不当に閲覧しては困るということで、それを止める、そういう処置を求める申請書なんですね。この申請書をいただいてきたのは、地方自治体の窓口で扱っているということなので、これは国立市のものです。どこの自治体も多分皆同じような書式ではないかというふうに思っているんですが、被害者の住民票があるところへ住民票の写しを出してほしくないということをこの申請書で出すと、いわゆる非開示、住所を知らすことはしないようになるという手続なんですけれども。
これを見ていますと、下のところに警察署等の意見というのがあるんですが、見本というちょっと判こが掛かっているところなんですが、ここで被害者からの相談を受けたその内容、実際にそういうDVがあるのかないのかということをここで証明する、それがいわゆる一時保護につながっていく一つの大きな理由になっているところなんですが、この意見のところ、これ大事だと思うんですね。これによって非開示が決まるということがあって、例えば加害者側が家族に子供がいて、自分の配偶者に対しては暴力があるかもしれないけど、でも子供には是非会いたいというようなことがあったとき、その可能性を奪う一つの大きなこれが手段になってしまうわけなんですが、これについて、DVということの認定はここでされるわけですか。
○政府参考人(久保田治君) お答えいたします。
御指摘の住民基本台帳事務における支援措置申出書に添付します書類に関して、配偶者暴力相談支援センター等の相談機関が証明書を発行する場合がございますが、この証明書では、相談の事実や一時保護を行ったことの証明をするものでありまして、配偶者暴力があったことの事実認定を行っているものではございません。
○真山勇一君 事実認定は行っていないということなんですけれども、例えばDVの被害者からこの支援措置申出書というのが自治体のいわゆる窓口に出された場合、自治体としては、これ、もうこの下に、警察署等の意見というところに書いてあれば、市の方としては住所非開示という措置をとることになるんでしょうか。
○政府参考人(時澤忠君) 申出者から申出が出た場合に、実施の必要性の確認のために警察あるいは配偶者暴力支援センター等の意見を聴取いたします。したがいまして、警察あるいは暴力支援センターはDV等専門的な立場からの意見でございますので、その意見を聴取して支援の必要性の確認をすることになるわけでございます。
したがいまして、その意見を尊重というか、意見に従って市町村として判断することになるものでございます。
○真山勇一君 そうすると、この支援措置申出書というのが出された場合は、もう自治体の窓口としては、DVについてのその認定がなされているということで住所を非開示にするという措置をとることになるわけですね。確認です。
○政府参考人(時澤忠君) そのような意見が付されたときには、支援措置の対象となるという判断をすることになると思います。
○真山勇一君 そうすると、この時点でやはり、何というんですか、配偶者、被害者、加害者の関係というのは破綻している可能性がありますけれども、それが例えば子供の方にまで及んでいるのかどうかということも確認はしていないし、それから、先ほどの話ですと、DVの事実があるのかどうかということも確かめてはいないというふうに伺っているんですけれども、そうなると、やはり事実認定の甘さというものがどうしても出てくるのではないかなというふうに思っているんです。
子供の問題に続いてもう一つやっぱり出てくるのは、そのDVということが本当に証明されているのかどうか、この事実があったかどうかということは証明する必要があるのかどうか。もう一回これを確認させてください。
○政府参考人(辻義之君) お答え申し上げます。
警察におきましては、DV被害者に係る住民基本台帳事務の支援措置に関して、支援措置実施機関である市区町村から支援の必要性の確認のための照会がありました場合には、支援措置実施機関から送付された住民基本台帳事務における支援措置申出書に当該申出者の状況に関する意見を記載して回答をしているところでございます。
申出書への意見の記載につきましては、当該申出者が配偶者からの暴力を受けた被害者であり、更なる暴力によりその生命又は身体に危害を受けるおそれがあるか否かなどにつきまして、被害者から聴取した被害の状況等のほか、けがや脅迫による影響の程度、診断書の有無、家屋内の状況、加害者を含む関係者からの事情聴取の内容等を踏まえて行っているところでございます。
○真山勇一君 そうすると、今かなりいろんなものがないと実際にその判断しないという印象は受けるんですけれども、例えば、それじゃ、そういうふうに被害者が申請をしてきた場合、加害者側が反論をしたい、あるいは加害者側にも逆に言い分なり証拠がありますというようなことがあった場合、それを聞くというようなことはあるんでしょうか。確認です。
○政府参考人(辻義之君) 私どもの作業の中では、先ほども御答弁をさせていただきましたけれども、被害者の方からいろんなことをお伺いすると同時に、加害者を含みます関係者から事情もお伺いいたしまして、それで作成させていただいているところでございます。
○真山勇一君 それがやっぱり少し、DVというのはやっぱりあってはいけないし、加害者から被害者を保護するというのは大事なことだと思うんですが、もちろんDV防止法というのはそれが目的ですけれども。
今、警察の、要するに支援措置申出書のこの部分が大変大事なわけですね。ここでDVの事実があったか、それから将来もある可能性があるということを警察が判断してしまうと、つまりこれはDV加害者ということを決め付けられてしまうということがあって、多分こういうものというのは、じゃ本当にそうかどうかという確認というのも一般的には私は必要じゃないか。特に、積極的に調べるということよりも、例えば加害者の方がやはり反論なり別な証明をしたいという話があったとき、それを聞くことというのは警察はするんでしょうか。
○政府参考人(辻義之君) 先ほども御答弁をさせていただきましたけれども、この申出書への意見の記載に当たりましては、被害者から聴取いたしました被害の状況等のほか、加害者を含む関係者からの事情聴取の内容等、様々なものを考慮いたしまして、それで記載をさせていただいているところでございます。
○真山勇一君 今、関係者からの事情聴取というと、書類だけではなくて、本人からの要するに申出なり意見を直接聞くというふうに理解してよろしいんですか。
○政府参考人(辻義之君) ただいまも御答弁させていただきましたけれども、加害者を含みます関係者からの事情聴取の内容等を踏まえて行っているところでございます。
○真山勇一君 それがやはり大事だと思うんですね。
一方の意見だけ、特にやっぱり難しいのは、DVならDVの事実があったかどうかというのは、一方の意見だけではなかなか、決め付けるということになって、もちろん受けている物理的な証拠が例えばある、大きなけがをしているとか傷が付いているとか、あざがあるとか、そういうことがあれば一つの証明になりますが、そういうことは証明するのが難しいのがこのDVだと思うんですね。
ですから、加害者側がどういうふうなことでそういう行動に出たのかということもやはり聞くことが大事で、それを警察は今聞いているというふうにお答えになったというふうに思っております。
済みません、時間になりましたので、この問題、やっぱりDV防止法の中の、法律としてもちろんDVを防ぐという大きな目的があってそれは大事なことなんですが、その陰で実は盲点というか、不備のようなものを、少しこの法律の実際の運用のところで最近目立って出始めているのではないかという気がしますので、この辺り、また機会を改めまして詳しくお伺いしたいと思います。
ありがとうございました。