弁護士川村真文の視点:家事審判による面会交流と間接強制(肯定)(その1)判決

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弁護士川村真文の視点
弁護士川村真文(シンプラル法律事務所(大阪))のブログです。 様々な問題から自分用の情報までいろいろ入れていこうと思います。

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2014年11月 5日 (水)
家事審判による面会交流と間接強制(肯定)(その1)判決

東京高裁H26.3.13

離婚後に未成年者らの親権者とされた元妻が家事審判で定められた未成年者らと元夫との面会交流を全く履行しないために間接強制が申立てられた場合に、未成年者らの引渡しの方法が特定されていないとして却下した原決定が取り消され、間接強制の申立てが認容された事例

<事案>
長男(12歳)及び長女(10歳)の親権者をいずれも母として裁判離婚した夫婦の元夫である抗告人(債権者)が、元妻である相手方(債務者)に対して、相手方が、甲県乙市内において2か月に1回2時間の長男及び長女との面会交流を命ずる審判に表示された債務を履行しないとして、不履行1回につき25万円の割合による金員の支払を求める間接強制の申立てをした事案。

<規定>
民事執行法 第172条(間接強制)
作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。

<原審>
本件審判においては、面会交流の日時、頻度、面会交流時間の長さについては主文に明示されており、これらの点の特定に欠けるところはないが、子の引渡しの方法は、相手方が抗告人又は抗告人が予め指定した者に引き渡すことが定められているのみで、具体的な引渡しの日時、場所等が明示されているものではない。

債務者である相手方がすべき給付が十分に特定されているとはいえず、間接強制をすることはできない⇒申立てを却下。

<判断>
面会交流の日時又は頻度及び各回の面会交流時間の長さについては、監護親である相手方がすべき給付の特定に欠けるところはない。

子の引渡しの方法等については、・・・未成年者らの引渡場所等は、その記載上は具体的に特定されていはない。

しかしながら、他方で、
①本件審判の主文(2)には、相手方が抗告人または抗告人が予め指定した者に対し未成年者らを引き渡すことが明記されており、しかも、一件記録によれば、抗告人が予め指定した者とはFPIC乙の職員であり、相手方が同職員に未成年者を引き渡すことが当事者双方の共通の認識になっていたことが認められる(相手方もFPIC乙の職員が未成年者らを送迎することになっていたことを認めている。)こと、
②抗告人はFPIC乙職員に依頼し、同職員が相手方の実家を訪れるなどして、未成年者らと抗告人との面会交流を実現させるため相手方と打ち合わせをしようとしたが、相手方が怒って、FPIC乙に対し、相手方の実家に連絡したり来訪しないよう申し入れるなどしたため、面会交流に必要な具体的な打ち合わせも進展しなかったこと、
③相手方は、FPIC乙の職員が未成年者らを迎えに来るはずなのに、迎えに来なかったなどと主張しているが、そもそも抗告人やFPIC乙の職員に対して住所を秘匿して教えようとしていないのであり、抗告人やFPIC乙職員が未成年者らを迎えに行きようもない状況であるから、相手方側においてFPIC乙のファミリー相談室まで未成年者らを送り届けるしかないことも明らかであること

このような本件事実関係の下においては、面会交流の実施に必要な子の引き渡しの方法についても、抗告人と相手方との間で、相手方がFPIC乙の職員に未成年者らを引き渡すということで黙示の合意があり、そのことを前提として、本件審判では、上記のような定め方がされたものであることが認められる。

実質的に、未成年者らの引渡方法等についても具体的な定めがあるものとみることができ、本件審判の主文は、監護親である相手方がなすべき給付の特定に欠けるところはないものと認めるのが相当。

原決定を取り消した上、相手方が本件審判において定められた義務を履行しないときは、未成年者1人の不履行1回につき2万円の支払を相手方に命じた。

判例時報2232