excite news:国際離婚したら子供の立場はどうなるの?

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国際離婚したら子供の立場はどうなるの?
Excite Bit コネタ 2014年6月4日 08時00分

ライター情報:加藤亨延
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アジアでは韓国、香港およびマカオ(中国本土は含まれない)、タイ、シンガポール、スリランカが条約に加盟している

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海外との距離が縮まった今日、外国人と日本人の国際カップルは珍しくない。円満に進むに越したことはないが、人間同士のことであるし、育ってきた文化環境の違いから、離婚という選択肢を選ぶカップルも出てくる。もし彼らに子どもがいた場合、どちらが子を引き取るかでひともんちゃく起きることもあるだろう。双方が合意に至らず、片方の親が子を連れて一方的に自国へ帰ってしまったら、どうなるのだろうか。

今まで日本と外国の間では、共通する取り決めはなかった(国際的にルールはあったが、日本はそこに加わっていなかった)。そのため、連れ去った相手が子どもとの面会を拒否した場合、連れ去られた側は子と会うことができずにいた。しかし今年4月から、日本もその取り決め「ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)」に加盟した。

条約では、国際カップル(結婚だけでなく内縁関係も含む)の関係が破綻し、一方の親が16歳未満の子を無断で国外に連れ去った場合、連れ去られた側の申し立てがあれば、まずもともと住んでいた国に子を戻し、今後の親権をどのようにするか、その国の司法で争うことができるようになった。日本人同士でも、一方が海外へ子を連れ去ってしまうと、この対象として扱われる(国内は対象外)。

ハーグ条約は1980年に、オランダのハーグで行われた国際私法会議で採択され、1983年に発効した。加盟国は現在91カ国で、加盟前、日本はG8(主要国首脳会議)メンバーで唯一、条約に加わっていない国だった。

米国や欧州各国は、長年日本に加盟を要請し続けてきた。海外で結婚した日本人の、離婚に伴う子の連れ去りに、現地の親が対応できなかったからだ。一方で日本が加盟に慎重だったのは、親権についての考え方の違いがある。欧米は離婚後の子どもの親権を両親に認める国が多いが、日本は片方にしか認めていない。また妻が、夫の家庭内暴力から逃れるため子と国外へ逃げた場合でも、申し出があれば原則上、いったん子を元の国へ戻さねばならないことも、問題とされた。

仏レキスプレス誌によれば、日本では毎年16万人を超える子どもが、離婚などの事情により片方の親と引き離されているそうだ。そのうち1万人は国籍が異なる親同士であるという。日本は親が別れた時に、母親が子を引き取るケースがとても多い。フランスでも日仏カップルをしばしば見かける。現在フランスでは、日本人の母親とフランス人の父親というカップルにおいて、母親が子を勝手に連れて日本へ帰ってしまったという訴えが、30件ほどあるそうだ。

ハーグ条約による子の返還については、日本が加盟した4月1日以後の事例に適用される。それ以前のケースは当てはまらないが(本条約は過去にさかのぼって適用されることはない)、子との面会交流を実現するため援助を要請することは可能だ。破綻した国際カップルの1つの解決策として機能していくのか、日本の今回の加盟に、欧米から高い期待が寄せられている。
(加藤亨延)

10年前