毎日新聞: <ハーグ条約>日本に帰国の子 再び母親のいる英国に渡航

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<ハーグ条約>日本に帰国の子 再び母親のいる英国に渡航

毎日新聞 8月30日(土)21時16分配信

 国境を越えて連れ去られた子の扱いを取り決めたハーグ条約が初めて適用され、母親と滞在していた英国から父親のいる日本に戻された日本人の子が今月29日、再び英国に戻ったことが関係者の話で分かった。両親が日本での裁判で合意したもので、今後は英国で母親と暮らし、時折、日本にいる父親と面会するという。

 再出国したのは、別居中だった日本人夫婦の7歳の子。母親が今年3月、父親の同意を得ずに子を連れて仕事で赴任することになった英国に渡り、5月になっても戻らなかったため、父親が同条約に基づいて子の返還を申請。ロンドンの裁判所が7月22日に子を日本に戻すよう命じ、同月末に子が帰国した。

 その後、日本国内の家庭裁判所での裁判で8月上旬に調停が成立。子は母親が滞在する英国に戻り、父親が定期的に子と面会する条件で合意した。

 今回の経緯について父親側の代理人の本多広高弁護士は「父親としては、日本の裁判所が母親に単独で子を養っていく法的地位を与えるのを避けるため、子をいったん英国に戻すことに合意せざるを得なかった」とコメントした。

 一方で、母親側は今回のハーグ条約に基づく手続きに翻弄(ほんろう)されたと感じているといい、代理人の本田正幸弁護士は「子の福祉を確保できる海外への転居であれば、一方の親の同意がなくても、日本の裁判所が迅速に許可できる新しい仕組みが必要だ」と話した。【伊藤一郎】

10年前