http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2286611.html
「ハーグ条約」初適用の日本人の子、英滞在認められる
日本でも今年4月に発効したハーグ条約についてです。一方の親が、もう一方の同意を得ず国外に子を連れ出すと、ハーグ条約では子どもを原則、元の居住国に戻さなければなりません。先月、このハーグ条約が日本人として初めて適用され、日本へ帰国した子どもが一転、日本の裁判所で「出国」が認められたことが分かりました。司法の判断に翻弄された当事者は困惑しています。
イギリス・ロンドン。この日、女性の元には1か月ぶりに子ども(7)が戻って来ました。
「(子どもは)イギリスの生活に慣れてきていましたが、日本に一度戻らなくてはいけなくなった。すごくそれは負担になったと思う」(ハーグ条約適用を受けた子の母親)
日本人の夫と離婚調停中の女性は今年3月、転勤を機に子どもを連れイギリスへ。しかし先月、ロンドンの裁判所は「約束の期間を超え、不当にイギリスに滞在させている」との夫側の訴えを認め、ハーグ条約に基づいて子どもの返還を命じていました。
「1年間だけの赴任、住所もコンタクトも父親は知っていたし、通常の子どもを移住目的で連れ去るものとは基本的に違う」(ハーグ条約適用を受けた子の母親)
ところが今月に入り事態は一転。家庭裁判所での審判で「父親との面会交流」などを条件に、子どものイギリス滞在を認める調停が成立したのです。
「裁判所が仲介に入って決着した判断としては、やっぱり元々の提案通り。(今回は)ハーグ条約(に訴える必要)はほとんどというか、全く必要なかったと言っていいと思います」(ハーグ条約適用を受けた子の母親)
ハーグ条約に翻弄された母と子の1か月。女性側の代理人弁護士は「“子の福祉”の観点から監護者の指定などとは別に、裁判所が子どもの転居について許可を出すような制度が必要」としています。(30日05:33)