http://blogs.yahoo.co.jp/horio_blog/53855413.html
(1)二宮周平教授の「婚外子相続分差別の違憲判決をめぐって」(2012.1.10)を読みました。
この文章によれば、子どもが受け取る遺産の額を婚外子では半分とする民法の規定を違憲とする判決がありましたが、これは駆け出しの弁護士さんが勝ち取ったものであるそうです。
しかし、この大阪高裁の判決は、すばらしい判決というほどのものではなく、国連の子どもの権利委員会が日本に勧告していた内容の追認です。
ところでドイツでは、1982年に単独親権制度を違憲とする連邦憲法裁判所の判決が出たそうです。そういう可能性は日本では小さいでしょうが、0ではないでしょう。子どもの親権者が1名しかいないと、子どもには不利なことがいろいろ起こり得ます。
(2)また、二宮周平教授の「当事者支援の家族紛争解決モデルの模索–ドイツ,オーストラリア,韓国の動向から」(2012年)を読みました。以下のように、ドイツの状況が紹介されていました。
「ドイツでは,1998年の親子法改正により,両親の別居・離婚は、両親の共同配慮(日本で言えば,共同親権)に直接的な影響を与えないこととなった。また子と同居していない親と子は,互いに面会交流を請求することができる(ドイツ民法1684条1 項)。」
「夫婦が離婚する場合には,1 年以上の別居と離婚合意が必要であり,家裁がこれらを確認して離婚判決を下す。その際に夫婦は,夫婦財産の清算,離婚給付,子の養育費,子の居所の指定,親子の面会交流,子の引渡しなどについて,協議で定めることができる。しかし,この中の親子関係に関する紛争(居所の決定,面会交流,子の引渡し)について,合意が形成できなかった場合に,父母の一方が家裁に申し立てると,他の案件に優先して期日が定められる(家事事件及び非訟事件手続法155条1項)。」
「家裁の居所の指定や面会交流の決定に対しては,実効性の担保として,秩序金(25,000ユーロ内,500ユーロ以下が多い),秩序拘禁,身上配慮権の剥奪,共同配慮を取り止めて一方に単独配慮権を委譲するなどの措置がある。上記手続の過程において,子の意思を尊重し(ヒアリングの実施,同159条),子の意思表明が困難である場合には(同158条2項列挙事由),手続補佐人(Verfahrensbeistand) が選任される。」
米国でも、面会交流の件は、他の案件より優先して決められます。
http://www.geocities.jp/rbnmd238/visiting-.htm
http://www.hunter.cuny.edu/socwork/nrcfcpp/downloads/visiting_report-10-29-03.pdf
「面会が遅れずに行われる利益を確保するために、回答のあった州のうち多く(43.2%)の州の方針では、最初の面会は、子どもの移動後の1ヶ月以内に行われなければならないと明言している。7つの州では、移動後、最初の1週間以内の面会を要求している。」
「多くの州は、子どもの移動があってから最初の30日ないし60日以内に、面会プラン、特に子どものケースプランを作成することを要求している。いくつかの州では、もっと迅速に作成することを要求している。」
ニュージーランドの家庭裁判所も次のように述べています。
http://www.geocities.jp/rbnmd238/newzealand.htm
http://www.justice.govt.nz/family/what-familycourt-does/relationships/advice/default.asp
「あなたが同居をやめるとすぐに、あなたの子どもがあなたがた双方に会えるような計画が必要になります。これをあなたの仕事の優先順位の1番にしなさい。このことは、資産の問題のように後で対処すべきこととは別に考えなさい。」
日本では、子どもを連れ去った側は、交渉の道具として、他方の親と子どもを、長い間会わせないことが可能です。小さい子どもでは、他方の親のことを思い出せなくなります。