静岡新聞:国際結婚破綻後、子の権利どう守る 登録弁護士、出番へ備え

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140720-00000004-at_s-l22

国際結婚破綻後、子の権利どう守る 登録弁護士、出番へ備え

@S[アットエス] by 静岡新聞 7月20日(日)8時14分配信
国際結婚破綻後、子の権利どう守る 登録弁護士、出番へ備え

(写真:静岡新聞社)

 日本が4月、国際結婚が破綻した後の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」に加盟したことを受け、日本弁護士連合会が設けた弁護士紹介制度に、静岡県内では5人の弁護士が登録した。登録弁護士は専門知識と英語力を生かし、子どもを連れ戻すための手続きなどに携わる。まだ活用例はないものの、登録弁護士の1人は「手の打ちようのなかった部分に解決の手段ができた」と条約加盟の意義を語り、“出番”に備える。
 ハーグ条約は、一方の親が子どもを国外に連れ去った場合、元の居住国に子どもを戻し、その国で親権を決めることを原則とする。当事者の話し合いで解決しない時には、子どもがその時点で住んでいる国の裁判所が返還の是非を判断する。
 返還が拒否できる理由として「子の心身に害を及ぼす重大な危険がある場合」などが規定され、条約に準じる国内法で家庭内暴力(DV)の恐れがある場合も返還拒否が認められている。
 返還手続きは複雑で、紛争解決機関(ADR機関)での解決が求められるケースもある。このため、登録弁護士には3年以上の弁護士経験と、子どもの引き渡し関連事案を担当した経験、英語力が必要とされている。紹介制度には、依頼者がこうした条件を備えた代理人を見つけやすくなるという利点がある。外務省が窓口になり、依頼者に3人の登録弁護士を紹介するほか、緊急時には依頼者が直接各弁護士会に問い合わせることも可能とされている。
 県内の登録弁護士の1人、望月彬史弁護士(31)=県弁護士会浜松支部所属=は、学生時代に学んだ海外の家族法の知識を生かそうと登録申請した。「返還に至るまでの判断の道筋が明確になった」と条約加盟を歓迎し、「積極的に紹介制度を利用してもらい、解決に協力したい」と意欲を示す。
 日弁連の菅沼友子事務次長は「まずは子どもの権利・福祉を尊重することが前提。その上で条約の正しい運用のために最善を尽くしたい」と話している。

◇メモ 日弁連によると、全国の登録弁護士は151人。東京や埼玉、静岡など1都10県の関東ブロックは93人と最多で、宮城県など6県を含む東北ブロックが4人と最も少ない。登録弁護士のいない県もあり、地域的な隔たりが大きい。

静岡新聞社

10年前