ハーフを考えよう:中山美穂が「子供を捨てた」と言われている件

http://half-sandra.com/column/2014/07/17/2333.php

中山美穂が「子供を捨てた」と言われている件
2014.7.17

芸能ネタで、すみません。

今朝、電車の中吊り広告を見ていたら、「中山美穂は子供を捨てた!」みたいな見出しが出ていました。

私は、この中山美穂さんの離婚の件、別の意味で気になっています。

そう、「ハーグ条約」がらみで気になっているのです。

中山美穂さんは、ご主人と10歳の子供と一緒にパリに住んでいたそうですが、そのご主人と離婚をし、

現在日本人(のマスコミ)から「子供をパリに置いてきた」「子供の親権を父親がとった」イコール「中山美穂は子供を捨てた」と言われているのですね。

しかし、日本が今年の4月に「ハーグ条約」に加盟したことを考えると、そのような解釈(←子供を外国に置いていくなんて酷い母親、親権を父親に渡すなんて酷い母親、という発想)をしていたのでは、法律(ハーグ条約)と「人々の感じ方」の間にかなりのギャップがあるのですね。中山美穂さんがちょっと気の毒な気もします。

というのは、「ハーグ条約」では、親の離婚後も、子供が「元々住んでいた国」で暮らし続けるのが子供にとってベストという考え方に立っています。「母親と一緒に日本に帰るのがベスト」という考えには立っていないのです。

今回のケースも、もしも中山美穂さんの元ご主人が「子供を日本に連れて行くこと」に反対しているとしたら、彼女はそう簡単に子供を日本に連れて帰れないんですよ。冒頭の通り、ハーグ条約の基本となる考え方は「子供は元々いた国(←今回のケースだと、それはフランス)で暮らすことが最適」というものなので。

残念だな、と思うのは、今回の「中山美穂の離婚」の件は、こういった条約(ハーグ条約)を簡単に説明する良い機会なのに、マスコミは「ハーグ条約」に触れていないこと。

そう、ハーグ条約は何も「国際結婚カップル」にだけ適用される条約ではないのです。「日本人同士の夫婦」にも適用されます。

「日本人同士の夫婦」が海外に住んで、子供が海外で育ち、その後、親が「離婚」となった場合も、「ハーグ条約」が適用されるわけですから、従来の「離婚したら子供と一緒に日本に帰る」という発想を他人に強要するのはやめたほうが良いと思います。

そして同時に思うことは、「外国で暮らすこと」や「世の中が国際化すること」は素晴らしいことだけれど、

その際に生じる問題などについても、

マスコミ等にもっと取り上げてほしいな、ということ。「中山美穂は子供を捨てた」と報道するだけ、っていうのはちょっと違うんじゃないかなあ。。。

せっかくだから、ミーハーなネタを元に、こういう「ハーグ条約」の事も解説したら、知識も広くひろまるし、分かりやすいんだけどなあ、、、なんて思います。

そう、TBSの「世界の日本人妻は見た!」のような「国際結婚ポジティブ版」も素晴らしいけれど、「裏側」や「破綻したケース」を冷静に見つめることも、とても大事。そういう事に向き合うことで、子供が悲しい思いをすることが防げるかもしれないし。

・・・なんて、グルグル考える夏の日です(暑いのに!)

皆さんも、ご意見ありましたら、ぜひ書いていってくださいね。

サンドラ・ヘフェリン

10年前