真山勇一参議院議員:別居親に対する学校現場等の対応に関する質問主意書

第186回国会(常会)
質問主意書

質問第九八号

別居親に対する学校現場等の対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年五月十二日

真 山 勇 一   

       参議院議長 山 崎 正 昭 殿

   別居親に対する学校現場等の対応に関する質問主意書

 昨年十二月、報道によれば、文京区の公立小学校で、子供と十分に会うことができなかった父親が、焼身自殺をし、それに我が子を巻き込み、父子とも死亡する事件があった。
 父親は離婚調停手続中のため、子供と会うことが制約されていたと報じられているが、離婚前であり、共同親権下での親子交流を制約できるという法的な根拠はない。
 ここ十年間で家庭裁判所への面会交流調停の申立件数が三倍以上となっている現在、連れ去りなどに端を発する「子供の奪い合い」の場が、家庭内や裁判所だけではなく、居住している地域や子供の通う学校等に広がっている。
 文京区の事件に限らず、地域や学校現場では、子供と離れて暮らす親(以下「別居親」という。)に対し、原則なきケースバイケースの現場裁量による対応がなされた結果、トラブルが起きるケースが少なくない。他にも小学校、幼稚園、保育所等が連れ戻しの現場になるなど、事件が絶えない。
 法的根拠に基づかない学校等の現場裁量は限界にきており、適切な対応ができていないと言わざるを得ない現状がある。
 また、学校等では本来公開資料であるべき配付物ですら別居親には渡さないことがある。そればかりか、子供の出席状態はおろか在籍しているかなどの情報すらも伝えないなど、別居親を排除するような対処が数多く採られている。
 これらの対処は、「片方の親からの申告」のみを発端としている場合があり、正確な状況の把握がなされないまま行われているために、別居親を徹底して社会的に排除することとなる。その結果、排除された親の人権や社会的な立場を奪うこととなり、追い詰めてしまうことにつながる場合がある。
 一方、子供の保護者という重要な立場自体も、学校に連絡をした片方の親からの申告のみで判断され、しかも、その判断は、連絡をした片方の親の身分確認さえ取らずに行われている場合がある。これでは不当な連れ去りをした片方の親が、学校側が認める事実上の「保護者」として判断され、子供から別居親を排除することにもなりかねない。
 そのような背景の中、世論の求めを受け、「民法等の一部を改正する法律」(平成二十三年法律第六十一号)により民法第七百六十六条が改正され、面会交流が明文化された。改正の趣旨として面会交流を促進することが子供の利益になるとうたわれ、適切な対応がされていない現場の状況を改善し、同法改正の趣旨に沿った別居親への現場の対応についての運用の指針や在り方を確立することが望まれる。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 政府は、小学校、幼稚園、保育所等において、子供の両親の関係で生じているトラブルについて、その概要、具体的件数等を把握しているか。また、学校等として、別居親の関与を認めている場合は、どのような基準で関与を認めているか把握しているか。

二 前記一に関して、把握していない場合は、今後把握する必要があると考えるか、政府の見解を明らかにされたい。

三 政府として、小学校、幼稚園、保育所、地方公共団体等が、子どもの親権者や保護者、監護状況を把握すべきと考えるか。もし把握すべきでないとすれば、その理由を示されたい。

四 政府として、別居親が小学校、幼稚園、保育所、地方公共団体等において、どのように扱われているか把握しているか。もし把握すべきでないとすれば、その理由を示されたい。

五 政府は、民法第七百六十六条改正の趣旨を、小学校、幼稚園、保育所、地方公共団体等にどのように周知しているか。また、改正の趣旨に沿った現場の対応の指針が必要であると考えるか。必要であるとすれば、その指針の内容について示されたい。

  右質問する。

答弁書第九八号

内閣参質一八六第九八号
  平成二十六年五月二十日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三   

       参議院議長 山 崎 正 昭 殿

参議院議員真山勇一君提出別居親に対する学校現場等の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員真山勇一君提出別居親に対する学校現場等の対応に関する質問に対する答弁書

一、二及び四について

 お尋ねの「トラブル」の概要、具体的件数や、別居親の関与を認める基準、別居親の扱いについては、いずれも政府として把握しておらず、また、その必要があるとは考えていない。

三について

 御指摘の「監護状況」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかでないが、小学校、幼稚園、保育所、地方公共団体等においては、それぞれその必要に応じて、子供の保護者の状況について一定程度把握することが望まれるものと考えている。

五について

 政府としては、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百六十六条の改正については、各都道府県教育委員会等に対して所管の学校等に対する周知を書面により要請したほか、リーフレットを地方公共団体等の関係機関に配布すること等により、その周知徹底に努めてきたところである。御指摘の「現場の対応の指針」については、その必要性も含めて検討すべきものと考えている。

4年前