公明党:ハーグ条約国内実施法 法律制定 そのとき公明は

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ハーグ条約国内実施法 法律制定 そのとき公明は

公明新聞:2014年5月9日(金)付

現場の懸念を解決するため、委員会質疑に立つ大口氏と山本(香)さん現場の懸念を解決するため、委員会質疑に立つ大口氏(右)と山本(香)さん

子の利益守り、DV被害者への支援強化盛り込む

国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」【別掲】が日本で4月1日、発効した。同じく同日に施行された、条約の国内手続きを定めた実施法の成立を主導した公明党の取り組みを紹介する。

「現時点で条約を締結することは国民の利益を大きく損なう恐れがある。事前のオープンな議論もなく、国内世論も分かれる中、見切り発車のやり方は適切なのか」

2011年5月17日の参院外交防衛委員会。席上、公明党の山本香苗は、こう叫んだ。当時、日本では条約締結の是非に関する問題点を洗い出す十分な実態調査すら行われていない状況だった。それだけに山本は、丁寧な議論が不可欠と痛感していた。

本来、条約締結については、国会承認を求めるとともに、その内容を国内で担保する法律案を国会に提出するのが通常の手続きだ。しかし、G8サミットを控えた民主党政権は外交を優先させ、早々と20日に締結する方針を決定。

公明党内で、ハーグ条約締結の是非など議論が本格化したのはその半年前の10年11月からだ。党内に設けられたプロジェクトチーム座長の大口善徳(衆院議員)と山本を中心に、関係団体から現場の声を聴取するなど、10回にわたる慎重な議論を重ねた。

条約締結に当たり、懸案とされる事項を国内実施法でいかに解決していくか。公明党は法整備の議論では、「子の最善の利益」という条約の基本理念の実現に最大の力点を置くとともに、DV(配偶者などによる暴力)被害者など、条約締結を不安視する国民の声に一つ一つ対応していった。

その取り組みの中で(1)条約を扱う中央当局の外務省内に、DVや児童虐待の専門家を配置した支援体制の充実(2)「子の心身に重大な危険がある時」は返還を拒否できる規定の実効性を担保(3)DV被害者の居場所の情報不開示など被害者を守るためのガイドライン作成―を主張。

そのほか、国内外での広報の徹底や、子ども返還の裁判に当たり、法テラスによる提出書面の翻訳費用の支援、在外公館による支援など、懸念事項について政府と数度にわたる折衝を重ねる中で法案に盛り込まれていった。

国会審議の際にも、大口らは本会議や委員会質問などで、運用体制にまで踏み込み、不安解消に努めた。

そして一昨年12月の政権交代を経て、国会は昨年5月に同条約締結を承認、国内実施法も、全会一致で同6月に成立した。

大口と山本は気を引き締める。「今後は実施法の運用の注視が欠かせない。子どもの最善の利益を守る闘いはこれからが本当の勝負だ」

(文中敬称略)
現場に寄り添う公明に感謝

NPO法人「全国女性 シェルターネット」 土方 聖子 共同代表

民主党政権が条約の締結方針を発表した当時は、私たちが意見を言う場があまりありませんでした。

私たちの活動は、DV被害を受けた女性と子どもを守ることであり、被害当事者が不利にならない法整備の必要性を痛感していました。その中で、山本議員や大口議員ら公明党の皆さんが一番私たちに親身に対応してくださり、何度も外務省につないでいただきました。特に、外務省内の支援体制強化や、DV被害者を守るガイドライン策定については、私たちの声を基に強く推進してくれました。

現場に寄り添い、法案成立を主導してくれたことに本当に感謝しています。
ハーグ条約
正式名は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」。国際結婚が破綻した一方の親が16歳未満の子どもを無断で国外に連れ去り、もう一方の親が返還を求めた場合に、原則として子どもを元の国に戻すことを義務付けている。親権は元の国で争うことになる。一方、返還を求める親に虐待やDVの恐れがあるときは、返還を拒むことができる。91カ国(今年1月現在)が締結している。

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