http://sp.mainichi.jp/select/news/20140505k0000m040115000c.html
父子手帳:「ご当地版」続々 12都県で発行・配布
21時間前
市内の公園マップが載っている奈良市の父子手帳=山崎明子撮影市内の公園マップが載っている奈良市の父子手帳=山崎明子撮影その他の写真を見る
パパの育児への注目度が上がる中、各地で独自の「父子手帳」を発行する動きが広がっている。毎日新聞が都道府県を対象に調べたところ、12都県が発行し配布中、1県が今年度中に発行を予定、3県がウェブ上で公開していた。また北海道帯広市や横浜市、奈良市、和歌山市など市町村が単独で発行しているケースもあり、新米パパを応援するユニークな手帳が続々登場している。
父子手帳は、就学前の子どもと母親の健康管理を目的とした「母子健康手帳」の父親版。母子の手帳は母子保健法に基づき妊娠の届け出に応じて市町村が交付するもので、厚生労働省令により様式が定められている。
これに対し、父子手帳は内容も発行そのものも自由。オムツ替えの仕方など育児の基礎知識や子育て支援サービスの紹介、妻との関わり方などを内容とするものが基本だが、地域の特色を生かし、工夫したものも目立つ。
和歌山市の手帳は、パパのタイプを地元出身の偉人にあてはめ、「南方熊楠(みなかたくまぐす)タイプ」の自由人パパには「自分の所在は明らかに」、「紀伊国屋文左衛門(きのくにやぶんざえもん)タイプ」の社交的パパには「家族との時間をないがしろにしない」などとアドバイスする。
自称「うどん県」の香川県高松市の父子手帳では、うどんを離乳食に使う場合の工夫を紹介。奈良市の手帳には、子連れの散歩に手ごろな市内の公園マップが掲載されている。市の担当者は「育児知識に加え、奈良が子育てしやすい所だとアピールする狙いもあった」と明かす。
父子手帳は、出版社発行の市販品が20年ほど前から出回っているが、近年は独自に作成する自治体が増えてきた。しかし発行の義務付けはないため、国も作成状況を把握していない。
各地の父親教室の講師を務め、手帳に詳しい渡辺大地さん(33)は「地域色を打ち出すことで地元に愛着を持ってもらい、子育てに積極的なまちという印象も出せるからではないか」と広がりの背景をみている。
子育て支援制度に詳しい中京大現代社会学部の松田茂樹教授は「長時間労働を強いられ、地域との関わりの薄い父親にとって地域の子育て情報を載せた手帳は役立つのでは」と話している。【浜田和子、山崎明子】
◇父子手帳を現在発行している都県
秋田、栃木、埼玉、東京、富山、長野、 岐阜、鳥取、香川、熊本、大分、宮崎
◇過去発行分をウェブで公開中の県
福井、静岡、愛知
◇今年度発行予定の県
山口
2014年05月05日