衆議院法務委員会議事録:第5号 平成26年3月19日(水曜日)

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000418620140319005.htm#p_honbun

○江崎委員長 次に、浜地雅一君。

○浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 昨年の法務委員会での一般質疑も時間を頂戴いたしまして、ことしも三十分間時間を頂戴しまして、委員長、また理事の皆様、委員の皆様に感謝を申し上げます。

 きょうは、私、夫婦の離婚後の子供との面会交流、または養育費の問題、ひいていいますと、やはり家族全体のあり方というものを題材に質問させていただきたいと思っております。

 御存じのとおり、現在、一年間に結婚する、婚姻をするカップルというのが大体年間六十六万三千組と言われておりますけれども、片や離婚するカップル、こちらの方が一年間で二十三万一千組という統計が出ておりまして、これを見て、六十六万対二十三万ということで、マスコミ等々では三組に一組が離婚をしているというような報道がございますけれども、実はこれは間違いでございまして、その前に結婚しているカップルはたくさんいらっしゃいますので、その年の六十六万組結婚した人が二十三万組離婚するわけではございませんので、正確に言うと、人口千人当たり大体一・八ぐらいの割合で離婚をしているということでございます。

 しかし、そうはいいましても、年間約二十三万の夫婦の方が離婚をしまして、その中で、二十歳未満の、いわゆる養育義務のある、監護義務のある子供を残しての離婚というのが昨年は五八・三%あったということでございます。

 最近は、少子化が進んでおったり、または高齢者の離婚というのが進んでいるということで、いわゆる養育義務のある子供を残しての離婚率というのは下がっているんじゃないかというふうに調べましたけれども、一九八五年の段階でも六〇%ということでございますので、やはり、本来であればお父さん、お母さんにしっかり育てられるべき子供が、親の都合によって別れざるを得ないという状況でございます。

 そうしますと、やはり、離婚後の親子の交流、または、生活を支えるため、または子供の養育をするための養育費の問題というのが非常に大事だろう、そのように思っておるんです。

 実際、幼少のころ夫婦が別れますと、親権はほとんど母親に行きます。そうなりますと、父親とその小さな子供との面会ということになるんですけれども、最近は、連れ去りがあったりとか、または少し暴力を振るわれているということで、非常にお母さん方も、以前の夫、子供にとってはお父さんに会わせるのが怖いということで、中には弁護士が仲介をしたりということなんですが、当然、これは費用がかかる問題がございます。ですので、最近では、第三者の機関、民間の機関だったり、中には、これから質問します公益社団法人が親子の面会交流の仲介を行っているというのが今の現状のようでございます。

 ですので、仲介をする第三者機関というのが非常に大事になってくるわけでございますけれども、私も調べましたら、いろいろと民間の団体もございますが、一つ、公益社団法人の資格を取っている団体、家庭問題情報センターというものがございます。これはFPICと通称で呼ばれているものなんですけれども、公益社団法人を取っておりますので、現在、内閣府の所管になろうと思うんですけれども、こちらの方が公益社団法人を取った経緯、またその目的、定款に書かれている目的等について教えていただきたいと思っております。お願いします。

○高野政府参考人 お答えを申し上げます。内閣府公益法人行政担当室長でございます。

 お尋ねの公益社団法人家庭問題情報センターでございますけれども、平成二十三年六月一日に、内閣総理大臣名の移行認定の処分を受けまして新制度の公益法人に移行し、現在は内閣府が行政庁となっております。

 その際の申請書類によりますと、法人の目的でございますが、本法人は、人間関係諸科学を活用して、家庭問題の解決、児童の健全育成、高齢者等の福祉の増進並びにこれらの普及啓発に関する事業等を行い、よりよい社会の形成の推進に寄与することを目的とするということを定款上の目的として申請がなされております。

 以上でございます。

○浜地委員 済みません、親子の面会交流の援助事業というのは目的に入っておりますか。

○高野政府参考人 内閣府に対します移行認定の申請書類に基づきますと、先ほど御説明を申し上げました定款上の目的のもとで公益目的事業というのを四本立てておりまして、公益目的事業(一)の中に相談という事業がございます。

 この相談という事業の詳細についてもう少し申し上げますと、家庭問題に関する心理・教育相談事業、調停手続事業、ADR及び親子の面会交流援助事業というのが内容となっておりまして、委員お尋ねの面会交流事業につきましては、この公益目的事業(一)の中の内容となっている、このように承知をいたしております。

○浜地委員 ありがとうございます。

 この団体、公益社団法人を取るときには、親子の面会交流事業というのを目的として公益社団法人の認可を受けたということでございますが、それ以前は一般社団法人でございまして、法務省の管轄であったと思います。

 当然、公益社団法人に移行するときには、内閣府から法務省に対して、いわゆる問い合わせ、こちらの方が公益性があるかどうかということの問い合わせがあるかと思うんですが、内閣府から問い合わせ等が法務省にあったかどうか、その内容についてお聞かせください。

○深山政府参考人 今お話に出ました、内閣府から、公益法人改革の関連整備法で準用されている公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の規定に基づきまして、平成二十三年の二月十八日に意見聴取書というもので意見を法務省に正式に聞かれております。

 この聞かれた内容は、公益認定の欠格事由の非該当性について旧主務官庁として何か意見があるか、簡単に言うと、該当しないと思うんだけれども何か意見があるか、こういうこと。もう一つは、その照会日現在までに法務省において講じた監督上の措置があったかどうかというようなことが照会を受けております。

 これに対して、法務省では、二十三年の三月三日付の意見書を返しておりまして、前者の欠格事由の問題については意見なしと返しています。それから後者については、二度にわたって内部留保水準が高いことについて行政指導を行ったことはあるけれども、いわゆる監督命令を発した事実はこれまでにない、こういう返事をしております。

○浜地委員 ありがとうございました。

 何でこんな問題を扱っているのかというふうに思われるかもしれませんが、実は、私のところに、このFPICを通じて面会交流をしている元夫の方からメールが来まして、こちらのFPICの面会交流というのが非常に公平性を欠くんじゃないかというような意見がありましたので、監督官庁や公益性の認定の経緯というものを私は聞いたわけでございます。

 ですので、当然、公益法人ということですから、公益性があり、また公平にしっかりと面会交流というのは行っていかなければいけないというふうには思うんですけれども、私のもとに寄せられたものによりますと、元妻の希望によって、面会交流の仲介としてこのFPICという団体を使っております、費用は元妻が支払い、今一年ほど利用しているんですが、父親と子供が会うのに日程調整をしてもらいます、そのときに、日程の調整役のはずなんですが、候補日は大体毎回一回のみで、ほかの任意の候補日がないというようなことでございます。

 そして、実際、面会交流の直前に、この方は福岡に住んでおるんですけれども、飛行機代をかけて、また、久しぶりに子供に会えるということで、シティーホテルを予約して東京に来るわけでございます。妻と子供は東京に住んでいるということで。しかし、直前になって、この団体から、子供がインフルエンザにかかったのでキャンセルしてくださいということが大体二回ほどあったということでございます。

 その中で、そうですか、私も費用をかけて来ているので、診断書を出してくれませんか、そうしますと私も納得できますということなんですが、実は、この団体というのは家庭裁判所の調査官が主にメンバーにいるところでございまして、そういった必要はないと。その方の言葉をそのまま引用すれば、うちをでくの坊扱いするのかといって理事に却下をされたということでございまして、面会交流の中立性や公平性について非常に問題があるんじゃないかというふうにこの方はおっしゃるわけでございます。

 この話を聞いた後に、あなただけじゃないのというふうに私が言いましたら、実は、非常にやはり、父親中心に、この面会交流の公平性について疑義を持つ団体も今あるようでございまして、きょう私が法務委員会で質問をするというふうにツイッターでつぶやきましたら、たくさんのフォロワーがあらわれまして、子供に会いたいというような嘆願のメールも私のところにいただいております。

 そうなりますと、やはりしっかりと公益社団法人の業務執行について監督、監視というものも必要かと思いますが、現在の監督、監視権限というのは内閣府にあるということでよろしゅうございますでしょうか。

○高野政府参考人 新制度における公益法人の監督、監視についてお尋ねがございました。

 まず、監視の方でございますけれども、新制度における公益法人の日常の業務執行につきましては、一般法人法の規定に基づくということになります。一般法人法の規定に基づきますと、まずは、各法人の理事会あるいは監事がそれぞれ、理事の職務執行の監督または監査を行うということになります。

 その上で、行政庁である内閣府が行います公益法人に対する監督といたしましては、公益認定法に規定がございます。具体的に申しますと、全ての公益法人から、各事業年度の終了後に事業報告などの提出を受けまして、その内容をチェックする。また、公益法人の事業の適正な運営を確保するため、報告聴取や立入検査を行い、仮に、法律に定める公益認定基準に適合しないと認められるといったような場合には、法人に対し勧告等の措置を講ずるということもあり得る、このように定められております。

 いずれにしましても、公益法人は、税制優遇措置を受けて公益目的事業を実施する、そういう法人でございますので、国民からの信頼を得つつ、自主的、自立的に法人運営を行っていただくことが極めて重要だ、このように内閣府としては考えております。

 公益法人の事業について問題が指摘された場合には、先ほど申し上げましたような法律の規定に基づきまして、必要に応じて、まずは事実関係の把握に努めた上で、法人による自主的、自立的な適正な事業の実施、法人運営の確保というものに努めていくよう行政庁としてもやっていきたい、このように思っております。

○浜地委員 ありがとうございます。

 今の私のメールは、一方当事者の本人の主観も入ったメールでございますので、この事実を調査してほしいとか、そういったことは申し上げません。こういった声がまた広がってくれば、きちっと監視、監督をしていただきたいということでございます。

 きょうお配りしておりますけれども、こちらのFPICという団体は当然入会金があるんですが、一回の付き添いの援助、または受け渡し、子供を待ち合わせ場所まで連れていって受け渡すことや、また三番目の連絡調整、日程の調整等について、実は費用がかかっております。入会金以外で、付き添いに行きますと、一回のケースで一万五千円から二万五千円。当然、遠方までの交通費はプラスアルファ。受け渡しについても、一回一万円から一万五千円。連絡調整は、一ケースで三千円ということで、これは実は有料のシステムでございます。

 入会金のほかにこの有料のシステムをとるということなんですが、そうなりますと、これもこの元父親諸氏から寄せられる情報によりますと、これは有料でやっていいんですか、いわゆる弁護士法七十二条の問題にかかわってくるんじゃないかというふうな問い合わせが多うございます。私としては、これは法律行為というよりも事実行為なのかなというふうに感じてはおりますけれども、そういった疑義がございますので、そもそもこの弁護士法七十二条は何を禁止しているかというのを改めてお聞きしたいと思います。

○小川政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございました弁護士法第七十二条は、弁護士または弁護士法人以外の者が、報酬を得る目的で、他人の法律事件に関する法律事務の取り扱いを業とすることを禁止するものでございます。

○浜地委員 そうですね。法律事務ですから、面会というのは法律行為でなくて事実行為だというふうに捉えれば、そういった七十二条の問題にはならないのではないかと私も個人的に思っております。これは、この公益法人の名誉のためにもしっかりと今質問をさせていただきましたけれども、いずれにせよ、公益法人である、かつ、家庭裁判所の調査官の出身者が多いということでございますので、やはり公平性というのは民間の団体以上に厳しく見られる団体ではないかなというふうに思っております。

 しかし、元夫の方からは、家庭裁判所がこの団体を積極的にあっせんしているんじゃないかという声も聞こえます。これは三者契約で、元夫そして元妻が署名をして申し込みをしないと当然この援助事業というのは始まらないんですが、その中で、やはり家庭裁判所の方が、ここは元家庭裁判所の調査官がたくさんいらっしゃって詳しいので、ここがいいですよということを言っているんじゃないかというような声もちょっと聞こえてくるものですから、家庭裁判所として、そういった運用をなされているのか、中立性の担保というものをどう図っているのかをお聞きしたいと思います。

○岡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 円滑な面会交流の実施を支援するための中立的な第三者機関として、委員御指摘のFPICなどがございますところ、一般的な話でございますが、家庭裁判所における調停や審判の手続において、当事者の方から、こういった面会交流の実施を支援してもらう機関がないか、そういう情報を求められた際に、そのような第三者機関の一つとしてFPICについて情報提供することはございます。

 ただ、委員が御心配されているとおり、裁判所が民間団体である第三者機関について情報提供する際には、中立性、公平性を害さないように十分注意する必要があるところでございまして、実際の運用に当たっても、その点は意識して運用しているものと承知しておりますけれども、今後ともなお、当事者にそういう疑義が生じないように適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。

○浜地委員 おっしゃるとおりだと思います。

 私も、一番冒頭で、面会交流を仲介する機関というのは非常に大事だという認識でございます。そういった機関がよくないということじゃなくて、こういった機関は大事だからこそ、こういった公益性のあるところはより中立に、また裁判所の方としてのあっせん等もやはり中立性を持ってやっていただくことが、ひいては親と子の面会交流の促進につながると思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。

 次に、こういったこともよくあるんですね。養育費は払っているんだけれども面会はさせてくれない、面会させないんだったら養育費は払わなくていいんじゃないかというような方もいらっしゃいます。これは、気持ちはわからないでもないんですが、そもそも、養育費と面会交流はトレードオフというか、面会させなきゃ養育費を払わなくていい問題なのか、その点についても質問したいと思います。

○深山政府参考人 今お話の出ました子の養育費の分担と子の面会交流は、いずれも未成年の子がいる父母が離婚する場合に取り決められるべき事項でございますけれども、相互に直接の関連はございません。それぞれ子の利益を最も優先してその内容が定められるべきものと考えております。

 したがいまして、養育費の支払いと面会交流との関係につきましては、例えば、養育費を払わなければ子との面会交流が認められないとか、あるいは子との面会交流が実現しない場合には養育費の支払い義務は免れる、こういった関係に立つものではございません。

○浜地委員 確認をさせていただきました。

 そうなると、面会交流させてくれなければ養育費を払わないという関係にない以上は、当然養育費等は強制執行の対象になって、払わなければ執行されるということなんですが、そうなりますと、逆に、面会交流、子供に強制的に会わせろということは法律上できるんでしょうか。

○深山政府参考人 家庭裁判所の家事調停におきまして面会交流の合意をする、あるいは家事審判において面会交流を命ずる旨の審判が確定した、こういうことがあったにもかかわらず、一方当事者が任意にその履行をしない場合に強制執行を行い得るかにつきましては、下級審の裁判例が分かれていて争いがあったところでございますが、議員も御案内のとおりですけれども、昨年三月二十八日の三件の最高裁判所の決定によりまして、一定の要件のもとで間接強制の決定をすることができるという判断が示されまして、その要件が明確になったところでございます。

○浜地委員 ありがとうございます。

 間接強制ということですが、子供を無理やり連れてきて会わせるというのは、当然子の福祉のためにも人身的にも問題がございますので、間接強制ということは、会わせなければその分お金を取るという制度で面会を促すということであります。その要件が明確になったということでございます。

 もう一方、養育費を今度は減額する手当てもあるんですね。私が申し上げたいのは、例えば、幼少のころ別れても、元妻の方が新しい男性ができる。その方との関係も大事であって、また、自分の小さい子供を新しい旦那さんの養子としてしっかり、本当に実の親子のように育てていきたい。その中にあって、逆に、父親の方がいつまでも会わせろ会わせろというのも、また一つ、子の福祉にとっては問題があるのかなと。

 また、養育費についても、実際、新しい家庭ができて十分資力があるんですけれども、妻の制裁的な考えでいつまでたっても養育費の強制執行をしていくということになりますと、やはり感情的なもつれにも通じますし、本当の意味での子の福祉というものには結びつかないのではないかと思っております。

 結果的に、やはりこれだけ離婚が多くなってしまっている現状において、民法ではさまざま、子供に会わせる権利があったりとか、それを間接強制できたりとか、また養育費については、算定基準があって、しっかりと計算をしてやるというふうにシステマチックになってはおるんですが、私はやはり、今後の日本の社会として、婚姻を続けていくことは大事なんですが、どうしても離婚がある、その中で子供がそうやって残されるという中で、今後、こういった問題についてもじっくりと法務省としても考えていくべきであろうと思っております。

 今の現状をもって、大臣含めまして政府の方で、親子の関係、特に離婚後の親子の関係についてどのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。

○谷垣国務大臣 離婚後の親子の関係は、その当事者の具体的な関係でもさまざまな問題があるんだろうと思うんですね。一般論として申し上げるのはなかなか難しいですが、今御議論の面会交流あるいは養育費等々のことを考えれば、一般論として言えば、子の最善の利益がどこにあるかということで判断をしていくということだろうと思います。

 それで、平成二十三年でしたか、民法改正のときにそのような規定も取り入れられまして、法務省としては、離婚の際のチェック欄に養育費や面会交流の協議はしたかというのを挙げておりますが、今後とも、親子関係もさまざまであろうと思いますし、委員がおっしゃったように、残念ながらと言っていいかどうかわかりませんが、離婚される方もそれはあるわけでございますから、子の最善の利益は何なのかという議論は法務省としても深めていかなければいけないと思っております。

○浜地委員 ありがとうございました。

10年前