kネット・メールニュースNo.182「不当判決・子への住民サービス拒否OK・白馬村」

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□■  kネット・メールニュース  No.182
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「家庭裁判所に法の支配を。日弁連に人権の確立を。」

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 このメールニュースは、主に共同親権運動、親子引き離し問題
 についての情報を発信するものです。 2014年4月1日
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■今号のトピックス
1 不当判決「子への住民サービス拒否OK」白馬村
2 堀尾の共同親権学17「父親の役割の重要性」
3 ハーグ条約今日発効・関連報道

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┣☆┫1 不当判決!「子への住民サービス拒否OK」白馬村
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3月31日、
長野地裁松本支部の長谷川武久裁判官は、
住民登録をさせて住民サービスを受けさせるなんていや、
との親権者・母親からの要請を受けて、
住民登録や子ども手当の不支給、学校への見学扱い
など白馬村が行った数々の子どもへのいじめを
「OK」とする判断をしました。

親権がない父親のもとに身を寄せたために
住民サービスが受けられないなんておかしい、
と白馬村在住の父親堤則昭さんとそのお子さんは
村を訴えましたが、認められませんでした。

村は手続きをとるための準備をしていたし、
親権者が嫌がっているんだから、しょうがないでしょ、
行政悪いことするわけないじゃーん、
という正直、法律論にもならない稚拙な判断です。

ところで日本では
親による子の連れ去りは不法とは裁判所が認めないので、
子どもが父親のもとから誘拐されて、
親権をなくせば、行政から親以下の扱いを
受けることがままあります。

今回の判断は、子どもへの不当な扱いを
容認することによって、
親権のない親に行政が
恣意的に罰を加えることを許したものです。
親の法的な身分の責めを子どもに負わせる
という点で、子どもの権利を侵害するものです。
(非婚の父親にとってはかなり恐ろしい事態です)

堤さんもこの点を訴えました。

結局、連れ去り自体の不法性を裁判所が
認めないので、民法上の居所指定権を挙げて、
「親権者の意向は行政手続きよりも優先する」
という判断をしなければ、裁判所のこれまでの
慣行自体を否定することにもなります。
長谷川裁判官にはそんな観点そのものがなかったでしょう。

連れ去り被害の子が自力救済で
元の家に帰ってきても、
行政は保護しなくてもいいよ、と言っています。

この論法でいくと、たとえば、
親権者が虐待しているときに
「私には懲戒権があるので、行政の一時保護なんて認めない」
と言えば、行政は法で定められた虐待防止のための措置を
とることはできません。

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┣☆┫2 堀尾の共同親権学17「父親の役割の重要性」
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4月から、日本でもハーグ条約が発効します。
4月からは、連れ去られた子どもは、
裁判によって元の国へ戻されるのです(遡及は、しません)。
 子どもが健全に発達する上で、父親も母親も大きな役割を果たします。
子どもは両方の親と充分な関わりを持って育てられる必要があります。
 欧米では、父親が子どもの発達に重要な役割を果たしていることは、
政府機関によく知られています。
しかし、日本では、あまり知られていません。

父親の重要な役割について、子どもを連れ去った母親や、
家庭裁判所に知らせる必要があります。
 例えば、アメリカ厚生省は、
次のような記事をホームページに載せて、一般国民に広報しています。

 「父親は、子どもの発達にインパクトを与える」

・多くの研究によって明らかであるのは、
父親が、子どもに関わり、子どもを養い、
子どもと遊ぶのであれば、その子どもは、
より高いIQを持ち、言語的能力や認識能力により優れることである。

・父親が小さい子どもとよく遊ぶのであれば、
その子どもは、より忍耐強く、ストレスや欲求不満をよりうまく対処し、
学校で学ぶことがより上手である。

・多くの研究が明らかにしているのは、
積極的で育てる形の父子関係があれば、
子どもの思春期に、より良い言語能力、知的能力、
学業成績がもたらされることである。

・父親とのやり取りを通じて、
子どもは自分の感情と行動をコントロールする仕方を学ぶ。

・母親は子どもの身の回りの世話をするが、父親は子どもの発達を促す。

・多くの研究によれば、父親と暮らす子どもは、
身体的にも精神的にもより健康であり、学業成績がより良く、
薬物を避け、暴力や非行を避ける。

 「父親が子どもと過ごす時間が重要である」

 父親が子どもと過ごす時間が重要である理由は、少なくとも3つ有る。

第一に、父親は、こどもと一緒に時間を過ごすことによって、
子どもを知ることができる。
多くの時間を一緒に過ごすことによって、
子どもの徳、希望、恐れ、熱望、理想をよく知ることができる。

第二に、子どもと多くの時間を過ごす父親は、
子どもの扱いが適切である。
一緒に多くの時間を過ごすことにより、
父親は、子どもが愛情・注視・方向づけ・しつけのいずれを
必要としているかを、より適切に理解できる。

第三に、子どもは、父親が自分のために使ってくれた時間の長さにより、
自分への愛情の深さを判断する。
 父親は、子どもの知的発達を促すことにも
時間を使わなければならない。

研究によれば、子どもに本を読んであげたり、
学校の先生に会ったりするなど、
父親が子どもの学業に関与することは、子どもの学業の成功に、
重要な役割を果たしている。

 父親は、自立して行動する機会を子どもに少しずつ与え、
その自立をうまく使うようにさせることによって、
子どもが大人の世界へ入って、そこで挑戦する時に備えて、
子どもに準備をさせる。(堀尾英範)

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┣☆┫3 ハーグ条約今日発効・関連報道
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ハーグ条約の遡及措置がとられなかったため、
駆け込みでの連れ去りが起きているようです。
予想通りですが、そうさせた日本政府の罪は重いですね。

ところで
この事実自体が、
海外からの子の連れ去りが
必ずしも「子どものためではなかった」
ということを証明しています。

■産経2014.3.31
ハーグ条約4月1日発効で“駆け込み組”も 米国で面会申請の動き続々

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140331/trl14033107460000-n2.htm

 結婚が破綻した夫婦の一方によって、
国外に不法に連れ去られた子供を保護するため、
元の居住国への返還などの手続きを定めた
「ハーグ条約」が4月1日、日本で発効・運用開始される。
米国内ではこれに合わせ、
子供に会えない親らが面会実現の援助を求める申請書を
米国務省に提出する動きも出ている。

■100件近く予測

 日本に子供を連れ去られた親らが集まる米国のNPO
「BACHOME」のホームページ(HP)には29日現在、
子供との面会を望む35人近くの親らが31日午前、
米国務省を訪れ、面会実現のための申請書類を提出する、
と掲載されている。

 日本の外務省や、子供を元の居住国に返す判断を出す裁判所、
連れ去られた親らの代理人を務める弁護士を紹介する
日本弁護士連合会などの関係者らからは
「4月には100件近くの面会援助申請がくるかも」との予想も聞かれる。

■駆け込み組

 子供の返還など条約に基づく解決手続きが利用できるのは、
4月1日以降に起こった事案。
ある法曹関係者は「昨年末から今月にかけ、
欧州から、一方の親を残したまま子供を日本に連れ帰ったケースが複数あった。
4月の条約施行の前に、連れ帰りを決めたと話していた」と、
運用日程の間(かん)隙(げき)を突き、
子供を日本に連れ帰る“駆け込み組”の存在を証言。
「国際結婚したカップルは、
部外者が思う以上に日本が条約締約国になったことを知っている」と話す。
(以下略)

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ハーグ条約いかがなものか、
と散々この条約の問題点を指摘してきた毎日新聞は
発効が決まった途端に、「子のため穏便な解決も」とか
言い始めました。

「実は、条約には裁判外の調停での話し合い解決が望ましいと書かれている。」

と述べて

「例えば、子供を連れ去った母親が、配偶者と子供の面会を認めれば、
配偶者が返還請求を放棄するといった解決が現実には少なくない。」

というくらいだったら、きちんとその点について
批准の議論のときに指摘して、条約の運用面での
体制充実のための議論を促すべきでした。

ま、父親の子育てなんて無理、
子育ては母親の特権だ、とか本音で思ってると
こんなご都合主義的な報道がヘーキでできます。

■毎日新聞社説2014年03月31日
ハーグ条約発効 子のため穏便な解決も

http://mainichi.jp/opinion/news/20140331k0000m070122000c.html

(略)
 欧米の主だった国が条約に加盟し、既に91カ国に上る。
日本の早期加盟を求める声は強かった。
子供の利益を最優先に、国際社会の枠組みで紛争解決を図る第一歩としたい。

 条約と関連法で決まった手続きはこうだ。
無断で外国から子供を日本に連れ帰った場合、
配偶者の申し立てがあれば、外務省が子供の所在調査をし、
東京、大阪家裁のいずれかで返還の是非を決める。
逆に、日本から無断で外国に子供を連れ去られた場合、
外務省が相手国と交渉し、相手国で返還の是非を判断する。

 子供は元の国に戻すのが原則だが、
例えば連れ帰った理由に配偶者の暴力などがあれば、
返還拒否ができる規定がある。
ドメスティックバイオレンス(DV)については、
各国で既に司法判断の実績が積み重ねられている。
そうした事案も参考にしながら、子供にとってよりよい解決の道を探るべきだ。

 子供の帰属をめぐる争いは、
「返す」か「返さない」かの二者択一だ。
「返す」となれば、母親と幼い子供を引き離すといった作業も伴う。
親が子供を抱えて抵抗した場合、子供の精神的ダメージを考慮して、
裁判所の執行官は無理強いしないといった対応も細かく規定されている。

 できれば、穏便な解決が望ましい。
実は、条約には裁判外の調停での話し合い解決が望ましいと書かれている。
例えば、子供を連れ去った母親が、配偶者と子供の面会を認めれば、
配偶者が返還請求を放棄するといった解決が現実には少なくない。

 国内でも、東京や大阪の弁護士会が、
紛争解決センターなど既にある裁判外の調停組織を活用して
問題解決を図る準備を進めている。
条約の運用実績の長い英国やドイツなど欧州では、
児童心理士や精神科医といった専門家が、
こうした話し合い解決の場に加わっている。

 だが、日本では法律家以外の専門家が加わる体制はまだ不十分だ。
例えば子供の返還命令が出た場合、当事者を落ち着かせたり、
外国から子供を連れ戻した後に、
日本での生活に早く慣れさせたりといった場合も、
こうした専門家は不可欠だ。しっかり体制を整えたい。

■琉球新報3月30日
沖縄に紛争仲裁機関 ハーグ条約、国際婚の子めぐり
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140330-00000000-ryu-oki

■沖縄タイムス3月31日
ハーグ条約親権仲裁へ着々 沖縄弁護士会
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140331-00000004-okinawat-oki

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裁判所が行政を負けさせる、なんて
やっぱ厳しいよね、と反省とともに思った。
も少し、支援の輪を広げていかなきゃなあと、思った。

結局、ハーグ条約についての調停機関を弁護士会がやることになった。
事例で返還事例について勉強してもらうのはいいとして、
正直、「子育てに男が口を出すな」「子育ては女の仕事だろ」
とそれがジョーシキというシンポや声明をやったり出したり
節操なくやりまくってきた業界団体が、
いまさら「中立」でもないでしょうよ、と思う。(宗像)

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