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ハーグ条約:沖縄にも仲裁機関 外務省、5カ所委託
毎日新聞 2014年03月29日 15時00分(最終更新 03月29日 15時22分)
国際結婚が破綻した夫婦の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」をめぐり、外務省が当事者に和解などを勧める「裁判外紛争解決手続き」(ADR)事業を、沖縄弁護士会など全国五つの機関に委託したことが29日分かった。米国人との国際結婚が多い沖縄県で対策を求める声が強まっていた。日本ではハーグ条約は4月1日に発効する。
他の4機関は▽東京弁護士会▽第一東京弁護士会▽第二東京弁護士会▽公益社団法人「総合紛争解決センター」(大阪市)。外務省が昨年末からADR機関を公募したのに対して、5機関が応募していた。5機関は4月1日に業務を始める。国はADRの申し立て1件当たり、通訳・翻訳などの費用について上限80万円を負担する。
ハーグ条約の発効後は連れ去られた子供の返還を家裁に申し立てることができ、家裁が加盟国に返還命令を出すことができる。だが、審理するのは東京、大阪の2家裁のみで、国際結婚が多い沖縄からは「県民の負担が大きい」と沖縄での裁判を求める声が強まっていた。こうした経緯もあり、訴訟によらない解決を図るADR事業の委託先に沖縄弁護士会が選ばれたとみられる。
ADRは、あっせん人が当事者間に入り話し合いを進め、子供の任意の返還、離婚、親権(監護権)、養育費などさまざまな問題の解決を図る。ハーグ条約では、政府に訴訟によらない「(子供の)任意の返還」と「友好的な解決」の促進を求めている。
事業を委託するADR組織の選定は、家庭問題の解決の実績やテレビ電話などの設備、外国語が話せるあっせん人の存在などを基準に行われた。
外務省によると、ハーグ条約を巡って2012年5月から今年3月中旬までに国内から91件、国外から22件の電話相談があった。「子供を連れて帰国したが、ハーグ条約が発効すると返還されてしまうのか」「子供を外国に連れ去られたがどうすればいいのか」など不安の声が多かったという。【岡奈津希】