弁護士の机の上:面会交流実現の条件 何が面会交流を妨げるか 棚橋先生「離婚で壊れる子どもたち」に学ぶ4 [家事]

http://doihouritu.blog.so-net.ne.jp/2014-02-10

面会交流実現の条件 何が面会交流を妨げるか 棚橋先生「離婚で壊れる子どもたち」に学ぶ4 [家事]

これまで述べたことを総合すると
面会交流は、自死予防の観点からも進められるべきだということができると思います。
このことは、また詳しくお話する機会があると思います。

問題は面会交流の実現方法です。
同居親であることが多い母親は、別居親である父親を
生理的に拒否することが多いです。
離婚原因にもよるのですが、
一言で言って、会いたくないのです。
しかも病的に会いたくないのです。

私は、同居親に対して、受任時から面会交流の必要性を
少しずつお話しているので、
頭では面会交流の大切さはわかっているのです。

しかし、
自分が父親に会いたくないという気持ちが先に立ってしまいます。
実際に、うっかり会って、話しかけられでもしたら
パニック症状を起こします。
座っていることもできなくなり、動悸が激しくなり
顔面は真っ青、呼吸も上手にできなくなるという感じです。

もちろん、子どもたちも父親に会わせたくありません。
あたかも、父親の存在を否定し尽くしたいという感じです。
意地悪で会わせないというわけではなくて、
このように、会わせることが不可能な心理状態になっていることがあります。
暴力がないケースほどこんな感じです。
私は、過剰反応の場合も多いと思うのですが、反応が起きていることは厳然たる事実です。
このメカニズムは調査研究されなければならないと思います。

だから、面会交流が実現するための第1の条件は、
同居親、特に母親の安心感の確保です。
別居親に子どもを面会させても、
これまで通りの生活が続くことを理解してもらう必要があります。

一つは疑心暗鬼を解くことでしょう。必要があれば専門家のカウンセリングも必要になるでしょう。
それから、面会交流の条件設定です。
別居親が同居親の悪口を子どもに言わないとか、
場合によっては、叩かないとか説教しないとかいろいろあるかもしれません。
また、最初は、立会付き、場所限定の面会交流という条件になるかもしれません。

この制限条項を打合せすることは、なかなか良いです。
これを導くためには、どうして、あるいはどういうところに
同居親は別居親に対して不安や不信を抱いているのか、
仲介者は話し合いをすることができます。
その中で、考え方に問題があるなどの同居親の問題点について
アドバイスすることもできます。
同居親は、日常の息苦しさから解放されることもあります。

この制限条項は別居親にとっても良いことです。
あまり、制限になることではなくて当たり前のことが多いため負担にはなりません。
また、自分がどうしてこのようなことになっているのかを
理解するきっかけになるからです。
離婚という事象に立ち会うと、どちらかが悪いという問題ではない
むしろ、双方がうまくコミュニケーションを取れない点に問題があるからです。
自分の非を探し続けている人たちも多くいます。
この誤解を解くことで、だいぶ楽になることができます。
これらは、本来、離婚の結論が出るまでに解決されるべきことです。
それが解決されていないことが面会交流が実現しない理由にもなっています。

別居親は、このようなディスカッションを経て、成長していきます。
面会交流が実現すると、さらに子どもによって、成長させてもらえます。
その場面に立ち会うことは、命の誕生を目撃したような
神々しい感動を得ることができます。実際そうでした。

このように、面会交流を拒否している母親が悪いというだけでは、
今の法制度の中では、現実の面会交流は実現しません。
母親の自分でも持て余している不安感を解消してあげるということが、
今の法制度の中で、面会交流を実現する王道です。

問題は、どうやって、それを現実化するのかということです。
アメリカのような制度はありません。(第7章特に287頁から)
ほそぼそと変わり者の弁護士がやるボランティアでは限界があります。

家事調整センターをつくるしかありません。
本当は、公的な面会支援制度をつくるべきです
http://heartland.geocities.jp/doi709/menkaikouryuu.html
しかし、それが法律を作るのに準じて難しいなら
(そういう公約を掲げる政党は私は知りません)
作っちゃうしかないのです。

弁護士、心理士、保育士、専門家が集まることが必要になるでしょう。
お金がかかりそうです。
大企業がお金を出してくれないかなあ。
ヒューマニズムを前面に出せて、抜群の宣伝効果になるのだけどなあ。

11年前