フランスぷらぷら:離婚率の高い日仏カップル。そしてハーグ条約加盟

http://www.franceplusplus.com/2013/02/convention-de-la-haye/

離婚率の高い日仏カップル。そしてハーグ条約加盟

ハーグ条約

日仏カップルの離婚率は高いと言われます。

今回調べてみたけど、ちゃんとしたデーターは見つかりませんでしたが、参考になりそうなものがこれ。

在仏日本大使館にて受理された婚姻・離婚件数 (2008年)

婚姻届受理数 229件
離婚届け受理数 36件

これを見ると11%ぐらい?

しかし、

日仏カップルの中には、結婚していないPACSもいますし、
フランスに国籍を変えた日本人の方もいるので、

この数字だけではなんとも言えないかも。

まあ、とにかく

体感で30%

はいるんじゃないかっていうほど、周りでも離婚している人がたくさんいるのは確かです。

そこで、年々問題になってきてるのが、

離婚した親による「子供の連れ去り

フランス人同士の結婚でも存在する問題ですが、
日仏カップルのように、国籍が違うと、問題がもっと複雑化します。

「母親が子供を連れて行くなんてあたりまえのことでしょ?」

日本の実家に子供を連れて帰ったら

知らないうちに、犯罪者になってたとか、、最近よくある話

親権制度が違う

実は、フランスと日本では、親権制度が違います。

日本は、  単独親権
フランスは 共同親権

日本では、離婚後に片方の親にのみ教育権が渡ります。それも、大抵は母親の方にいくことが多く、離婚後は元妻は子供を連れて実家に。。なんていう姿は、日本ではどちらかというと普通な感覚。

でも、フランスは、例え離婚しても、子供に関しては共同で教育権をもつため、両親は互いに他方の親と子供との関係を尊重しなければいけないことになっています。

どういうことかと言うと、

離婚しても子供に会う権利や育てる権利が、両親共ににあると言うこと。

教育など子供に関することは、離婚しても変わることなく、結婚している時と同様に話し合って決めていくと言うことです。

日本だと、離婚したら「相手の顔なんてみたくない」と言えば、一生会うこと無く過ごすこともできますが、フランスでは子供が居る場合は、相手が子供に会いたいと言う限り、子供を相手に会わせなくてはいけないので、所在地を知らせるなど常に連絡できる状態にしておかなくてはいけません。

フランスでは、子供達が一定期間をどちらかの親の家で過ごすことが多くて、よく子供が行き来している話を聞きます。

こちらから見れば
「そんな安定した環境じゃないのは、子供に悪影響じゃないの?」
と思いますが、フランスでは子供もすっかりそういうものだと思っているようで、ちゃんと適応していて、普通にそのことを説明してくれたりします。

お互いの家に行く日程も、

◯ 子供が毎週金曜日に、今週はパパ宅、来週はママ宅と住む家を変える。
◯ 週末だけ、パパ宅に行く。もしくはその反対。
◯ 長期のバカンスのみパパ宅に行く。もしくはその反対

など、各家庭の生活環境にあわせて、いろいろバリエーションが。

そして、一番重要なのは、これらがちゃんと守られてないと

フランスでは、刑罰の対象に。

◯未成年の子供と同居する親が、住居変更を他の親に伝えない場合 6ヵ月以下の拘禁刑又は7,500ユーロ以下の罰金の可能性

◯親が他方の親に無断で子供を連れ去る行為
1年以下の拘禁刑又は1万5,000ユーロ以下の罰金の可能性

ということで、離婚をしても、相手側の同意がない限り、子供を連れて日本に帰り、相手の父親と合わない状況を作ることは、フランスでは犯罪なのです。
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国際結婚、どうしても外国人の立場が弱くなる現実

国際結婚の場合、やはりどうしても外国人側が不利になってきます。

・まず言葉がうまく通じません。
離婚のために弁護士を雇うのも、裁判に参加するのにも、この言葉の問題で大きな負担になりなかなか事がうまく進まないことも。

・顔がアジア人だかと言って、はじめからバカにして話を聞いてくれない
例え、家庭内暴力DVがあっても、警察を呼んでも殴った夫の話ばかりを鵜呑みのにして、こちらの言い分はまったく聞いてくれず、不利になることも

・大抵の場合、夫の方が経済的に有利なので、主な養育権は夫が握ることに。

・自分だけ日本に帰って子供を定期的に会うことにしても、渡仏費の膨大さに、どこまで続けていけることができるか。

・そうすると、結局、離婚後も日本に帰ることもままならず、とどまることを強制されることに。

でも、言葉も不自由な外国。おまけに、外国人を雇ってくれるところも少ない。
だいたい、今まで専業主婦だったのに、一人でなにもかもやっての生活ができないなど。

多くの場合、離婚してもそのままフランスに残ることは難しいと感じます。

ここにいたら、誰も助けてくれなくて、なにもできない。
でも、日本帰ったら、言葉通じるし、仕事も見つけるのはこっちより簡単だし、もっと自分の力が発揮できる。実家の両親だって手助けしてくれる。ここにいるよりも、子供だって立派に育てていける。

そう、思いつめて、相手の承諾を得ないまま、
子供を無断で連れて日本に帰ってしまう人が続出。。。

その数なんと、日本政府に提訴されているだけで

33人(平成24年8月時点)

たった、それだけ?

いやいやいや、他のアジア諸国に比べても、ダントツに多い数なんです。

ハーグ条約 Convention de La Haye

「でも、別にいいじゃん。だって、男性が子供育てるの大変でしょ?
食事だってつくれないし、仕事だってあるし、子供育てることなんてできないって」

まったくその通りだと思いますがね(笑)

いやいやいやいや( ̄ロ ̄= ̄ロ ̄)例えそう思ってても、そう簡単な話しじゃなくて、、、、

先程もいいました通り、フランスは共同親権の国です。
だいたい、共同親権になったのも、男親も子供に対する思いがものすこく強いからです。

男親の気持ちを描いた映画「クレーマークレーマー」は教育権をめぐって争った、アメリカの単独親権時代の話。

その後、アメリカも共同親権になりました。

ということで、アメリカからも子供を連れて日本に帰ってくる日本人が多発しています。
アメリカでも子供の連れ去りは刑罰の対象のため、最近、逮捕されるケースをよく耳にします。

国際離婚の日本人女性、日本に長女を連れ帰りアメリカで逮捕される

FBIの指名手配リストに載り、インターポールの指名手配にまで載ることも。
FBI最重要指名手配リストhttp://www.fbi.gov/wanted

では、なぜ、そのことを知っていながらも、日本に子供を連れ帰る人が多いのでしょう?

それは、

日本がハーグ条約に加盟していないから。

ハーグ条約と言うのは
「欧米諸国が加盟してる、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」

海外に子供を連れて行かれても、子供を戻すように要求を申請できるようになる条約。

でも、ハーグ条約に加盟していない日本は、日本に居る限り取り締まる法がなく、普通に暮らすことができ、住所を相手に知られないように生きることも可能です。

そのため、日本以外に住むもう一方の親は、子供を会う権利を奪われることになります。
気持ち的には、誘拐や拉致されたのと同様と感じることでしょう。

ハーグ条約問題~日本人女性による子供誘拐事件追う~米

そしてついに日米首脳会談でハーグ条約加盟を表明しました

と言うことで、各国から強い圧力をかけられ続け、

ついに、2013年2月22日
日米首脳会談で安倍首相がハーグ条約加盟を表明しました。
http://www.afpbb.com/article/politics/2930381/10333217

でも、ただ加入するのではもちろんだめで、単独親権なども含む、
条約で定められた義務を国内で実施するための法律(国内担保法)の整備が必要になります。

そうしないと、条約が定められても、日本国内での裁判を拒否され、日本国外で離婚裁判が行われ、完全不利な状態になることに。

ハーグ条約加入が推進される元になったとも言える事件

【ワシントン=共同】離婚した日本人の妻が米国から日本に連れ帰った子供2人を取り戻そうとしている米テネシー州のクリストファー・サボイさん(40)が元妻に損害賠償などを求めた民事訴訟で、同州ウィリアムソン郡の裁判所は9日、子供たちとサボイさんとの定期的な面会を定めた離婚時の合意に反したなどとして、元妻に610万ドル(約4億8900万円)の支払いを命じた。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG10028_Q1A510C1CR0000/

記事によっては為替の違いか、5,2億って書いてあるのもあるけど、とにかく5億の支払い命令されたらどうしますか?

それも、この事件、いろいろ曰くつきの事件で、

まず、日本の奥さんを置いてアメリカに帰り、アメリカで恋人と住んでいたサボイさん。
でも、一旦日本に帰り、隙を見て子供を強制拉致。
そのままアメリカ大使館に飛び込もうとしたところで、逮捕。
もう2度と子供達に近寄らないとすることで、アメリカに帰ることに。
でも、その後、日本に住んでいた母親と子供達をアメリカに一時的に呼び寄せる。
そして入国した時点で、突然アメリカで離婚調停を開始。
そうやって日本の法律ではなく、アメリカの法律で裁かれるようにしたとかなんとか、、、

ほんとのことはわかりませんが、恐い話です。

こういうこともあって、ハーグ条約に加盟して、法整備し、日本でも公正に審議がされるようになる必要があるみたいです。

もちろん、ハーグ条約に加盟したら、反対に日本から子供を連れ去られた場合も、子供の返還要求を申請できるようになります。

確かにね。。
連れてかれる子供が可哀想に思えるのも確かだけど。。。

日本に連れ去られた娘戻る、「クリスマスの奇跡」と米国の父親

この数か月のストレスで、カリナちゃんは体重が減り、米国への移住に不安を感じているとガルシアさんは話した。それでも、父と娘は少しずつ、互いを理解し始めているという。4年間の別離でも変わらなかった部分もあった。カリナちゃんは今でも人形を全部ベッドの上に並べて眠る。それに就寝時の習慣も覚えていた。

「彼女は、毛布をかけずに待っていた。私にかけてもらうために。娘が帰ってきたと実感したのは、その瞬間だった」と、ガルシアさんは語った。

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2847545/8229975?utm_source=yahoo&utm_medium=news&utm_campaign=txt_link_Sat_r1

でも。。ハーグ条約に加入したらもっと不利になりそう。。

でも、ハーグ加盟しても、やはり海外の裁判に対抗していくのは、
日本人には本当に大変だと思われます。

日本政府は
「政府は弁護士や通訳などをあっせんする拠点を各国に整備する方針」

なんて言ってますが、多分、どう考えても十分には配置されないでしょう。

やはり、対抗していくのには、日本人側にもそれなりの知識と理解をすることはが必要になってくるのは必須。

日本人によくありがちな、感情論や自己中心論にはまらず、
理詰めで対応していくことが本当に必要。

フランスに来るなら、それなりの準備もしておくのは当然ですが、

・現地の言葉の修得
・収入を得るなどの自立環境を持つ
・最悪の場合を想定した法律の知識を持つ
・いざという時相談できる機関の把握

は心がけておいた方がいいと思います。

今は、ラブラブだと思っていても、人生なにがあるかは解りませんからね・・・

フランスに来る際には、最低でも
下記のリンクに目を通しておいてみてはどうでしょうか?
少しでもフランスの生活を知るキッカケにはなると思いますよ。

◯外務省 France > 安全対策基礎データ
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=170

◯フランスと日本の親権制度の相違点について
http://www.fr.emb-japan.go.jp/jp/special/etc/nichifutu.html

◯外務省 ハーグ条約概要
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/hague/pdfs/gaiyo.pdf

ハーグ条約に関する記事リンク

◯ハーグ条約が首脳会談で安倍首相が加盟と発表。国際結婚、離婚時の子供の問題がこれで解決?
http://matome.naver.jp/odai/2136163266973371801
◯子の連れ去りをめぐる「ハーグ条約」と日本 外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol82/index.html
◯ハーグ条約
http://www.sk.emb-japan.go.jp/files/doku1.pdf
◯国際結婚めぐるハーグ条約加盟、賛成ですか  日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2200Y_S3A220C1000000/
◯ハーグ条約から学ぶ国際結婚の心構え
http://allabout.co.jp/gm/gc/388190/

※用語などの間違えがあれば、教えてください。随時修正します。

2013年2月23日
11年前