堀尾の保険学:CAFCASSのパンフレット

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CAFCASSのパンフレット
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2014/1/26(日) 午前 9:29

英国の政府組織CAFCASS「子どもや家庭の裁判についての助言と支援のサービス」(Children and Family Court Advisory and Support Service)が作成した「子どものための時間Time for Children」というパンフレットがあります。「子どものための時間」とは、「面会交流」のことです。CAFCASSの職員は、日本の家庭裁判所の調査官と似た仕事をしていますが、CAFCASSは裁判所からは独立しており、両親や子どもへ積極的な情報提供を行っています。このパンフレットは、以下のように述べています。

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子どもは両方の親との関係を維持する権利を持っています。夫婦が別れる時、子どもにとって非常に重要であるのは、両方の親との関係や、他のメンバーや親戚との関係を維持して発展させることです。

こうした関係を維持するために最も重要であるのは、子どもを安全にし、家庭の争いに煩わされない状況で、良い育児やケアを与え続けることです。

子どもが必要とするもの、子どもの考え、子どもの感情を最もよく知るのは、両方の親です。

夫婦が別れる時に、両方の親は、子どもと会える時間の長さだけに気をとられて、子どもと過ごす時間がなぜ重要であるかを見失うことがあります。

夫婦が分かれた後にも、子どもと両方の親との関係や、子どもとその他のメンバーとの関係が、維持され、子どもが愛され、世話を受けるのであれば、子どもは、より幸福で、成功に満ちた生活を送ることができると、CAFCASSは考えています。

子どもたちは、自分の考えを自由に述べることのできる状況では、ほとんどの場合、親や自分にとって重要な人を失いたくないと述べます。

親との交流や子どもにとって重要な人との交流が維持されるべき理由は、以下のようです。
・こどもが心理的、精神的に必要とすることを満たす
・子どもの福祉の状態、子どもの自信、子どもの自己評価を改善する
・子どもが、自分の民族、文化、遺伝を理解し共有することを支援する
・家族関係についてのゆがめられた認識を正しく修正する
・子どもの快適さと安全を確保する
・子どもを自由にして、こどもが重要な関係を維持して楽しめるようにする

研究者たちは、育児において、父親と母親が、同じように重要であることに、ずっと以前から、気がついています。近年、父親の重要性が、一般的にも認識されるようになり、多くの父親たちは、子どもの生活に関して、以前よりも重要な役割を果たすようになっています。

面会交流というのは、子どもの時間を、双方の親で分配することだけではありません。面会交流を「子どものための時間」であると考えて、その時間の質を重要視することは、有益です。あなたがすべきことは、子どもが必要とすることを可能な限り満たし、子どもの育児を行い、面会交流の時間が子どもにとって価値あるものにすることです。これは、非常に重要なことであり、これが無ければ、面会交流は、あなたの子どもに、ほとんど利益をもたらしません。

研究者も子どもたち自身も、「質の高い面会交流とは、暖かく、肯定的で、親として多くを教える交流であり、この大切な親子関係を維持するものである」と述べています。

6歳から11歳までの2000人の子どもに対する調査で、良い面会交流とは次のようなものであると、子どもたちは答えています。

・父親が、子どもの学校のことについて、関心を示すこと
・食事の準備をすること
・一緒にテレビを見ること
・サッカーをすること
・物語の本を子どもに読んであげること
・一緒に買い物に行くこと
・子どもがうまく行かない時に、子どもを支えること

子どもたちは、良い面会交流とは、高価な玩具やパソコンや贅沢な休日をもらうことだは述べていません。良い面会交流とは、親に面倒を見てもらうような関係を維持することであると述べています。

分かれた配偶者と、協力を行い、相手の子育ての役割を尊重することは、困難なことがありますが、うまく行く面会交流を行うには、親としてのいくらかの協力が、必要になります。そして、子どもが、もう一人の親を、親として尊敬し、愛情を持つことができるように励ます必要があります。裁判所が命令を下す場合にも、両方の親の間に、いくらかの協力と尊敬がある場合にのみ、子どものために有効に作用します。

どのように時間を割り振れば、子どもが人間関係を維持して、両方の親から最も質の高い育児を受けられるかを考えて下さい。子どもがそれぞれの親と、宿泊付きの面会を行ったり、長期休暇を一緒に過ごしたり、外出したりしてすることを考慮して下さい。

小さい子どもでは、通常は、頻回で短時間の面会交流がうまく行きます。大きい子どもは、長時間で頻度が少ない面会交流を好むかもしれません。

別居後、90%の夫婦では、裁判所が関与することなく、面会交流の時間割を決めています。このようにして決められた育児プランが、最もうまく機能するプランです。

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