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<自民党>家族のあり方、本格議論…温度差大きく曲折も
毎日新聞 1月8日(水)22時17分配信
自民党は今年、家族のあり方を巡る議論を本格化させる。不妊治療の技術(生殖補助医療)高度化や家族観多様化を背景に、党内のプロジェクトチーム(PT)や法務部会が▽第三者が関わる生殖補助医療で生まれた子▽性同一性障害の親とその子--などの立場を定める新法などを検討する。一方、「伝統的な家族観を守るべきだ」とする党内保守派は多様化する家族のあり方に懸念を示し、別の党組織で配偶者の遺産相続を保護する措置などを協議する。現行法が想定していない「新たな家族像」の定義には、紆余(うよ)曲折がありそうだ。【横田愛】
党内論議に火をつけたのは、2013年12月の最高裁による初判断だ。性同一性障害で女性から男性に性別を変えた夫とその妻が第三者の精子提供でもうけた子を、民法上の夫婦の子(嫡出子)と認めた。自民党法務部会では、従来の想定を超えた判決に異論が相次ぎ、大塚拓部会長は「今回の決定はさまざまな混乱をもたらす。この『穴』を早く埋めなければならない」と法整備を急ぐ考えを示した。
近年、性同一性障害のほか▽夫婦以外の精子や卵子、受精卵を使った人工授精▽子宮の異常などで妊娠できない妻に代わって産んでもらう「代理出産」--など、第三者が関わる形で子供が生まれる事例が世界的にも増加している。しかし、現行法には、誰がその子の父母かという明確な定めがない。
このため、自民党の「生殖補助医療に関するプロジェクトチーム(PT)」(座長・古川俊治参院議員)は、通常国会での新法制定と民法の一部改正を目指し議論を加速する。ただ、血縁関係のない「親子」を法的に認めることには、党内保守派から反発も予想され、議論の行方は見通せない。古川氏は「(国会採決で)党議拘束を外すこともあり得る」と話す。
一方、遺産相続を巡る問題も新たに浮上している。最高裁は13年9月、結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を、結婚している男女間の子の半分と定めた民法の規定を「違憲」と認定。これを受け、相続格差規定を削除する改正民法が13年12月に成立した。
自民党執行部は法改正を容認したが、党内の保守派議員には「法律婚主義を否定し、伝統的な家族制度を崩壊させる」との不満がくすぶる。このため、「家族の絆を守る特命委員会」(古川委員長)を党内に設置。13年12月19日の特命委初会合では、伝統的家族観への回帰を求める意見が相次いだ。
同党の特命委は法務省が今月設置する相続法制に関するワーキングチームと連携し、今後1年間かけて▽遺産相続の際に配偶者の居住権を保護▽配偶者の「貢献」に応じた遺産分割--などの措置を検討する。ただ、結婚しているか否かで配偶者の相続を新たに法的に区別することが、国民の多様化する家族観にそぐうのかは不透明感もある。