kネット・メールニュースNo.163「家裁の調停、本当に大丈夫?」

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□■  kネット・メールニュース  No.163
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「家庭裁判所に法の支配を。日弁連に人権の確立を。」

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 このメールニュースは、主に共同親権運動、親子引き離し問題
 についての情報を発信するものです。 2013年12月31日
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■今号のトピックス
1 東京都・文京区の事件、重体の子どもが死亡
2 DV防止の観点から
3 所在不明の乳幼児4176人、虐待の懸念も
4 家裁の調停、本当に大丈夫?

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┣☆┫1 東京都・文京区の事件、重体の子どもが死亡
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東京都文京区の事件について、
父親に火を付けられた子どもが死亡したとの
ニュースが昨日流れました。

片親排除は子どもから親を奪うこと、
子殺しは子どもから命を奪うこと、
どちらも子どもの魂を奪う行為で犯罪だ。
背景には、親が自分の欲求を実現するために、
子どもを利用して奪い奪い返すことを
止める仕組みがないことがある。

■毎日新聞 12月30日(月)11時16分配信
<小学校無理心中>重体の次男が死亡 東京

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131230-00000014-mai-soci

 東京都文京区の区立汐見小学校で、
会社員の男(49)が別居中の次男(9)を巻き添えに
火を付け無理心中を図った事件で、
警視庁駒込署は30日、重体となっていた次男が死亡したと発表した。
男は事件当日の23日に全身やけどで死亡している。

別居親の事件の解釈としては以下のようなものが挙げられます。

■堀尾の保険学「今週の共同養育」
http://blogs.yahoo.co.jp/horio_blog/MYBLOG/yblog.html

■なみたのブログ「文京区焼身自殺事件について、思うこと。」
http://ameblo.jp/namita-repo/entry-11736147287.html

■コトオヤネットさっぽろ&面接交流ネット共同ブログ「東京の事件」
http://d.hatena.ne.jp/mensetu-net/

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┣☆┫2 DV防止の観点から
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一方、DV防止策の失敗としてこの問題をとらえる
代表的な見解も、ネットに公開されています。

新潟合同法律事務所、弁護士齋藤裕
「文京区汐見小学校での無理心中事件について」

法律相談 「相続」

このような場合であればDV保護法による
保護命令発令もあり得たのではないかと思います。
保護命令により、刑罰を担保にしてDV夫の
学校等への接近を防ぐことが考えられます。
警察がそれをアドバイスしなかったとすれば
問題はあっただろうと思います。
また、トラブルがなかったということで安易にパトロールの強化を
解いたことにも疑問が残ります。

今回のケースがDV保護法申立により
防ぎ得たケースかどうかはまだ不明ですが、
DV保護法についての一層の周知等が求められると思います。

===== ===== ===== =====

過去、同様の事件が起きるたびに、
同じような意見が「専門家」の間から出るのですが、
そのことで子どもをめぐる事件は
減るどころかコンスタントに置き続けています。
問題の本質が別のところにあれば、
間違った対処をしていたということにもなります。

この弁護士のいうように、
保護命令が出れば事件が起きたあとで
保護命令違反の刑事罰を問うことは理論上できますが、
今回のケースではできません。

この弁護士のいうような暴力防止策をつきつめると、
離婚した男性はすべて刑務所に入れるか
女性はすべて居所を隠すでもしないかぎり、
暴力の防止は図れないということになります。
(男性がすべて加害者で女性がすべて被害者という想定で)

なお、子どもとの面会を加害者側が訴えていたケースは
散見されますが、すでにこのメルマガでも堀尾さんが述べたように、
両親の争いと子どもとの関係の維持、
暴力の関係は以下のように分析されています。再録します。

===== ===== ===== =====

「親権、面会交流、子の養育」

Child Custody, Access and Parental Responsibility
 これは、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の
Krukによる文章です(2008年)。

http://familieslink.co.uk/download/jan07/Policy%20paper%20on%20father

%20involvement.pdf

この研究には、カナダ政府部局から、
一部分の資金援助が行われています。

④単独親権では、両親の間の争いは、
時が経つにつれて増加するが、共同養育では、減少する。
子どもを失う恐れが増えるほど、
その後に暴力が起きる可能性が増える。

 この文章のうち、家庭内暴力に関する部分(p19-22)は、
以下のような内容です。
 『多くの研究によれば、家庭内暴力を行う頻度は、
男性も女性も同じであり、その影響もほぼ同じである
(Laroche, 2005; Pimlott-Kubiak and Cortina, 2003; Serbin et al.,2004)。

激しい家庭内暴力はまれであり、それを行うのは、
男性の3%、女性の2%ほどである(Laroche, 2005; Dutton, 2005)。
女性による暴力は、信じられているより、
はるかに多く、一般的であり、
暴力の深刻さも同等である(Stets and Straus, 1992)。
家庭内暴力の最も一般的な形態は、双方向性のものである(同書)。

 それまでは暴力は無かったが争い自体は激しかったケースでは、
親権を失って子どもを失う恐れが生じると、
暴力が行われる可能性が、ずっと高くなる。

 別居や離婚に際して、子どもとの関係を維持しようとして
苦闘する父親の自殺率は、平均より高い(Kposowa, 2000)。
非同居の父親が自殺したケースでは、
「法律を利用した虐待」が認められるケースがある。

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┣☆┫3 所在不明の乳幼児4176人、虐待の懸念も
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一方、居所不明の乳幼児が全国で4176人いることが明らかに
なりました。
記事にもあるように、少なめに見積もってでしょうが、
この中には離婚に起因するものもあるでしょう。
自治体が把握できないなら、
子どもの養育に責任を持つべき別居親が把握できるはずもありません。

DV防止策に関係するものの中に、
別れた相手との関係を拒否する(往々にして普通の感情ですが)
同居親の主観によって措置がとられるものが含まれているなら、
どの制度が問題なのか、精査する必要があります。
子どもは実子誘拐の被害者かもしれません。

■読売新聞 12月30日
所在不明の乳幼児4176人、虐待の懸念も

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/missing_person/?id=6102203

 自治体が2012年度に実施した乳幼児健診を受けず、
所在が確認できない乳幼児が37都道府県の334市区町村で
計4176人に上ることが読売新聞の調査でわかった。

 所在不明児の全国統計はなく実態が明らかになるのは初めて。
健診を受けていない子どもの虐待死事件が相次ぎ、
国は昨秋、自治体に所在確認の徹底を求めたが、
電話や手紙で済ませる自治体もあるなど、
確認が不十分な実態が浮き彫りになった。

 アンケート調査は今年11月、全国1742市区町村を対象に実施。
全自治体から回答を得た。
その結果、1歳未満の乳児、1歳6か月児、
3歳児の各健診を受けていない乳幼児のうち、
自治体の職員が家庭訪問するなどしても所在確認できなかったのは、
乳児で499人、1歳6か月児で1423人、
3歳児で2254人に上った。1歳半と3歳の未受診児は計約15万人で、
その約2・5%にあたる。

 都道府県別では、東京都の752人が最多で、
埼玉県(638人)、千葉県(583人)、愛知県(453人)と続いた。
人口の多い東京都の一部の区や横浜市、大阪市などが人数を集計しておらず、
実際はさらに多いと見られる。(略)

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┣☆┫4 家裁の調停、本当に大丈夫?
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こんな中、家庭裁判所の調停制度への疑問も出始めています。
裁判所に取材しても「ちゃんとやってます」しか言わないですが、
それでも、現状対応が追いつかないということが明らかになってきました。

たとえば、今回の文京区の事件、
調停中なので、交流が禁止されている、という報道が流れていました。
そんな中、父親は独自に子どもと接触し、
そのことが警察の対応のまずさとして指摘されています。

一方、この事件の父親が通ったであろう、
東京家裁の総括判事、矢尾和子は
面会禁止の決定を東京家裁に過去出され、
再調停をした父親(暴力はありませんでした)
に対し、
「子どもの成長したした姿を見ようと思えば
家が近所だから見れるでしょう」
と述べています。

http://kasaicheck.seesaa.net/index-3.html

交流禁止がなされても、
守る必要がない、というのが東京家裁の総括判事の見解です。
決定を尊重する意思も、
親子関係を尊重する意思も
家裁には本音ではないのです。

また、別居と同時に、子どもと会うのが困難になり、
調停を申し立てて、それがまとまらないままに、
その間、合意がないからと子どもとの交流が妨害される、
という事例は日本の家裁の常識です。

交流妨害を家裁は黙認するどころか、
昔は、「お金を払うまで会わせない」
という別居親の人質取引を、今は
「養育費を払えば相手の感情も和らぐから」
と巧妙に言い換えて、続けています。
日弁連は、
このような調停の斡旋の仕方をシンポで提唱し、
「面会交流ありきにならないように」
と家裁に要望を繰り返してきました。

■日経新聞2013/12/28
「家事調停」が長期化 家族観変わり合意に時間
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO64710250X21C13A2CR8000/

 離婚や相続など家族間の紛争について裁判所で話し合う
「家事調停」が長期化し、東京家裁で調停室が不足する事態となっている。
家族観の変化を背景に、
合意に時間がかかる複雑な事案が増えていることが要因とみられ、
年内に解決できずに翌年に持ち越す「未済件数」は5年で1.4倍に増えた。
同家裁は裁判官の増員や調停室の増設などで対応している。

 今月2日、東京高裁が管理する東京・霞が関の庁舎3階に
「家裁第19~21調停室」と貼り紙をした即席の立て看板がかかった。
以前は地裁の調停室だったが、家裁が5部屋を間借りし、
3部屋を調停室、2部屋を待合室として使っている。

 家事調停は家庭内の争いを裁判所の仲介で解決する非公開の手続きで、
遺産分割や離婚、子供との面会交流などが対象。
双方が合意時に取り交わす調停調書は確定判決と同じ効力を持ち、
相手が従わなければ強制執行もできる。

 東京家裁によると、家事調停の申立件数は9421件だった2007年以降、
少しずつ増える傾向にあり、昨年は1万791件(07年比で15%増)だった。
一方、12月末時点で比べた係属中の調停件数は07年が3952件、
昨年は5475件(同39%増)と、申し立てを上回るペースで増えており、
調停1件当たりの期間が長期化していることがうかがえる。

 全国的に子供との面会交流を求める申し立ては増えており、
東京では顕著だ。
家事事件に詳しい裁判官は「両親が離婚した場合、
昔は母が子供を育て、父は子供と縁を切るケースが多かったが、
現在は離婚後も子供に会いたいと願う父親が増えている」と指摘。
「面会の条件を巡って話し合いが難航しやすく、
長期化につながっているのではないか」と分析する。

 こうした状況を受け、東京家裁は態勢を強化。
今年1年間で調停室を66室から80室に増設したほか、
担当の裁判官や書記官も増員した。
家裁総務課は「双方が納得するためにある程度の期間は必要だが、
部屋が空いていないなどの理由で調停が長引くことがないよう、
しっかり対応したい」と話している。

===== ===== ===== =====

ぼくが多くの事例を見て感じることは、
同居親の拒否感情が強いと(実際、演技両方あります)、
裁判官がビビって、「頻回な交流なんてとても無理」
と勝手に判断。
少ない回数の交流を斡旋し、
そうなると親子関係が疎外されやすいので
かえって紛争が継続し、家裁を再び利用する確率が高まる、
ということです。

裁判官はただの公務員で普通の人なので、
前例を覆して自分の責任が問われるなんて度胸はありません。
一方、公務員のわりには(だからこそ)、
法的根拠もなく、別居親子の親子関係に介入して、
起きなくていいもめごとを起こします。
要するに、プライドは高くても
自分の仕事にプライドなんか感じていません。

家裁の対応は昔と変わっていないでしょうが、
件数が増えるのと比例して事件ももめごとも増えます。
今のままでは職員を増やしたところでただの税金の無駄です。
裁判官がきちんと中立性を保て片親疎外に対処できる法律も
利用者に迷惑をかけているという裁判所職員の自覚も両方必要です。
(家裁監視団)

■読売新聞2013年12月30日
「まあまあ」やめます…民事調停もっと利用して

http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20131228-567-OYT1T00595.html

 訴訟に比べてなじみの薄い民事調停をもっと利用してもらおうと、
裁判所が改善に取り組んでいる。

 当事者同士が話し合って妥協点を探る従来の方法をやめ、
裁判所が解決案を提示するなど「調整役」を積極的に果たすもので、
現在5割程度の調停成立率のアップにもつなげる考えだ。

 訴訟の約56万件に対し、調停は約5万件――。
全国の裁判所に昨年申し立てられた訴訟と調停の件数には、大きな開きがある。
最高裁関係者は「調停でも解決できる問題が、訴訟に流れている」と分析する。

 訴訟に比べて費用が半分程度で済み、
非公開の場で短期間で解決を目指せるなど調停のメリットは多い。
それなのに、紛争解決の手段として選ばれないのは、なぜなのか。
あるベテラン弁護士は
「裁判所が主体的に関与しないため話し合いが進まず、
なかなか解決まで至らないケースがあるからだ」と指摘する。

 調停委員が「まあまあ、この辺で収めましょう」とまとめる
「まあまあ調停」や、
当事者の主張を単純に2で割る「折半調停」など、
合理的な理由が示されないまま強引に決着してしまうことがあることも、
不人気の理由の一つとされる。
(略)

 最高裁民事局の担当者は「紛争の内容も複雑化している。
裁判所が合理的な解決案を示すことで、
調停を利用しやすい制度にしたい」と話している。

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今年相手の不履行で申し立てた面会交流調停。
相手の欠席で審判に。
その間、決定が出るまでは交流させない、という相手の主張に
裁判所は「履行は難しい」と勧告を渋った。
決定が出るまで半年。
子どもと会いたいと家裁に行くと、子どもに会えなくなる。
それが家裁の実態だ。
違うのは、ぼくも娘も死んでいないということだけ。(宗像)

家裁の正しい情報は以下から。
■家庭裁判所チェック
http://kasaicheck.seesaa.net/
「家庭裁判所チェック2012年版」アクセス数6200超。
大人気。(家裁監視団)

来たるべき年がみなさんにとってよい年でありますように!

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10年前