家庭弁護士の訟廷日誌:【子ども】 夫婦間の子をめぐる争いにつき審判前の保全処分として子の引渡しを命じる場合の要件と判断基準 東京高裁平成24年10月18日決定

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【子ども】 夫婦間の子をめぐる争いにつき審判前の保全処分として子の引渡しを命じる場合の要件と判断基準 東京高裁平成24年10月18日決定

 判例時報No2196号(11月1日号)で紹介された東京高裁平成24年10月18日決定です。

 東京高裁決定の要旨を紹介します。

 審判前の保全処分としての子の引渡命令は、仮の地位を定める仮処分に準じた命令であるから、著しい損害又は急迫の危険を避けるために必要とするときに限り発することができるものである。

 しかも、審判前の保全処分としての子の引渡命令が発せられると、強制執行が可能となり、未成年者に大きな精神的緊張と精神的苦痛を与える可能性が生じる上、後の裁判において審判前の保全処分と異なる判断がなされる場合には、複数回にわたって未成年者に精神的苦痛を与えることになる。

 したがって、審判前の保全処分により未成年者の引渡しを命じる場合は、後の処分によりこれとは異なる判断がなされて複数回未成年者の引渡しの強制執行がされるという事態を可能な限り回避するような慎重な配慮をすることが必要である。

 審判前の保全処分としての子の引渡命令についての以上の法的性質及び手続構造からすれば、審判前の保全処分として未成年者の引渡しを命じる場合には、

 監護者が未成年者を監護するに至った原因が強制的な奪取又はそれに準じたものであるかどうか、

 虐待の防止、生育環境の急激な悪化の回避、その他の未成年者の福祉のために未成年者の引渡しを命じることが必要であるかどうか、

 及び本案の審判の確定を待つことによって未成年者の福祉に反する事態を招くおそれがあるといえるかどうかについて審理し、

 これらの事情と未成年者をめぐるその他の事情とを総合的に検討した上で、審判前の保全処分により未成年者について引渡しの強制執行がされてもやむを得ないと考えられるような必要性があることを要するものというべきである。

 この基準だと、保全の側面においては、現状尊重ということになりそうですね。