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2013年11月28日 (木)
【子ども】 面会交流審判について、頻度等、受渡場所、受渡方法について審理不尽があるとして、原審に差し戻された事例
愛媛の弁護士の寄井です。
今回は、判例タイムズNo1393号で紹介された東京高裁平成25年7月3日決定を紹介いたします。
Xは夫、Yは妻、Yが長女を連れて家を出た直接の原因は、Yの不貞行為により暴力をふるわれたことにあるようです。
東京高裁は以下のとおり判断しています。
Yの主張する面会交流を認めるべきではないという主張に対しては、次の理由から排斥しています。
すなわち、面会交流は、「未成年者の福祉を害する等面会交流を制限すべき特段の事情がない限り、面会交流を実施していくのが相当である」ところ、本件では、特段の事情は認められないとして、面会交流を認めるのが相当であると判断しました。
問題は、具体的に、どのような面会交流をさせるのが相当であるかという点にあったようです。
裁判所は、原審の定めた面会要領では不十分であると判断しました。
すなわち、
① 原審判が定めた面会要領のうち、頻度等や受渡場所、未成年者の受渡し方法は、その根拠となる情報等が一件記録からは窺えす、その相当性について判断することができないばかりか、これらについて当事者間で主張を交わす等して検討がされた形跡も認められないこと
② 殊に、Yが、同居中に行われたXの暴力や言動を理由に、Xに対する恐怖心を強く主張している本件において、未成年者の送迎時にXと顔を合わせるような受渡方法は、かなり無理があること
③ XがYに対する暴力の事実を否定していない本件においては、第三者期間の利用等を検討することがまず考えられるべきであるし、その場合、仲介費用等の面で問題があれば、未成年者が1人でも行くことができる受渡場所の設定を検討したり、未成年者が信頼できる第三者を介したりすることも検討すべきであるなどを指摘して、
原審の審理は不十分であるとして、本件を原審に差し戻しました。
高裁は、夫婦の不和による別居に伴う子の喪失感やこれによる不安定な心理状態を回復させ、健全な成長を図るために、未成年者の福祉を害する等面会交流を制限すべき特段の事情がない限り、面会交流を実施していくのが相当であると判断しており、一定の評価が可能だろうと思います。