日刊スポーツ:小学校で父が息子道連れ焼身心中

小学校で父が息子道連れ焼身心中

http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20131224-1235286.html

 23日午前10時半ごろ、東京都文京区10+ 件千駄木2丁目の区立汐見小学校の校庭に男(49=会社員)が侵入し、校庭にいた小学3年の次男(9)を連れ出して灯油のような液体をかぶり、火を付けた。2人はやけどを負い病院に運ばれたが、父親は死亡、次男は意識不明の重体。警視庁駒込署によると、父親は妻、次男らと別居中だった。同署は父親が無理心中10+ 件を図った殺人未遂の疑いもあるとみて調べている。

少年野球チームの試合が行われていた校庭が、悲劇の舞台に一変した。父親は校庭に入り、親子親善試合に参加中だった次男を呼んだ。野球チームの元監督で、周囲からは不思議に思われなかったようだ。その後、父親は次男を校庭の脇に連れ出し、自ら液体をかけて火を付けた。2人は火に包まれ、大やけど。病院に運ばれたが、父親は午後8時過ぎに死亡が確認された。次男は意識不明の重体。現場から灯油が入っていたとみられる缶とライターが見つかった。

事件当時、校舎の屋上でサッカーの練習に付き添っていた女性は「白い煙が見え、少年たちが隅に避難していた」。学校の向かいに住む男性(70)は、うずくまっている子供を目撃。「焼けたようなにおいがした」と話した。

駒込署と上野署によると、父親は10年9月から妻、長男、次男と別居。昨年5月、妻から「夫が(台東区の)実家に来て子どもの手を引っ張ったので、制止したら蹴られた」と相談があった。署は実家周辺や通学路の警備を強化し、月に1回妻と連絡を取っていたが、その後トラブルはなく、昨年12月に妻の了解を得て警戒態勢を解いたという。父親と妻は離婚調停中だった。

汐見小の近隣住民の話によると、父親は家族と別居後、学校に近い文京区10+ 件千駄木のマンションに1人で住んでいた。汐見小に通っていた次男には、徒歩で会いに行ける距離にいた。しかし調停中のため、直接会うことは禁じられていた。父親と同じマンションに住む68歳男性は「会っても、あいさつしないし、社交的ではなかった。家族が遠くに住んでいれば、こんなことにならなかったのに」とこぼした。

父親は、息子2人が野球や水泳をしたり、家族でキャンプに行った時の様子を撮影し、動画投稿サイトに度々掲載していた。「親ばかビデオです」とコメントも付けていた。

次男と遊んだことがある小6男子によると、次男は父親について「優しく、遊んでくれる」と話したという。別の小6男子は「2カ月ぐらい前、公園でお父さんが次男に『いつか僕が死んだら、お母さんを守れ』という話をしていた。心配していたら、こんな事件が起きた」と驚いていた。【柴田寛人、清水優】

[2013年12月24日9時24分 紙面から]

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