毎日:無理心中か:小学校で灯油かぶり火、男と次男重体

無理心中か:小学校で灯油かぶり火、男と次男重体

毎日新聞 2013年12月23日 20時43分(最終更新 12月23日 21時05分)

http://mainichi.jp/select/news/20131224k0000m040058000c2.html

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 23日午前10時半ごろ、東京都文京区千駄木2の区立汐見小学校に男(49)が侵入、同小に通う次男(9)を校庭から校舎脇の通路に連れ出して灯油のような液体をかぶせ、自らもかぶって火を付けた。2人は全身にやけどを負い、いずれも意識不明の重体。警視庁駒込署によると、男は妻、次男と別居中で、無理心中を図ったとみて調べている。

 駒込署や文京区などによると、当時校庭では少年野球チームの親子親善試合が行われ、次男を含む児童や保護者ら約35人が参加。男は次男の手を引いてその場を離れた。男が着火後、炎を見つけた野球チームの関係者が学校の消火器を使って消火。現場からは灯油の携行缶とライターが見つかった。男は会社員で、以前野球チームの監督をしていたことがあるという。

 警視庁上野署によると、昨年5月24日、管内に住む男の妻から「別居中の夫が実家に来て次男の手を引っ張り、止めようとしたら蹴られた」「これ以上、子供たちに嫌な思いをさせたくない。どうすればいいか」などと相談があった。

 これを受けて同署は通学時間帯のパトロールを強化し、月に1回妻と連絡を取っていた。しかし、その後トラブルはなく、昨年12月に妻と親族の了解を得て警戒態勢を解いた。夫婦は2010年9月から別居し離婚調停を進めており、面会制限中だったという。

 現場は東京メトロ千代田線千駄木駅の南西約200メートルの住宅街。【松本惇、林奈緒美】

 ◇「助けてください」子供の叫び声

 小学校の屋上でサッカーを教えていた男性コーチは午前10時半ごろ、校庭の方向から黒い煙が上がるのを見た。「住宅の火事でもあったのかと思った。まさか人が燃えているとは」。学校の向かいに住む男性(70)は現場付近で男児がうずくまり、大人2人が付き添っている姿を目撃。間もなく救急車が到着し、大人たちが「遅いよ。こっちだ」と叫んでいたという。

 学校近くに住む女性(35)は「『助けてください、助けてください』という子供の叫び声を聞いたが、恐ろしくて家から出られなかった」と振り返った。

 被害に遭った次男の友達という同小6年の男児(11)は約2週間前、次男と学校近くの公園で会った。次男は「お父さんから『俺が死んだらお前がお母さんを守るんだぞ』と言われた」と話していたが、詳しい内容は分からなかったという。

関係者によると、次男は母親の実家がある東京都台東区内で祖父母、母、中学生の兄と5人暮らし。祖父母は近所の住民に「娘の夫が離婚したがらない」と漏らしていたという。【山崎征克、神保圭作】

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