kネット メールニュース No.5

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□■           kネット メールニュース
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このメールニュースは、kネットが主に親子の面会交流、共同親権運動に
ついての情報を発信するものです。転載歓迎です。     (宗像充)
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■今号のトピックス
Ⅰ.ハーグ条約関連の報道続く、kネット声明
Ⅱ.車座集会第2回報告
Ⅲ.kネットオフィスアワー
Ⅳ.インフォメーション
Ⅴ.イベント案内
Ⅵ.編集部より、賛同のお願い

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┣☆┫Ⅰ.ハーグ条約関連の報道続く、kネット声明
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読売新聞10月16日社説、朝日新聞10月20日社説などで、ハーグ条約加盟、
親権、面会権について取り上げられています。この問題では、福岡の米国人男性が
子どもを連れ戻そうとして逮捕された記事以来、米国メディアを中心に報道が
過熱していましたが、国内の報道においても、親権、面会権の問題として
取り上げる 記事が見られるようになっています。
kネットは、こういったハーグ条約についての動きに対して声明を上げました。

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ハーグ条約の批准に関して国内法での「原則交流」の実現を求める声明
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2009年10月19日
共同親権運動ネットワーク
共同代表 植野 史、宗像 充

10月16日、アメリカをはじめとする8カ国の大使が千葉景子法相に面会し
国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約批准(ハーグ条約)を要請した。
欧米諸国から20年以上遅れてやっと政府は国際的な子どもの奪取問題解決に
向けて重い腰を上げはじめたようだ。

私たちは、ハーグ条約批准と、離婚後の親子関係において国際的に格差のない
国内状況を実現することはセットであり、ハーグ条約の批准と国内における
「原則(面会)交流」を政府が実現することが急務であることを強調する。

今までに条約批准が先送りされていた背景には、「子どもを連れて実家に
戻る」日本の習慣、公権力の民事不介入の政府の姿勢があった。
それらはハーグ条約の目的である親子の居住地への返還と継続的な面会交流の
実現を阻む大きな壁となっており、同時に日本からの外国人親による子どもの
連れ去り防止を不可能にしている。
つまり、国際離婚の場合に国と国との取り決めとして実行しなければならない
ことが、日本国内では実現できていないという大きな矛盾の中で条約批准に
向かっていることになる。

国際離婚の中にもハーグ条約の対象にならない日本在住ケースが多くあり、
外国人・日本人の違いを問わずに親の離別後の「原則交流」が
保証されなければ、今後の条約批准後に矛盾や混乱が多発することが
予想される。

ハーグ条約批准に向けての国際圧力の高まりは、福岡で日本国籍を持つ
アメリカ人父親が子どもを取り戻そうとして逮捕された事件がアメリカで
大きく報道されたことがきっかけとなっている。
この事件の背後には、子どもに会えない多くのアメリカ人父親たちの苦闘が
ある。
彼のような実力行使をしなければ、我が子の姿を見ることさえできない親たち
の存在は紛れもない事実で、日本人でもそれは同じだ。

親の離別後に子どもに会えないわが国の現状は世界的に異常である。
ハーグ批准をしていないイスラム諸国においても面会交流は常識であるし、
政府が協力して批准国への連れ戻しが実現したケースもある。
条約があってもなくても親子が会うのは当たり前という人間としての常識が
日本にはなく、「子どもの権利条約」を批准していながら主旨は顧みられず
実現の努力もされていない。
欧米各国では離婚後の共同親権・共同子育てが行われている国も多く、
単独親権制度で面会が保証されていない日本はそれらの国に比べて100年も
遅れているといわれている。

ハーグ条約の主旨は逃げ帰った日本人親子を強制送還して逮捕させることでは
ない。
子どもと双方の親との安定した交流を保証することにあり、そのことの
周知徹底が望まれる。そして現在のような明らかな国際的な「格差」状況は、
海外で離婚裁判する場合に日本への子連れ帰国が認められない理由となって
いる。

私たちは、日本政府が速やかに離婚・離別後の親子関係における「原則交流」
の確立のために共同親権に向けた法改正や公的支援を実行し、ハーグ条約批准
と同時に親の離別後の親子の面会に格差のない国内状況を実現するよう強く
要望する。

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┣☆┫Ⅱ.車座集会第2回報告
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10月24日、車座集会第二回「戸籍、結婚、共同親権」として、戸籍研究家の
佐藤文明さん(元新宿区役所戸籍係)と憲法学者の齋藤笑美子さんをお迎えして、
共同親権運動であまりされてこなかった法律婚の議論を行った。参加者は狭い会場
の椅子がすべて埋まる20人。半分がはじめて見る方たちだった。

これまでの共同親権の運動では、海外の共同親権を日本国内に移入することに
主眼が置かれ、日本の法律婚がどのような特質を持つものなのかということが
あまり議論されてこなかった。

文明さんの最初の発言は、結婚というのは当事者間の問題であって
「入籍という形で役所に届けるのは不自然だ」というもの。

「戸籍というのは手続きが書かれているだけで中身は関係ない。外国は手続きを
重視しない。実態重視で中身を追認する。戸籍というのは届けない限り、
何もなかったとみなすこと」という説明に、腑に落ちた人もいたのではない
だろうか。

民法よりも前にできた戸籍で、民法がなくても戸籍で人の暮らしは規律できる。
イエ制度が発想のもとで、それは明治時代に公家社会の制度を取り入れ人為的に
作られたもの。民法は民意を反映して、改正はあるが、戸籍の存在は、
手続きが法律を超えるものとなっている。「民意を手続きで封じ込める、縛る」
ことができるというのだ。親権を決めることで困るのは第三者で、契約の安全性を
日本社会は重視する。
その都度裁判で決めていくという外国の考えとは違う。

齋藤さんは最初にフランス民法の家族法を紹介しながら、親権と子の監護を
分離しているその特徴を指摘した。フランスの同姓カップルも含む、
連帯市民協約(パックス)を紹介しながら、家族生活の自由化、契約化が法制度上
進められてきたフランスの状況を説明。
カップルと親子の問題は別問題として扱われるようになった結果、フランスでは
「嫡出子」も「非嫡出子」もいない。「全体的に見ると、法律婚と親子の結びつき
をかなりの程度相対化し、自由な結合に合わせて親子関係規定を再調整している」。
日本とは、法律婚の保護の程度がフランス法のほうがはるかに大きく
(つまり法律婚が重い)、日本の法律婚はパックスに近い。
逆に、家族内の弱者保護機能が日本のほうは小さい。
また司法の役割がフランスのほうが大きく、共同親権では司法の役割が大きく
なるので、救済のために国家介入の権限は大きくなる。
一方、ジェンダー平等の格差はフランスのほうが小さい。

わりと専門的な説明に再質問やつっこんだ質問が続いた。
「親子の絆を確保しているのはイエ制度ではないのか」という質問もあり、
個人とイエが分離されていない日本の現状を文明さんは指摘。
窓口の役人のイエ制度的な発想裁量でいかようにも適用されてしまう戸籍制度
ではなく、議論は法律でやるべきだと文明さんは強調した。
また、「現在の監護の争いにおいては女性が強くなっているのでは」という
指摘について、齋藤さんは、女性の就労条件や賃金格差など社会的な地位が保障
されていない状態で、そこだけ見ても議論は深まらないし解決しないということを
指摘していた。

法律婚の議論は、わかったようでいて今の制度が自明だと思っているとまったく
何もわからない。イエ制度がある分、日本の共同親権運動は海外よりもハードルが
高いのかもしれない。

お二方の話に、「目から鱗」の会場からは、どよめきが何度もわいた。

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┣☆┫Ⅱ.kネット「オフィスアワー」の開設
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Ⅲ.kネットオフィスアワー

kネットでは、別居親当事者として、メンバー(2名)が子どもと会えなくなって
いる方、子どもとの交流に困難を感じている方からのお話を聞く機会を
設けています。

・突然子どもを妻(夫)に連れていかれた
・離婚後に子どもと会えなくなってしまった
・子どもとの面会交流がうまくいかない
・子どもが孫から引き離されている
・身の覚えのないDVを申し立てられた

別居親当事者としてkネットが持つ情報の提供や面会交流支援団体、自助グループ
の紹介などを行います。秘密は守ります。

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※ご注意
メンバーの行ったアドバイスについてはkネットは責任を負いません。
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■日時 第2、第4土曜日午後1時~5時
(2009年11月14日から開始)

■場所 新宿NPM会議室
(新宿区西新宿6-12-4コイトビル3F。JR新宿駅から徒歩15分、
丸ノ内線西新宿または大江戸線都庁前駅から徒歩2分。りそな銀行のとなりの
ビル。
1Fに赤い看板のニッポンレンタカーが入っている。エレベータ降りて右側)

地図 ⇒ http://tinyurl.com/3yd4da

■料金 運営協力費として1000円
(1時間、1時間を超える場合は一律500円の加算)

■問い合わせ
042-574-0930(スペースF)
火~土曜(午後1時~5時)

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※ なるべく予約してください(お待ちいただく場合があります)
共同事務所です。お呼び出し下さい。折り返し電話します。

■当日連絡先=03-5909-1020(kネットでお呼び出しください)
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┣☆┫Ⅳ.インフォメーション
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(1)大阪府議会意見書提出、江戸川区議会陳情趣旨採択
10月27日の江戸川区議会最終本会議で「離婚後の親子の面会交流の法制化と
養育費支払い強化を求める意見書提出に関する陳情」が趣旨採択されました
(意見書の提出はなし)。
また、10月28日、大阪府議会で議員提出議案によって、
「離婚後の親子の面会交流に関する法整備と支援を求める意見書」が関係機関に
提出されました。意見書は以下。

http://oyakojimukyoku.seesaa.net/

(2)国会請願署名継続中
kネットほか6団体が呼びかけ、国会に向けた共同親権法制化の請願署名活動を
スタートしました。
来年1月末から始まる通常国会に提出する予定です。ぜひご協力ください。
署名締切日は1月末日です。

署名用紙は以下からダウンロード可能。
http://kyodosinken.com/wp-content/uploads/2009/09/seigan200909.pdf

(3)法制審「18歳成人」を答申
法制審議会(法相の諮問機関)は28日、現在は20歳と規定している民法の
成人年齢について、「18歳に引き下げるのが適当だ」とする答申を
千葉景子法相に提出しました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091028-00000121-jij-pol

成人年齢が引き下げられれば、親権行使も18歳までとなります。

(4)民間による親権法改正案が公表
2001年から始まった研究者有志による研究会「家族法改正委員会家族法作業
部会」のメンバーによる具体的な民法改正条文案も含めた6本の論考が
「ジュリスト」で発表されました。「特集 家族法改正―婚姻・親子法を中心に」
(「ジュリスト」No.1384 2009.9.1)

(5)内閣府、子ども・子育て支援策についての意見募集
内閣府が、出産や保育サービス等を含めた子ども・子育て支援策の方向性に
ついての総合的な「子ども・子育てビジョン(仮称)」
(新たな少子化社会対策大綱)の策定のため、パブリックコメントを募集して
います。離婚後の子育てについてもコメントできるでしょう。

募集期間は、10月16日(金)から11月11日(水)。
詳細は、以下。

http://www8.cao.go.jp/shoushi/iken/kosodate-shien.html

(6)第二東京弁護士会が民法改正の会長声明
10月26日、第二東京弁護士会が選択的夫婦別姓と、婚外子差別についての
民法改正についてそれぞれ会長声明を出しました。

http://niben.jp/info/opinion20091026.html
http://niben.jp/info/opinion20091026-1.html

なお共同親権についての民法改正に触れるものではありません。

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┣☆┫Ⅴ.イベント案内
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他団体のイベントも含めて紹介します。

■11月3日
親子交流くにたち「砂川秋祭り」出店
時間 10:00~15:00
場所 立川市砂川学習館前の広場
問い合わせ 042・573・4010(スペースF)

■11月3日
緊急シンポジウム「親権法改正をめざしてーー現場からの提言」
時間 13:00~16:30
場所 東京都港区の発明会館。
内容 法務省の主導で検討が進められている「児童虐待にかかる親権制度の
見直し」の内容について。無料。

問い合わせ 3-6380-6380
(NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク)

■11月7日
日本家族<社会と法>学会第26回学術会議シンポジウム
「家族法改正~子の利益を中心に」

時間 10:00~17:00
場所 京都産業大学(京都市北区上賀茂本山) 5号館4階5407教室
問い合わせ 075-705-1458(法学部事務室)

■11月13日
国立市出前講座くわく塾「戸籍と結婚・離婚・再婚」
時間 19:00~21:00
場所  国立市 「スペースF」( 国立市中3-11-6 )
お話 国立市役所市民課の方。無料
主催 くにたち子どもとの交流を求める親の会

問い合わせ 042-573-4010(スペースF)
詳細は以下
http://www.geocities.jp/nihon_kazoku/

■11月15日
共同親権共同子育て第三回「家族の絆再考―家族形成権、子どもの意見表明権」

時間 13:00~16:00
場所 新宿NPM会議室
参加費 500円
お話 棚瀬孝雄(中央大学教員、弁護士)
福田雅章(DCI日本支部、弁護士)
進行 宗像充(kネット共同代表)

問い合わせ kネット

■12月5日
ジェンダー法学会大会シンポジウム「家族法改正―ジェンダーの視点から」
時間 13:30~17:00
場所 神奈川大学(横浜市神奈川区六角橋3-27-1)、
東急東横線・白楽駅下車徒歩13分

非会員傍聴料1000円

詳細は以下
http://wwwsoc.nii.ac.jp/genderlaw/index.html

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┣☆┫Ⅵ.編集部より、賛同のお願い
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ハーグ条約関連で報道が盛り上がり始めた。福岡の事件を利用するのではなく、
それぞれの人にとって運動はどうあるべきなのか、という視点が欠ければ、
『ためにする運動』になるだろう。ぼくの運動は1から100まで私情です。
(宗像)

kネットのロビー活動も次のステージに踏み込みつつあります。
議員会館もすっかり馴染みになり、「先日はありがとうございました。」
「新しい資料をお持ちしました。」「ではまた。」「後ほどご連絡します。」
などの挨拶も普通になってきている。こんなところで日常を感じてしまうくらい。
議員さんの部屋でお茶をいただく、ほっと一息してリフレッシュしてしまうことも。
思わぬ情報交換ができるチャンスもあったりで、動くのが大事と実感。
(小石)

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□kネットにご賛同ください。
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kネットでは、会えない親子の当事者救済と、親が別れた後の共同子育ての実現、
法制化のための活動を維持するための賛同者を募っています。

当事者による賛同金は2000円、支援者による賛助金は1000円です。
(賛同金は1年目の会費として参入されます)

【賛同金のお支払い方法】
(1)郵便振込み
(00130-5-472679 加入者名:kネット)にて上記会員費を
お支払いください。

(2)直接手渡し
賛同会員費のお支払いについては、会員に直接の手渡しでも受付いたし
ます。また、イベント会場でのお支払いも可能です。

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■ メルマガ発行元
「共同親権運動ネットワーク」
〒186-0004 東京都国立市中3-11-6スペースF内
TEL&FAX:042-573-4010   mailto kyodosinken-owner@yahoogroups.jp

□共同代表 植野 史 ・ 宗像 充
☆ 詳しくはWebで! ⇒⇒⇒ http://kyodosinken.com/
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